日本にもコレクターの多い、パリ生まれの陶器ブランド、アスティエ ド ヴィラット。
デザイナーのブノワ・アスティエ・ド・ヴィラットと、イヴァン・ペリコーリによって1996年に創業されました。
その陶器は、黒い土を土台に白い釉薬をかけた、独特の風合いが魅力。
パリ郊外の土を使用し、制作はパリのアトリエ。最初から最後までとことんメイドインフランスにこだわった作品が並んでいます。
高級ながら日本でも大変人気の高い器たち。
19世紀の伝統的な器に着想を得たという優美な色・形は、まるで絵画の額縁を思わせ、凛とした存在感を放っています。
今回ご紹介するのは、そんなアスティエ ド ヴィラット初となる香水「TUCSON(ツーソン)」です。
アスティエらしい世界観を持つ「TUCSON(ツーソン)」の魅力をぜひご紹介させて下さい。
目次
ASTIER de VILLATTE(アスティエ ド ヴィラット)とは?
まずはアスティエ ド ヴィラットがどんなブランドなのか、簡単にご説明したいと思います。
ヨーロッパの陶器ブランドは、歴史の古いものが大変多いです。
有名どころで言えば1710年創業のドイツのマイセン、オーストリアのアウガルデン、フランスのジアンに代表されるように創業数百年という歴史は珍しくありません。
長く人々に愛されてきた有名窯が多いなか、アスティエ ド ヴィラットは創業25年と比較的新しい工房です。
ですが、今ではもしかしたらジアンよりアスティエを知っている、という人が多いかもしれません。たった25年でその名を世界中にとどろかせるようになったのです。
アスティエ ド ヴィラットは、パリ国立高等美術学校(エコール・デ・ボザール)を卒業して間もない、2人の若きフランス人男性によって創立されました。
ブノワとイヴァン、どちらも画家を志していたといいます。
そんな2人は卒業後の1996年にパリにアトリエを構え、器の作品を作り始めました。
当時は芸術家らしくマーケティングも広告戦略もしない、という心構えだったそうです。
しかし才能は口コミでどんどん広がっていきます。開始してほんの数年後には世界中からオーダーが舞い込むようになったのです。
ちなみに現在、陶磁器の工房をパリにかまえるのはアスティエ ド ヴィラットのみです。
というのは、フランスの陶器ブランドは全て郊外もしくは地方に工房を構えているため。
ブノワとイヴァンの2人はパリこそインスピレーションを得る源であり、一味違ったものを生み出すにはパリが最適、という考えを今でも貫いています。
そのデザインは、18~19世紀のアンティークなど「古き良きもの」にインスパイアされたものがほとんどです。
なんでも、蚤の市で見かけたアンティークの食器セットからもヒントを得ているとか。
ブノワとイヴァンの2人は、そんなヴィンテージ物を現代風に解釈した作品を作り続けています。
現代のモダンな生活の中でもアスティエ ド ヴィラットが輝くのは、そうしたマッチングが上手になされているからでしょう。
ラインナップは多岐にわたります。
食器、花瓶、グラス、キャンドルホルダー、お香ホルダー、キャンドル、コロン、インセンスなどなど、生活にまつわるものの多くがここで揃います。
そんなアスティエ ド ヴィラットの香水が2022年3月、満を持して新発売になりました!
アメリカ大西部の広大な砂漠地帯をイメージ。どっしり&雄大なツーソンの香り
TUCSON(ツーソン)パルファン
ノート:イモーテル、タイム、白樺、ラブダナム、スイートアンバー
発表年:2022年
調香師:アレクサンドラ・モネ
対象性別:ユニセックス
今回の「TUCSON(ツーソン)」の香りは、同ブランドのキャンドルやお香にすでに用いられている人気の香りでした。
そしてこのパルファン「TUCSON(ツーソン)」は、アスティエ ド ヴィラットのために、調香師のアレクサンドラ・モネとドロームフレグランスが共同で開発したものです。
意外なことに、そのテーマは「アメリカ」。
アメリカ西部に広がる広大な砂漠をイメージし、太陽が照りつける砂丘をイモーテルで、焼けた赤土をラブダナムで表現した力強いウッディノートとなっています。
アロマティックなハーブのタイムも混じり、香りは神秘性に満ちたもので始まります。
それからすぐに大地を思わせるどっしりとしたラブダナム、そしてエネルギッシュなイモーテルの香りが加わっていきます。
パリ発のアスティエ ド ヴィラットが「アメリカの砂漠の香り」とは何とも意外ですが、香りの世界観にはしっかりとアスティエらしさが表現されています。
主張しすぎないのに「確固たる存在感」があるところや、余韻を強く残すところは流石アスティエ、と唸ってしまうほどです。
砂漠とはいっても、土臭いイメージは全くなく、あくまでウッディのパワー&壮大さを残すもの。持続力もかなりあります。
そのため香りの傾向は少し男性寄りと言えるでしょうか。
芸術家然としたイメージもあり、最後の方の甘美なスイートアンバーの香りは一読、ならぬ一嗅ぎの価値ありです。
アメリカの砂漠ということで、どうしても視覚から入ってくるイメージを抱きやすいのですが、これはもっと内向きな香りと言っても良いかもしれません。
なにか心の奥から湧き出るふつふつとしたパワーを感じさせる、言ってしまえば「揺さぶられる」香水です。
リラックスする、優しい気持ちになる香りとは真逆です。
「TUCSON(ツーソン)」によってパワーがみなぎってきたり、あるいは何かしらのアイデアが浮かんでくるかもしれません。
言い換えればこの香りはアーティストの「おとも的香水」。
アスティエ ド ヴィラットの創業者二人は、そういったフレグランスを目指していたのかもしれませんね。
クリエイターにぴったり。壁を取り壊したい方にも
「TUCSON(ツーソン)」はやや男性寄りの香りではありますが、女性も使えるユニセックス香水となります。
先ほどもご紹介したようにこれは「揺さぶられる」香水ですので、感情の動きを敏感にキャッチするクリエイター・アーティストの方々にぴったりな香りと言えるでしょう。
もちろんユニセックスという「壁の無さ」も魅力的です。
我々は、普段の生活で意識・無意識関係なく物事をカテゴライズしてしまいます。
しかしそういったカテゴライズを「壁」として心地悪く感じる人もいるでしょう。
しかし「TUCSON(ツーソン)」はどのカテゴリーにもはまらない、自由でスタイリッシュな香水です。
季節も年齢もシーンも関係ありません。
良いな、素敵だなと思った人が、自由な感覚でまとえる魅力が「TUCSON(ツーソン)」にはあるのです。
日常に登場するざまざまな「壁」を取り壊したい方、真に自由を求める方に本当におすすめです。
まとめ
アスティエ ド ヴィラットの初香水は、スタイリッシュな大地の香りでした。
インテリアブランドらしいセンスと温もりが大いに感じられる「TUCSON(ツーソン)」。その素敵なデザインにも注目が集まります。