パリで創業したエルメスは、160年以上もの歴史を持つブランドです。
もともとは馬具の専門店としてオープンし、ヨーロッパの皇帝や貴族に馬具を販売することからスタートしました。
そのためエルメスのブランドマークは馬具を表しています。
19世紀後半にできたエルメス。時代は移り変わり、乗り物が馬車から車に変わっていきます。
当初は馬具を中心に製造していましたが、女性向けファッションに欠かせないバッグや財布・革の小物などを販売すると、女性に絶大な指示を受けブランドとしての確固たる地位を確立します。
革新的でありながらも技術にこだわるエルメスが、初めてフレグランスを手がけたのが1947年。第二次世界大戦の直後でした。
度重なる研究の末、「オー ドゥ エルメス」を1951年に、「カレーシュ」を1961年に発表すると、瞬く間に大ヒット。どちらの香りも世界中でなお愛され続けています。
2004年になるとジャン・クロード・エレナ氏がエルメス初の専属調香師として就任します。
彼は今のエルメスに欠かせない「庭」シリーズなど人気のシリーズを次々と発表し、フレグランス業界におけるエルメスの地位を不動のものとしました。
さて、エルメスの香水は高級感がありながらも“ライトで付けやすい”といった意見が多く寄せられています。
実はこれも、ジャン・クロード・エレナ氏の追及によるものです。
同氏は香りに「心地良さ」を求め、季節や気分に合わせて、フレグランスを使い分け「より素敵な時間」を過ごすことを提案したのです。
そのためナチュラルで万人受けするエルメスのフレグランスは爆発的な売れ行きを見せ、香水部門の売り上げを3倍に押し上げたと言われています。
そんなエレナ氏が引退した後は、女性調香師のクリスティーナ・ナジェル氏が専属となりユニセックスなエルメスの世界観をさらに広げています。
2021年発売のメンズ香水「H24」は大ヒットとなりましたが、今年はそれに続きコロンシリーズに新たな香りが追加されました。
その名は「Eau de Basilic Poupre(オー ドゥ バジリック プープル)」と言います。
今回はこちらの、夏に相応しいハーバルな香りをご紹介したいと思います。
エルメスの「奇跡の水」コロンシリーズ
出典:エルメス公式インスタグラムより
強い香りが苦手な方や香水をつけ慣れていない方におすすめなのが、エルメスのコロンシリーズです。
ライトな香りで持続時間も短いオーデコロンタイプなので、TOPを意識せず気軽に使えるのが人気のポイントです。カラフルなボトルもチャーミングですね。
このコロンシリーズは1979年に始まりました。
実はコロン自体の歴史は古く、中世の時代から匂い消し・衛生面で多く使われてきました。
エルメスは20世紀に入り、リュクスさと清潔感をもって新たなラインを発表することになります。
またエルメスのコロンには性的、もしくは官能的な要素が省かれています。
これは上辺だけの快楽を求めない・華美すぎないというオーデコロンを目指したものであり、徹底的にユニセックスにこだわった証でもあります。
2022年現在では9種類のコロンが発売されるようになりました。
それでは最新作「Eau de Basilic Poupre(オー ドゥ バジリック プープル)」を詳しく見ていきましょう。
バジルが主役!ハーバル&アロマの香り
Eau de Basilic Poupre(オー ドゥ バジリック プープル)オーデコロン
シングルノート:パープルバジル、グリーンベルガモット、ゼラニウム、パチョリ
発表年:2022年
調香師:クリスティーナ・ナジェル
対象性別:ユニセックス
最新作「Eau de Basilic Poupre(オー ドゥ バジリック プープル)」の発表に当たり、この香りを調香したクリスティーナ・ナジェル氏は「ありふれた素材をより高貴なものとして昇華させたいと考えたとき、パープルバジルにヒントを得た。私自身の香りの記憶を頼りに、詩的なアプローチで香りのイメージを作り上げた」とコメントしています。
みずみずしく爽やかなグリーンのボトルが印象的な「Eau de Basilic Poupre(オー ドゥ バジリック プープル)」は、なんとバジルが主役。
地中海地方でよく料理に用いられるハーブが、ナジェル氏によってリュクスなコロンへと変貌を遂げました。
ということでイメージはやはり地中海。
原料に芳醇な香りを持つ赤紫色のバジルを使用し、にぎやかで楽しい夏を彷彿とさせる地中海の香りを表現したとのことです。
「Eau de Basilic Poupre(オー ドゥ バジリック プープル)」はシングルノートのため、香りの変化は特にありません。
ただワンプッシュすれば、すぐさまスーッとした薬草の香りが広がり、フレッシュな空気に包まれます。
バジルの香りは、ほどよいスパイシーさと甘さが特徴です。
そこにベルガモットといった優しい柑橘系の香りが混ざることで、より清潔感のある印象に。そしてゼラニウムやパチョリの香りが少し後から漂ってきて、品の良さとラグジュアリー感も追加されます。
「Eau de Basilic Poupre(オー ドゥ バジリック プープル)」に「水」の要素はなく、終始「庭」や「森」といったワードが見え隠れします。
まとった時、目に浮かんでくるシーンはこうです。
場所は南仏リヴィエラ、もしくはイタリアの地中海沿岸。
海から少し離れた丘の急斜面に位置するプライベート・ヴィラで、美しく整えられた庭を散歩するマダムorムッシュ。
天気は快晴、気温は25度前後で湿度もない。
今日の午後は「何もしないを楽しんでみる」。
大好きな本と、一切れのレモン・スライスを浮かべた炭酸水をテーブルに置き、無限大の時間をバジルの香りと共に過ごす…
といった、高貴さプラス「余裕」を感じる、エルメスらしいオーデコロンとなっています。
大人の万能香水。年齢が上がれば上がるほどOK
ライトな香りやユニセックスな香りは、年齢が上がれば上がるほどお似合いになるのではないでしょうか。
エルメスのコロンシリーズもそうです。
若い頃にすべてのことは一通り経験した、香水もたくさんの有名どころを試してきた、という大人が行き着く香りと言えるかもしれません。
やはりエルメスなので高級感はオーデコロンの中でも目立っています。
加えて清潔感や品の良さもずば抜けていますので、TPOを考えることの多い大人の男女にはぴったりなのではないかと思います。
ハーバル感の強い(香り自体は強くありません)コロンなので、香りに「性」を求めたくない人にも良いでしょう。
年齢や季節は問わないのですが、50代〜60代の人に特にお似合いになるというのは特筆しておきたいと思います。
まとめ
エルメスの香水は、男女で使えるユニセックスタイプが多いのが最大の特徴です。
エルメスフレグランスを初めて購入するという場合は、ライトな「庭シリーズ」や今回の「コロンシリーズ」がおすすめです。
中でも「Eau de Basilic Poupre(オー ドゥ バジリック プープル)」は、ハーブの香りが魅力の清々しいコロンです。
夏用や複数持ちにもお勧めですので、気になる方は是非トライしてみて下さい。