2013年に発表されて以来、人気が色褪せない「Maison Margiela(メゾン・マルジェラ)」のフレグランス「レプリカ」。
このシリーズの一番の特徴は、過去に経験した「思い出」を回想する香りをコンセプトにしているところです。
アンティークの薬瓶にインスパイアされたボトルデザインも素敵で、注目すべきはその“ラベル”と言えましょう。「Maison Margiela(メゾン・マルジェラ)」らしい古着風の布ラベルは、使い込んでしまうと端からほつれが起こりますが、これはこれで味わいが出てくるものです。
そしてラベルには、それぞれの香りに合わせて設定された、物語にちなんだ情報が記載されています。
そんな「レプリカ」コレクションに“日本”をイメージした新たな香り、「Matcha Meditation(マッチャ・メディテーション)」が仲間入りを果たしました。
2021年5月21日に新発売となったこのオードトワレは、シリーズで初めて日本文化から着想を得ています。
日本の“茶道”、“禅”の精神から着想を得たという「Matcha Meditation(マッチャ・メディテーション)」。
その気になる香りをご紹介していきたいと思います。
個性的なティー香水
Matcha Meditation(マッチャ・メディテーション)オードトワレ
トップノート:ベルガモット、マンダリン、グリーンティー
ミドルノート:抹茶アコード、オレンジブロッサムアブソリュート、ジャスミン
ラストノート:ベンゾイン、モス(苔)、ホワイトチョコレート
発表年:2021年
調香師:モーリス・ルーセル
対象性別:ユニセックス
調香師のモーリス・ルーセルは2008年、仕事で東京を訪れていました。
招待された茶会で彼が初めて口にしたもの、それが抹茶です。その上品なフレーバーに感動したルーセル氏は、東京での記憶を香りで再現しようと決意しました。
今回の新作「Matcha Meditation(マッチャ・メディテーション)」は、これまでの作品で唯一日本が舞台となっており、“東京の穏やかな午後に、あたたかでなめらかな抹茶を味わうという、静かでリラックスした瞬間”をイメージしたものなのです。
「Maison Margiela(メゾン・マルジェラ)」フレグランスはそのテーマ設定もユニーク。そのテーマは大きく分けて4つあります。
1、Originally(テーマとなった元の題材)
2、Provenance and Period(テーマとなった場所と年)
3、Fragrance Description(香りの説明)
4、Style Description(表現方法、形式の説明)
出典:「Maison Margiela(メゾン・マルジェラ)」フレグランス・公式インスタグラムより
つまり、「Matcha Meditation(マッチャ・メディテーション)」のラベルからは、
1、Originally…抹茶と瞑想
2、Provenance and Period…東京、2008年
3、Fragrance Description…抹茶を通した禅の香り
4、Style Description…香りの記憶
と、どのようにしてこの香水が出来上がったのか、ということを知ることができます。
トップノートはベルガモットとマンダリンの、軽やかで爽快な組み合わせ。
この香料は広くトップノートに使用されているので、よもやありがちな香り立ち…と思いきや、最初からお茶の香りがしっかりと漂います。
私たちには非常に馴染み深い、あのグリーンティーの心地よい香りです。
グリーンティーにシトラスの組み合わせはとても相性が良く、どちらか一つだけだと単調になりがちなノートも、ミックスさせることで一気に品が良くなります。
パリの老舗高級茶店、マリアージュ・フレールのサロンで漂う香りとちょっと似ていて、鼻腔を心地よく駆け抜けていきます。
続くミドルノートはふくよかなジャスミンや、トップよりさらに渋い抹茶の香りがしっかりと出てきます。そして中盤以降はホワイトチョコレートがメインに。
オープニングのスッキリとした香りは、1時間後にはコクのあるまったりとした香りに変化します。
グリーンティーの苦みとホワイトチョコレートの甘さのバランスがちょうど良く、そしてラストノートの樹脂系の香りが全体に落ち着きを与えています。
出典:「Maison Margiela(メゾン・マルジェラ)」フレグランス・公式インスタグラムより
なかなか無い構成で、似ている香水が思いつかないほど個性的な「Matcha Meditation(マッチャ・メディテーション)」。
とはいっても、キツ過ぎたり難解な香りというわけではありません。基本的には終始上品です。
ここ数年、“爽やかな香り”として人気のフレグランスとして「紅茶の香り」が挙げられますが、この香り実はとは似て非なるものです。
清涼感があって万人受けする「紅茶の香り」とは違い、「Macha Meditation(マッチャ・メディテーション)」は抹茶ラテのようなほろ苦さと甘みがあります。そしてより上品です。
香水としてはかなり独特で、なんともオリジナリティのある劇的なフレグランスです。
かと言ってフェミニン過ぎず、メンズ寄りというわけでもないので、ユニセックスフレグランスとしては非常に完成度の高い香りと言えます。
調香師のモーリス・ルーセルが東京で感じたのと同じように、お茶をいただいた後のような「ホッ」とするあの感覚と、心が整っていくような居心地の良さを感じることができるでしょう。
「レプリカ」ファンなら持っておくべき香り。
「Macha Meditation(マッチャ・メディテーション)」は、「レプリカ」コレクション史上初の、日本をイメージして創られた香りです。
これまで日本をテーマにした香りには、柚子や金木犀など柑橘系のものが多くありましたが、「Macha Meditation(マッチャ・メディテーション)」では「スッキリ系」意外の、苦みも深みも感じられる面白い作品と言えるでしょう。
そしてその苦みは、抹茶の苦みというだけでなく、東京の「ダスティ」さをも表現しているのだと思います。
東京をここまで多角的に捉え、品を添えた「Macha Meditation(マッチャ・メディテーション)」は、「レプリカ」ファンなら1本は持っておくべき香りと断言できます。
本当に個性的な香りなので、ありきたりではありますが、香りで人と被りたくないという方にはとてもおすすめ。
季節としては春、秋だと思います。
「Macha Meditation(マッチャ・メディテーション)」にはダークなところが全くないので、温かい陽の光とこの香りが良く似合います。
日差しが高くて明るい午後、平和な休日のイメージです。
熱い抹茶を注いだ後の蒸気、そんなふんわり・ゆっくりとした香り立ちが楽しめるので、オンタイムよりもオフの日にまといたくなるオードトワレです。
年齢層は20代から40代の男女、働き盛りの人のリラックスタイムにおすすめしたい香り。
ライトグリーンの液体もとても綺麗で、間違いなくインテリアの一部として重宝するでしょう。
まとめ
現在、SNSなどで話題沸騰中の「Macha Meditation(マッチャ・メディテーション)」。
西欧のフィルターを通して調香された「日本の香り」は、静けさと品、そしてほんの少しの苦みと甘みを添えた大変ユニークな香りです。
私たち日本人には馴染みがあるお茶の香りですが、それと同時に西欧風の「洗練さ」も感じらる1本です。
香りで他の人と差別化を図りたい方、最新の香水をお探しの方は「Macha Meditation(マッチャ・メディテーション)」をぜひ手に取ってみて下さいね。