『PARLE MOI DE PARFUM(パルル・モア・ドゥ・パルファム)』は、2016年に創設されたフランス発のニッチフレグランスブランドです。

店舗はパリに複数ありますが、どれも無駄な装飾を省いたシンプルな雰囲気で、小さいながらもラボが内接されているのが特徴です。

実はこのブランドは、調香師のミシェル・アルメラックとその息子であるベンジャミン・アルメラックの家族経営によるもの。

父親であるミシェルは、『Chloé(クロエ)』の「クロエ」、『GUCCI(グッチ)」の「ラッシュ2」など数々の有名フレグランスを手がけた人気調香師です。

ですがブランドネームだけが先走り、調香師のセンスが反映されないマーケティングに疑問を持ったのが彼の息子ベンジャミン。

「父の名前、そして父の創作をもっと知ってもらいたい」という思いから家族のブランドをローンチすることとなりました。

マーケティングがものを言う時代ですが、『PARLE MOI DE PARFUM(パルル・モア・ドゥ・パルファム)』はあえてその流れに逆行した、“純粋で極上の香り”作りをモットーとしたブランドなんです。

特徴は、ブランド哲学や壮大な香水のストーリーではなく、純粋に“極上の香り”を提供していることと、お客様の香水に対する“自立心”を大切にしているところ。

『PARLE MOI DE PARFUM(パルル・モワ・ドゥ・パルファム)』は、英訳すると「TELL ME ABOUT PERFUME(私に香水について教えて。)」という意味になりますから、本当にお客様とのコミュニケーションを大事にしているのが分かります。

今回は、ゲランやシャネルなどの香りでも有名な、シプレノートを現代風に解釈した、2021年発表の「CHYPRE MOJO/45 (シプレ・モジョ/45)」をご紹介したいと思います。

敏腕調香師が自身の冠ブランドで手がけるシプレノートとは、いったいどんな香りがするのでしょうか。

現代風にアレンジされた洗練シプレノート

CHYPRE MOJO/45 (シプレ・モジョ/45)オードパルファム

香調:ベルガモット、カーネーション、マンゴー、パチョリアコード

発表年:2021年

調香師:ミシェル・アルメラック

対象性別:ユニセックス

「CHYPRE MOJO/45 (シプレ・モジョ/45)」は、“神秘的な香り”とされるシプレノート(※)を追求した1本。

(※)シプレノート…オークモス(苔)にベルガモットなどのシトラスやフローラル、ウッディなどがブレンドされた格調高い、神秘的な香りが特徴。シャネルの香水などによく使われているノートです。

シプレノートといえば、ゲランの「MITSUKO(ミツコ)」が筆頭です。

これはとてもクラシックな香りで、エレガントなマダムがまとっているイメージがあります。

ただこの「CHYPRE MOJO/45 (シプレ・モジョ/45)」は、しっかりとシプレの“アーシー感”はあるのですが、もっと遊び心が効いているように思います。

ベルガモットやマンゴーといったフルーティさがあるためか、その格の高さがちょっと下がって、フレンドリーな印象に。

全体を通して、シトラス、フローラル、ウッディ、と香りの全てが流れ込んでくるようです。従来のシプレノートが「古めかしい」印象だったところを、最先端の、そして現代風のアレンジが加えられています。

そしてなんといっても「CHYPRE MOJO/45 (シプレ・モジョ/45)」の素晴らしい点は、ずば抜けた「カッコよさ」。エレガントの性質は残しつつ、キリっと切れ味の良い香りに仕上がっているのです。

なかなかこれほどカッコいい香りはありません。鼻に引っかかることのない、上質な香料もとても気持ちが良いものです。

やはりこの技術はニッチフレグランスブランド、そしてミシェル・アルメラックの確かな技によるものだと、感服せずにはいられないでしょう。

『PARLE MOI DE PARFUM(パルル・モア・ドゥ・パルファム)』の香水に全て共通することですが、ここの香りはずっと肌に残ってくれて飛ばない、という特徴があります。

香り好きにはありがたい処方ですね。

ちなみに「CHYPRE MOJO/45(シプレ・モジョ/45)」の“45”という数字は、完成までにかかった調香の回数なんだとか。

ここからも『PARLE MOI DE PARFUM(パルル・モア・ドゥ・パルファム)』の、真摯な姿勢が感じられます。

これぞ大人のカッコいい香り

「CHYPRE MOJO/45 (シプレ・モジョ/45)」は、とてもお洒落で、健康的なセクシーさのあるカッコいい1本です。

大人の女性、男性によく似合う香りで、昼より夜ですし、夏より秋冬がおすすめな香りでもあります。

仕事も遊びも一段落した素敵な大人の男女が、オフの日に着けていそうな香りと言えるでしょう。かなり都会的でもあります。世界中の大都市、とりわけエネルギーの多い街に似合います。

そしてシプレノートは優美な雰囲気にも合わせたくなります。ホテルのバーといった、落ち着いた場にはもってこいの香りです。

ココ・シャネルやジャンポール・ゲランなど、かつてフランスの上流階級の心をも虜にしたシプレノートを身にまとえば、自然と背筋も伸び、エレガントな自分に変身するでしょう。

年齢層は比較的高めで、30代半ばから60代、70代の方まで幅広くご使用いただけるかと思います。リュクス&カジュアルのどちらも楽しめるこの香り、本物を知る大人にこそ似合います。

まとめ

『PARLE MOI DE PARFUM(パルル・モア・ドゥ・パルファム)』には、シンプルで目立たないボトルデザインとは裏腹の、センス抜群な香りが揃っています。

エッジの効いたニッチフレグランスと、皆が手に取るファッションフレグランスのちょうど間、といった印象で、ミシェル・アルメラック作品がお好きな方の2本目、3本目としても良いかもしれません。

メイク同様、香りも固定観念を持ってしまいがちですが、一度「CHYPRE MOJO/45 (シプレ・モジョ/45)」を香れば、もっと香水を冒険したくなるはずです。

近年のフランスは、ブランド側の嘘偽りない“透明性”が強く問われる社会となりました。

「本当に価値のあるフレグランスを届けたい」という信念を持つ『PARLE MOI DE PARFUM(パルル・モア・ドゥ・パルファム)』は、今まさに大注目のフレグランスメゾンです。