2018年に日本に上陸したフランスのフレグランスメゾン、『Killian(キリアン)』。
ラグジュアリーフレグランスのなかでも圧倒的なインパクトを残すこのブランド、香り好きの皆さんにとっては気になる存在だと思います。
2007年にパリで生まれた『Kilian(キリアン)』は、当時混迷していたフランス香水界において一大センセーションを巻き起こしました。
実は、創始者の名前は、Kilian Hennessy(キリアン へネシー)。
そう、18世紀から続く世界的コニャックメゾン、ヘネシー家の御曹司であり、さらに、彼の祖父はLVMHグループの創始者なのです。
日本に比べて、一般家庭と富裕層の差がとても大きいフランス。
その富裕層のなかでもへネシー家は飛びぬけた大富豪です。
世界的に有名なコニャックのメゾンに生まれた御曹司のフレグランスブランドが話題にならないはずがありませんでした。
目次
『Kilian(キリアン)』の香りの多くは、ゴージャスで官能的な21世紀の美人像
その香りは、コニャックのように豊かで、奥行きがあり、何といっても官能的。
人間の持つ官能性、本能を呼び覚ますようなセクシーな香りが多く並んでいます。
なかでも今回ご紹介する「Rolling in Love(ローリング イン ラブ)」は、『Kilian(キリアン)』でも人気ナンバー2の香り。(一位はGood Girl Gone Bad(グッド ガール ゴーン バッド)
2007年にローンチした『Kilian(キリアン)』ですが、数年たって落ち着いたころに、創業者Kilian Hennessy(キリアン へネシー)はスペインで見たピカソの「絵の進化」に刺激を受けたそうです。
そして彼は『Kilian(キリアン)』も、ピカソの絵と同じように進化していかなければならない、と覚醒したのでした。
そのための第一弾となったのがこの香り「Rolling in Love(ローリング イン ラブ)」です。
それは、今までの香りのように、複雑な感情を呼び覚ますものではなく、シンプルな香り=「ただ愛のために」作られた香り。
ゴージャスで官能的な21世紀の美人像を提案する『Kilian(キリアン)』ですが、「Rolling in Love(ローリング イン ラブ)」は特に「愛のはじまり」をコンセプトにしています。
それでは、この麗しい香りをご紹介しましょう。
愛のはじまりを表した、シンプルで刹那的な香り
Rolling in Love(ローリング イン ラブ)オードパルファム
トップノート:アンブレット、アーモンドミルク
ミドルノート:フリージア、アイリス
ラストノート:バニラ、ムスク、チュベローズ、トンカビーン
発表年:2019年
調香師:パスカル・ゴーラン
対象性別:ユニセックス
今までの作品とは異なる、全く新しい方向性で作られたという「Rolling in Love(ローリング イン ラブ)」。
「Falling in love」(恋に落ちる)ではなく、「Rolling in Love(ローリング イン ラブ)」となっているところもポイントです。
『Kilian(キリアン)』本店のマネージャー、ミカエル氏によると、この香りは「Rolling(転げ落ちる)」ように、自分でも予期せずあっという間に恋に落ちていく様子、抗えない恋愛感情を表現しているそうです。
トップノートは、白をイメージさせるアンブレットシード(ムスクシードとも呼ばれ、香水でよく使用されるムスクと同じ香りを得ることができる香料)と、アーモンドミルクのコントラストから始まります。
少し甘いそのトップノートは、高級なフローラルとアーモンドミルクの優しさがなんとも官能的で、うっとりしてしまうほどインパクトがあります。
恋に落ちるのに1秒かからないとのことですから、「Rolling in Love(ローリング イン ラブ)」の瞬発力、出だしの素晴らしさは向かうところ敵なしです。
トップノートでは愛のはじまりの高揚感をストレートに演出していましたが、ミドルノートでアイリスとフリージアが登場すると、愛は絶頂に達します。
2つのゴージャスなお花の香りは、まるで2人の恋愛を祝福しているかのよう。
こうしてしばらく華やかな香りが続きます。
高級香水に共通することですが、その香りはどれも強すぎず、気持ちよく鼻腔に残ってくれます。
肌にのせて「心地よい」、むしろ、肌が「のせてほしい」とせがんでいるような、セカンドスキン的な香り方をするのです。
もちろん、「Rolling in Love(ローリング イン ラブ)」もそんなオードパルファムです。
ラストノートではいよいよ官能性がマックスに。
『Kilian(キリアン)』が最も得意とする官能性を、これでもかというほど堪能できるでしょう。
出典:『Kilian(キリアン)』公式インスタグラムより
甘やかなトンカビーンズ、バニラ、チュベローズがラストに加わったことで、2人の愛は溶け合います。運命的な愛の結末はハッピーエンドなのでしょうか、それとも思い出に変わったのでしょうか。
どちらにせよ、その愛が生涯で忘れられないものとなるように、香りとともに永遠に記憶のなかに生き続けることでしょう。
何も考えず、シンプルに、「ただ愛だけのために」というコンセプトがぴったりな「Rolling in Love(ローリング イン ラブ)」。少し刹那的ではあるものの、パッションとグラマラスさにあふれた1本です。
フレグランスと肌が惹かれあうような情熱的な香りで、運命の愛を連想させる真っ赤な色をしたボトルも魅力的ですね。
意外なことにユニセックス、ラグジュアリーな万能香水
とても意外ですが、「Rolling in Love(ローリング イン ラブ)」はユニセックスタイプのフレグランスです。
フローラルで官能的な香水と言えど、複雑過ぎることもなければ、フェミニン過ぎることもありません。
ラグジュアリーな万能フレグランス、と言って良いでしょう。
年齢的にも、20代から40代と、幅広い男女に似合います。
また、『Kilian(キリアン)』は、赤という色にもこだわりを持っています。
赤は自分に自信を持たせてくれる色、そして「戦闘モード」の色でもあります。
このことから、愛を探している、もしくは恋愛中の男女にとっては的をついたような香りとなるでしょう。まさに、愛のはじまりの高揚感を存分に感じられる、情緒的でセクシーな1本です。
まとめ
蒸留酒の生まれる環境で、必然的に鋭い嗅覚を培った創設者のKilian Hennessy(キリアン・へネシー)。
『Kilian(キリアン)』の香りには、彼のラグジュアリーな世界観が余すことなく表現されています。
香水界の貴公子が率いる、「ただ愛のために」作られた美しい香りをぜひご堪能ください。