日本でも人気のある香水ブランド、ディプティック。

1961年にパリのサン・ジェルマン大通りで始まっていますので、すでに60年以上の歴史を持つ老舗ブランドとなっています。

ディプティックを現在の地位まで押し上げた理由とは、なんといってもその極上の香りです。ディプティックが作る香りは豊かでありながら心地よく、リラックスできるものばかり。

ブランド独自のオリジナルレシピで様々な香料が配合され、複雑な香りも芸術的な角度で表現されています。

そして現在では、50種類以上もの香りが生み出されています。

その品揃えは実に豊富で、シグネチャー・アイテムのグラスキャンドルをはじめ、香水の他に下記のグッズも販売しています。

・ソリッドパフューム

・ロールオンオードトワレ

・ボディウォッシュ

・ソープ

・シャワージェル

・ボディーローション

・ボディークリーム

・ハンドクリーム

・ルームスプレー、ディフューザー

・食器(限定品)

と、こだわり派の方も大満足のラインナップです。

さてそんなディプティックでは、25年以上も人気を誇っている香りがあります。

「Philosykos(フィロシコス)」、こちらはギリシャ語で「イチジクの友」を意味しているのですが、ディプティックではオードパルファム・オードトワレの両方を用意しています。

今回は、オードトワレタイプの人気商品「Philosykos(フィロシコス)」をご紹介したいと思います。

「Philosykos(フィロシコス)」が生まれた背景

ディップティックの創業者は3人おります。

そのうちの2人、イヴ・クロエンとデスモンド・ノックス=リットは、ギリシャのペリオン山を気に入り、4年のあいだ、毎年夏にバカンスで訪れていたそうです。

オリンポスの神々も訪れたというこの島は、知る人ぞ知るギリシャの避暑地です。

彼らはハーブを採取したり、山を下ってビーチに行ったりと休暇を楽しんでいました。

しかし、そのビーチへ行くためには、野生のいちじく畑を通るしかありません。

デスモンドはイチジクの葉を1枚採って保管し、パリに持ち帰って小箱に保存していたと言います。

ところが彼は多忙のあまり小箱の存在を忘れてしまいます。

数年後、ふとデスモンドが小箱を見つけ、開けてみると、そのイチジクの葉は当時のままの香りを保っていたそうです。

デスモンドとイブはその時、一瞬にしてギリシャのペリオン山の記憶が蘇ったのだとか。

「Philosykos(フィロシコス)」は、そんな彼らがバカンス先で味わった「魂の解放」を含んだ香りです。

この香りを調香したのは天才(女性)調香師と呼び声高い、オリヴィエ・ジャコベッティ。

ペリオン山で出会ったイチジクをインスピレーション源としながら、葉の爽やかさや、イチジクの樹液の濃密さなど、イチジクに関する全てを表した香りとなっています。

イチジクそのものの香りが楽しめる、気持ちの良いハーバル&ウッディ

出典:ディプティック公式インスタグラムより

Philosykos(フィロシコス)オードトワレ

トップノート:イチジク、イチジクの葉

ミドルノート:ココナッツ、グリーンノート、ブラックペッパー

ラストノート:ホワイトシダー、ウッディノート、イチジクの樹液、イチジクの樹木、ムスク

発表年:1996年

調香師:オリヴィエ・ジャコベッティ

対象性別:ユニセックス

「Philosykos(フィロシコス)」は着けてからすぐ、イチジクの葉の青さや、ピリッとしたスパイシーな癖が広がります。

ところが2、3分すると一転、イチジクのミルキーでフレッシュな果実の香りが感じられるようになります。

つけたては「グリーン系の香水かな?」と思ってしまうのですが、すぐに「Philosykos(フィロシコス)」の真髄であるミルキーな香りに変化するのでご安心を。

イメージはこうです。

本物のイチジクをもぎとって、まずは外側の香りを嗅いでみる。青くいがみがあるものの、ガブリとかじりつけば、ミルキーで熟れた実が詰まっていた。

と、このようにして香りは進んでいき、だんだん甘さが増してきて、ミドルノートではフレッシュな果実の甘みから、マイルドな甘みに変化していきます。

このあたりから、「ココナッツの風味」が増していきます。

ただ南国っぽいココナッツというわけではなく、先の爽やかさにクリーミーな甘みをプラスしたという感じ。

このココナッツが、トップノートのハーブ感と、ラストノートの「イチジクの樹液」を上手く繋いでいるのです。

そしてラストノートで最も強く香っているのは、イチジクの樹液です。

少し粘度があり、そして草っぽさやえぐみ、ミルキーでほのかな甘みの色々を感じる香りです。

ウッディーさはほんのり、といったところです。

ナチュラルな香りではありますが、「木というよりは草」、「森というよりは野原」といった、ライトな印象を受けます。

トップからミドル、ラストへの変化は目まぐるしく、全体的に大自然を思わせる空気感が、非常に「ディプティックらしい」と言えます。

朝、1日のスタートに!乾燥した季節に。

イチジクの旬は夏~秋にかけて。

ですが、「Philosykos(フィロシコス)」は湿度の高い時期には向かない香りです。

乾燥した地中海の夏、きらめくようなエーゲ海の太陽。

「Philosykos(フィロシコス)」をまとうと、そんなワンシーンが思い浮かぶものの、これはやはり乾燥した地域に似合う香りとなるのです。

ということで湿気の多い日本の夏は避け、春や秋の時期がベターと言えるでしょう。

また、この香水のイメージする時間帯は、朝です。

「動物的」な香料が使われていないせいか、「Philosykos(フィロシコス)」のイメージによるものなのか、「気だるさ」「アンニュイ」「セクシー」といったものが一切感じられませんので、朝のフレッシュな時間帯が一番です。

よって、寝香水にも向きません。

「Philosykos(フィロシコス)」はぜひ、1日のスタートと共にまとって、心地よく出かけてほしいと思います。

またこちらはオードトワレですが、香り立ちはコロンのように穏やか。

朝につけると午後には香りがほとんど飛んでしまいます。

そのため長持ちさせたい方は着け直しが必要になります。

ただ「Philosykos(フィロシコス)」はパーソナルな空間(自分だけの空間)がかなり心地よくなりますから、こっそり楽しみたい方にはちょうど良いかもしれませんね。

まとめ

ディプティックで長年ベストセラーになっている「Philosykos(フィロシコス)」をご紹介しました。

香りの変化のユニークさ、ナチュラルなイチジクの香り…どの角度で見ても「これぞディプティック!」という極上の香りですので、ここまで人気だというのも頷けます。

香水ファンでまだ試していない方は、ぜひともトライしてみて下さい。