日本発のビッグメゾン、『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』。
日本人なら誰もが知っている一流メゾンですが、ヨーロッパでも大変な人気誇るブランドです。
1973年にデザイナーの川久保玲氏が立ち上げたブランドで、その反骨精神あふれるルックスはファッション業界の注目を集めました。
創業から50年近く経つ現在でも“高嶺の花”のようなイメージは変わらず、一目置かれる存在ですよね。
『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』はフランス語で「少年のように」を意味していて、芸術の都パリとの縁も深いんです。
川久保玲氏は1992年にフランスの芸術文化勲章、「シュバリエ」を受賞していますし、『COMME des GARÇONS paris(コムデギャルソン・パリ)』はシャネル本店、エルメス本店と並びパリの一等地にブティックを構えるほどです。
特に日本が好き、という訳でもないフランス人でさえも知っているのですから、その知名度は一番高いといえるかもしれません。
ジェンダーレス香水といえば『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』
さて、そんな『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』は香水のラインナップも豊富です。
川久保玲氏は創立当初から“ノンセクシャル”なスタイルを発表してきたので、もちろん香りにもその信念が反映されています。
そこには、“ジェンダーレス”という言葉だけでは語りつくせない『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』ならではの魅力と哲学が含まれています。
今回は『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』からニッチのなかのニッチ香水、「COPPER(コッパー)」をご紹介したいと思います。
「ギャルソン哲学」がぎっしりと詰まった超個性的な香りは、絶対に人と被りません。
強烈なトップノート、しかし個性とはこういうこと
COPPER(コッパー)オードパルファム
トップノート:ローズ、ペッパー、カシス
ミドルノート:ベンゾイン、ガルバナム、ジンジャー、メタル
ラストノート:アンバー、ブルーベリー、タバコ、バニラ
発表年:2019年
調香師:不明
対象性別:ユニセックス
「COPPER(コッパー)」とは、美しい赤みを帯びた金属のことで、古くから自然銅として産出され、精製も加工もしやすいため、武器や道具に用いられてきました。
ヨーロッパの家のキッチンによくぶら下がっている、お鍋やフライパンの色です。
ヘルシーで艶のあるその色は、実はどんなインテリアにも合うという珍しいものでもあります。
しかしそのトップノートはかなり奇抜です。
また、序盤のメタリックな香りとラストノートの甘さのギャップが大きく、1本で2つの香水を楽しめる、かなりレアな香水ともいえるでしょう。
「COPPER(コッパー)」のコンセプトはこうです。
それは、「二つの相反する概念を香りに閉じ込めること」。
「COPPER(コッパー)」は前述したとおり、“銅の色”を意味します。
銅の持つ冷たさと、熱を加えた時の高温の「落差」、金属と肌の質感の違い、甘いカシスと苦いタバコの葉の反対性などを示しています。
このパンチのあるトップノートは、人間の嗅覚では“好ましい香り”となかなか察知しないかもしれません。
ケミカルさと、本物の金属の香り。金属を削ったら香ってきそうなイメージです。
ですがここで諦めてしまうにはもったいないほど素晴らしい香りが後半に待っています。
ミドルノートの後半からラストノートにかけて、ほとんどの人が好むであろう、とても動物的な甘い香りがするのです。
さすが、『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』。
まるで嗅覚が試されているかのような香りではありますが、「COPPER(コッパー)」の二面性にハマる人は少なくないのでは?と推測します。
個性的なファッションを愛する人、そして個性とは何かを体現している人のための香りであり、「媚びる香水」とは対極のところにあります。
そして香りに慣れると、少し「アンティーク」なニュアンスを感じ取ることができます。
コッパーの輝きはほかの素材では出せない美しさで、部屋の一角に置けばその空間が温かい雰囲気に包まれて癒やしの空間になります。
実は、「COPPER(コッパー)」にもそんな性格があるのです。
おろしたての頃は香りが鋭くて人を寄せ付けない雰囲気がありますが、使っていくうちに温かさが増し、人の手に馴染んでいきます。
まるでゴッホの自画像のように、ざわつく心を横目に見ながらもなぜか吸い込まれていく、そんな感覚を味わえる1本です。
俗を超えたところにあるその哲学的な概念には驚かされますが、香りもやはり上級者さん向け。絶対に人とかぶりたくない、ニッチのなかのニッチ香水を探している方におすすめです。
一味違ったユニセックス香水をお探しの方へ
出典:『COMME des GARÇONS parfum(コムデギャルソン・パルファム)』公式インスタグラムより
「COPPER(コッパー)」は万人受けする香水ではないと、断言することができます。
しかし裏を返せば、これほど知的好奇心を刺激する香水もなかなかありません。
今主流のユニセックス・フレグランスは「流行り」ともあり、どれも似た香りで個性が埋もれるようになってしまいました。
しかし、『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』のルールにとらわれない自由な調香は、オリジナル性の高いフレグランスを完成させました。
奇抜なことをするのが個性ではなく、「自分らしさの表現」が本当の個性だと思います。
その点において、「COPPER(コッパー)」は自分を表現したい男女にはかなり的を得た香りです。
年齢層も、季節も全く関係ありません。
オフィスには向きませんが、『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』を愛する人はもちろん、ジェンダーレスなファッションに身を包む方にはぜひとも試していただきたい香りです。
まとめ
『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』のスタイルといえば、決して流されることのない自立した大人像です。
常識をくつがえす『COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)』はよく「アンチモード」といわれますが、モードに反するスタイルという意味ではありません。
ただ世に流されない独自のアイディアでデザインが生み出されているのです。
フレグランスも同じく、「アンチ・パフューム」をコンセプトとしていて、従来の“装いを完成させる”のではなく、自分を奮い立たせる香り作りを目指しています。
今回ご紹介した「COPPER(コッパー)」もまた時代の流行りや廃りに流されない、カッコいいオードパルファムです。
誰もが「ギャルソンらしい」と感じるこの香り、ぜひお試しくださいね。