2021年6月、『CHANEL(シャネル)』の「Les Eaux De Chanel(レ ゾー ドゥ シャネル)」より、スコットランドのエディンバラにフィーチャーしたオードトワレ「PARISーEDIMBOURG(パリ エディンバラ)」が発表となりました。
「Les Eaux De Chanel(レ ゾー ドゥ シャネル)」とは、『CHANEL(シャネル)』の香水シリーズのなかでも比較的ライトで、日本人にも使いやすい香りのコレクションです。
香りの種類は全部で5つ。
・PARISーVENISE(パリ ヴェニス)
・PARISーDEAUVILLE(パリ ドーヴィル)
・PARISーBIARRITZ(パリ ヴィアリッツ)
・PARISーRIVIELLA(パリ リヴィエラ)
・PARISーEDIMBOURG(パリ エディンバラ)
いずれもココ・シャネルが思いを馳せた土地であり、すべての名の前に「パリ」が入っているように、「芸術の都=パリ」からそれぞれの「水の都」へと旅する高揚感を伴わせたフレグランスとなっています。
シャネル帝国を築いていくきっかけとなった、マドモワゼルにとって縁のある街。
癒しの水に包まれた5つの街の名が冠されいて、すべてユニセックス仕様のオードトワレです。
今回ご紹介する「PARISーEDIMBOURG(パリ エディンバラ)」は、ココ・シャネルにとってインスピレーションの元となったスコットランドのイメージを香りに昇華させたもの。
あまり知られていませんが、彼女とスコットランドはどう関係していたのでしょうか?
恋多きココ・シャネルがスコットランドに惹かれた理由、そしてその香りの特徴をご紹介したいと思います。
『CHANEL(シャネル)』のツイードはスコットランドで生まれた
スコットランドは大変水が綺麗な国です。
妖精が住んでいるのかと思うほど美しい水と緑にあふれ、豊かな自然を体感することができます。
ココ・シャネルは、当時世界第三位の大富豪ウェストミンスター公爵ヒュー・グローブナー(時の英国王ジョージ5世の従兄弟)と出会い、1930年まで交際していました。この間、彼女はイギリスの上流社会を知ることとなったのです。
一方、彼女は社交界から離れ、澄みわたる湖や森林に囲まれた大英帝国の北部、スコットランドのハイランド地方で過ごすひと時も楽しんでいました。
ハイランド地方にある公爵の3つの土地を行き来しながら、当時の英国貴族たちがレジャーを楽しむ際に着用していたツイードジャケットなどにインスピレーションを受けたとのことです。
スコットランドのハイランド地方では、他のどの国にもない、澄み切った空気と水を感じることができます。
パリでもイギリスでも絶対に経験することのできないゆったりとした時間、人口の数より羊が多いというこの地では、人間が「天」と「地」のあいだで「生かされている」というのを思い知らされます。
このような神聖な場所で、おそらくココ・シャネルの心は浄化されたのでしょう。
シャネル5番の発表から数年たった当時、スコットランドの綺麗な空気に癒された彼女は以前にも増してクリエーションに磨きがかかっていたのだと思います。
2012年には、故カール・ラガーフェルドがツイード、ニット、カーディガンといった『CHANEL(シャネル)』のアイコンの発祥地であるエディンバラ(スコットランドの首都)を称えるコレクションを発表し話題となりました。
そんな、『CHANEL(シャネル)』にとって縁の深い「スコットランド」にオマージュを捧げた香りが、今回の「PARISーEDIMBOURG(パリ エディンバラ)」なのです。
スコットランドを思わせるグリーンノート、正真正銘のユニセックス
PARISーEDIMBOURG(パリ エディンバラ)オードトワレ
トップノート:ジュニパーベリー、サイプレス
ミドルノート:シダー、ベチバー、ラベンダー
ラストノート:ムスク、バニラ
発表年:2021年
調香師:オリヴィエ・ポルジュ
対象性別:ユニセックス
「PARISーEDIMBOURG(パリ エディンバラ)」のグリーンノートは、『CHANEL(シャネル)』香水のなかでもかなり神秘的な部類に入ります。
トップノートのジュニパーベリーは、ハイランド地方の水分をたっぷりと含んだ木の葉のみずみずしい香りがします。一吹きした瞬間からまるで「ケルト音楽」が流れてくるような、一切の雑味のない、神聖な香りです。
癒しを求める現代人にとって、香りもリラックス効果をもたらすツールの一つ。
気分が上がり、自分を高揚させてくれるフレグランスもありますが、「PARISーEDIMBOURG(パリ エディンバラ)」の香りはその対極にあると言って良いでしょう。
豊かな水と緑の香りが、ざわついていた心をスーッと落ち着けてくれます。
オードトワレということもありますが、ウッディ・グリーン系のノートなかでもこちらはずっと軽やかで、クセも少なく使いやすい印象です。
そしてベチバーに彩られたミドルノートは大変りりしく、ただ爽やかだけではない『CHANEL(シャネル)』の気品もきちんと感じられます。
ラストノートに至る頃には温もりが増し、スコットランドの寒さから「ツイード」が身を守ってくれるように、温かい雰囲気に包まれます。
「PARISーEDIMBOURG(パリ エディンバラ)」はベチバーをメインとした香りです。
ベチバーという香りは少しダークで、湿り気と少しの焦げ感、ウッディーでアーシー、濡れた土壌の香りがします。
シトラスの持つ明るさや、花の持つ華やかさ、薬草類にある清々しさなどからは程遠い、落ち着いた大人の香り。しかしそこが『CHANEL(シャネル)』らしくもあるのです。
この大人な香りと向き合うことは、自己と向き合う時に非常に貴い存在になります。
大地の持つ力強さ、水と木々の神秘性など、「PARISーEDIMBOURG(パリ エディンバラ)」の魅力はスコットランドの自然美を無意識のうちに体感できるところにあるのではないでしょうか。
大人の男女へ、清涼感のあるライトなシャネル
ということで、『CHANEL(シャネル)』ファンにはもちろん、気品のあるグリーンノートをお探しの方にはかなりお勧めできる1本です。
年齢層は20代後半から60代、大人の層にベチバーという香りは良く似合います。
『CHANEL(シャネル)』香水に興味がある方で、「強い香りはちょっと…」と嫌煙している方には「Les Eaux De Chanel(レ ゾー ドゥ シャネル)」シリーズは理想のフレグランスとなるかもしれません。
夏にまとえるシャネル、としてのコンセプトを持っていますので、クラシックなシリーズよりもっと気軽にまとえるところも魅力です。
まとめ
スコットランドの自然美を『CHANEL(シャネル)』なりに解釈した新香水「PARISーEDIMBOURG(パリ エディンバラ)」。
あまりの神聖な香りに、自分の至らない部分を正したくなるようです。
これほど優れたウッディ・グリーンノートもそうありません。
香りにはこんなにもエネルギーがあるのだな、と改めて感心してしまうほど心に訴えてくるこのフレグランス、必見です。