Diorにとって最も重要なフレグランスといえば、「J’ADORE(ジャドール)」シリーズです。

香水の聖地、フランスでは2020年に最も売れた香りNo.1を記録しました。

1999年の発売から20年以上経った今でも、色褪せることのないスーパーフレグランスが、「J’ADORE(ジャドール)」なのです。

これはフランス語で「大好き」という意味を持ちます。

幅広い年齢の女性に似合う、フルーティー・フローラル香水の傑作中の傑作といえる香りです。

そんな「J’ADORE(ジャドール)」シリーズに、新しい香り「J’ADORE INFINISSIME(ジャドール インフィニッシム)」が仲間入りしました。

オリジナルの「J’ADORE(ジャドール)」がフルーティーなのに対し、「J’ADORE INFINISSIME(ジャドール インフィニッシム)」は濃厚なチュベローズがヒロインとなったオードパルファムです。

その「蜂蜜」のようにクリーミーな香りは、従来の「J’ADORE(ジャドール)」をより官能的に、よりゴージャスなものへと変身させています。

これからの季節、特にクリスマス時期にぴったりな「J’ADORE INFINISSIME(ジャドール インフィニッシム)」の香りをここで詳しく解説していきたいと思います。

チュベローズとは

甘く濃厚な香りをもつチュベローズ。

これはローズではなく蘭の一種で、夜になると香りが強くなることから和名は「月下香」と呼ばれています。

また、夜になると花が咲く、という性質があるため「夜の女王」と呼ばれることもしばしば。古くから高貴な人々に愛され、香りの多くに使用されてきました。

チュベローズを扱った代表的な香水には「ジミーチュウ」、グッチの「ブルーム」などがあります。

組み合わせる香料次第で、エレガントにも官能的にもなりますが、そのほとんどがハイエンドなもの。

セクシーとはいっても決して下品にならないのが特徴です。

今も昔も、「モテフレグランス」として活躍しているようです。

蜂蜜のように香るジャドール

J’ADORE INFINISSIME(ジャドール インフィニッシム)オードパルファム

ノート…ジャスミンサンバック、イランイラン、サンダルウッド、センティフォリア・ローズ、グラース・チュベローズ

発表年…2021年

調香師…フランソワ・ドゥマシー

対象性別…女性

2021年10月に新しく発売となった「J’ADORE INFINISSIME(ジャドール インフィニッシム)」は、歴代のジャドールのなかでもひときわ濃厚です。

動物的なジャスミン・サンバックとフルーティーなグラース産ジャスミンの二重奏。

コモロ諸島産イランイランが、世にも甘美な香りを奏で始めます。

花の香りのいちばん美しい部分だけで紡がれるノート。

とても「感覚的」で、蜜のように甘く、夜露に濡れたように艶やかです。

爽やかさとは無縁の、エキゾチックで官能的な花の匂い。

そしてグラース産チュベローズが美しい旋律を成すかのようにあふれ出て、フレグランスの中心的存在に。

肉感的なまろみを持った、甘く複雑なチュベローズ。

蜂蜜が花と一体化するような、艶やかなハーモニーと芳醇な香りにジャドールの醍醐味を感じられるでしょう。

現代の「ミニマリスト」的なフレグランスとはほど遠い、その濃厚な香りには一瞬ためらってしまうかもしれません。

しかし、「J’ADORE INFINISSIME(ジャドール インフィニッシム)」は19世紀「ロマン主義」を彷彿とさせるもので、逆にこっくりとした香りが今では貴重です。

「ロマン主義」とは、18世紀末から19世紀前半のヨーロッパで起こった芸術思想。

それまでの理性や合理性を重んじる古典主義に対して、自由な感性による感情表現や多様な美の表現を尊重しました。

甘美な気持ちや情緒的な感情をロマンティックと形容するのはここからきています。

ロマン主義者たちは自然を崇め、自由や力、愛などを崇拝し、非現実的な世界に憧れました。言い換えるなら、現実に対する否定的な態度をとり、夢のような想像の世界を求めたのです。

「J’ADORE INFINISSIME(ジャドール インフィニッシム)」の世界観も浮世離れしていて重厚なので、「重い」と感じる方も多いでしょう。

しかし、それぞれの人間の感じ方は当たり前ですが異なります。

共通の理想に縛られず、感受性を大切にする方にとっては「これだ!」と思える香水に違いありません。

シンプルに言えば、「コクのある甘さが神秘的な、セクシーなパルファム」です。

穏やかに、ゆったりと、寄り添うように肌の上に留まるような香り方をするのも特徴です。

Diorを愛する淑女に

「J’ADORE INFINISSIME(ジャドール インフィニッシム)」は先述した通りコクのある香りなので、万人にお勧めできるというわけではありません。

成熟した大人の品格を感じさせ、そしてとてもセクシーな1本なのでTPOなどは選びますが、それでもオフタイムには抜群の存在感を放つでしょう。

年齢層は20代後半から40代後半、「大人の女性」に完璧に似合う香りです。

「マダム」すぎないマニッシュなスタイルに合わせても良いと思います。

ゴージャスな服装ですと、足し算が過ぎてしまうかもしれません。

季節や服装などを計算し、香りを上手にプラスことのできる大人の女性にぴったりな1本です。

Diorファンの方はもちろん、チュベローズがお好きな人にとっては最適です。

天然のフローラル香の魅力、そしてDiorの華やかな世界を楽しみたい方、シンプルと対極にある香水を求めている方には大変お勧めです。

まとめ

Diorの「J’ADORE(ジャドール)」が発売になってから20年以上が過ぎました。

今ではシリーズ化され、他にもたくさんの香りが存在します。

そのなかでも「J’ADORE INFINISSIME(ジャドール インフィニッシム)」は一、二を争う芳醇さです。

また、今回からボトルを飾る象徴的なゴールドのネックレスも新デザインになりました。

かつてないほど贅沢に、大胆にフェミニティを表現した新作香水。

「奇跡の黄金水」と呼ばれるジャドールの新しい香りは、チュベローズの「官能性」を最大限に引き出したものです。

センシュアルでパワフルな、2021年の「J’ADORE(ジャドール)」をぜひ感じてみてくださいね。