2021年9月1日、『Guerlain(ゲラン)』の最高級ラインであるL’Art et la Matière(ラール エ ラ マティエール)シリーズがリニューアルとなりました。
この意味は、フランス語で「芸術と素材」。
文字通り、最上の素材(香料)を用いて、最高のアーティスト(調香師)たちが作る、『Guerlain(ゲラン)』の傑作シリーズなのです。
実は、この最高級コレクションはゲランフレグランスにおいて売上の20~30%を占めると言われています。
一般的な価格よりも2~3倍ほど値が張るのですが、それでもファンが途絶えないのは、それだけ素晴らしい香りが揃っているからに違いありません。
事実、コンセプトは「世界で最も貴重な原料を使ってゲランのパッションを表現すること」。
その香りはフランスの工房 Pochet du Courval (ポシェ社)作の、八角形の美しいボトルのに詰められ、圧倒的な存在感を放っているのです。
今回ご紹介するのは、その中でも王道の「男前香水」である、「FRENCHY LAVANDE(フレンチー ラヴァンド)」です。
美しいブルーに彩られた、ゲラン帝国の「最上」メンズ香水を徹底解説したいと思います。
L’Art et la Matière(ラール エ ラ マティエール)シリーズとゲラン本店の美
2021年11月初旬、パリのゲラン本店では、L’Art et la Matière(ラール エ ラ マティエール)シリーズのリニューアルを記念して、自然素材を扱ったコンテンポラリーアート展が開かれていました。
テーマは『When Material becomes art by Guerlain』。
ゲランのパリ本店といえば、シャンゼリゼ大通りの本店は1912年から存在し、100年以上同じ場所に店舗を構えている場所でもあります。
ホテルリッツ・パリを手掛けた建築家のシャルル・ミュエスによって建てられたブティックは建築としても美しく、19世紀の息吹を感じられる完成度を誇っています。
L’Art et la Matière(ラール エ ラ マティエール)とリンクした今回のテーマは、「素材」の力にフォーカスしたもの。
これらの香りが「究極のゲラン」と言われるように、素材の「究極の力」が感じられるアート展となっていました。
さて、今回のコレクションは、大まかに4つのオルファクティブ・ファミリー(嗅覚分類)に分かれています。
・活き活きとしたフレッシュさ(Les Fraicheurs Vibrantes)
・欲望に満ちたオリエンタル(Orientaux Enivrants)
・力強い木々(Bois Puissants)
・情熱的な花々(Les Fleurs Passionnelles)
現在12種のラインナップがあるL’Art et la Matière(ラール エ ラ マティエール)は、それぞれどれかのファミリーに当てはまる、ということになります。
今回ご紹介する「FRENCHY LAVANDE(フレンチー ラヴァンド)」は、“活き活きとしたフレッシュさ(Les Fraicheurs Vibrantes)”に当てはまります。
メンズの香りで、ラベンダーという意外な組み合わせは、一体どのように香るのでしょうか。
『Guerlain(ゲラン)』の解釈を踏まえて、詳しくご説明したいと思います。
イメージは若かりし頃のアラン・ドロン
FRENCHY LAVANDE(フレンチー ラヴァンド)オードパルファム
トップノート:ベルガモット、レモン・バーベナ、レモン
ミドルノート:プチグレン、シトロン、ネロリ、ラベンダー、セージ
ラストノート:ベチバー、アンバーグリス、トンカビーン
発表年:2021年
調香師:ティエリー・ワッサー
対象性別:男性
「FRENCHY LAVANDE(フレンチー ラヴァンド)」のフレンチ―は“フランスらしい”、そしてラヴァンドは“ラベンダー”という意味です。
ラベンダーの香りは世界中で多くの人に愛され今や香りの「定番」として位置付けられています。
フレッシュな香りが特徴で、花々のフローラルな風景が広がる印象がありますが、一方で土にしっかりと根を張り育った草やハーブの力強さを感じられる面もあわせ持ちます。
そして、「FRENCHY LAVANDE(フレンチー ラヴァンド)」の香りの側面には、その“ハーブの力強さ”が含まれています。
ラベンダーが使用されているメンズ香水といえば、シャネルの「エゴイスト プラチナム」が筆頭に上がるでしょう。
ここからも分かるように、ラベンダーの香りが効いているフレグランスは、ちょっとウィットに富んでいて、スタイリッシュで、芸術家然としているのです。
二枚目が二枚目であるのに多くの言葉が必要ないように、「FRENCHY LAVANDE(フレンチー ラヴァンド)」も決して多くの素材を使っていません。
まず、トップノートは好ましい柑橘系ノートで始まります。
その香りは「モード」でも何でもなく、嫌味がなく、とてもシック。
飾るものなど何もいらない、本物の美男子を示しているかのようです。
次にハーブの香りが颯爽と現れます。
それは主にラベンダーとネロリ、セージなのですが、驚くほど“端正”な香り方をします。
まるで、若かりし頃のアラン・ドロンのような、クラシカルなイケメン香。
もちろん、決してそれが古臭いというわけではありません。1960年代の美男子を現代風に解釈した香り、と言えるでしょうか。
そのシックで風格のあるフゼア調ノートは、大手ファッションブランドのモード・フレグランスが霞んでしまうほど王道で、品があり、原点回帰を思わせるものです。
ラストノートもまた二枚目です。
トンカビーン、アンバーグリスといった女性が好む甘い香りが残り香として漂い、ダンディズムの余韻を残します。
ということで、「FRENCHY LAVANDE(フレンチー ラヴァンド)」はかつて“世界が恋した”若き日のアラン・ドロンのような、大変男前な香りです。
南仏産のラベンダーなど最上級の香料のみを使っていますので、ごまかしは利きません。
『Guerlain(ゲラン)』の本気度が垣間見える、超一流の王道フレグランスと言えるでしょう。
30代~50代のダンディな方へ
『Guerlain(ゲラン)』のメンズ香水、と聞いてピンとこない方も多いかもしれません。
しかし、「FRENCHY LAVANDE(フレンチー ラヴァンド)」はぜひとも男性の皆様に知っていただきたい素晴らしい香りです。
全体的にフレッシュで品のある香りなので、初めて本格的な香水をまとう方や、ハーブ系のの香りに初挑戦するという方にもおすすめ。
とても上品なのでオフィスはもちろん、デートや休日でも大活躍の、「周りと差がつく、センスあふれる大人の香り」となるでしょう。
印象としては、クラシックなイメージを残しつつも、どこかアーティスティックで才覚あふれる、セクシーな大人の男性、といったところでしょうか。
とはいえあまりしつこくなく、ツンとくる香水ではありませんので、比較的広範囲のシチュエーションで活躍するはずです。
また清潔感もあるので、女性ウケはもちろん、上司や部下、同僚、取引先の人など、関係を問わず好感を得られやすい、パーフェクトに優秀な香水でもあります。
年齢層は30代~50代のダンディな方へ。
モードという流行り廃りに流されない、一流ブランドの極上フレグランスです。
ベーシックに使える香りなので、気に入る方はきっと“一生の相棒”となるかもしれませんね。
まとめ
『Guerlain(ゲラン)』の最新シリーズ、L’Art et la Matière(ラール エ ラ マティエール)から「FRENCHY LAVANDE(フレンチー ラヴァンド)」をご紹介しました。
リニューアルしたばかりですが、これからはどんどんこのシリーズが『Guerlain(ゲラン)』香水の主流となっていくのだろうと思います。
香料というものは、素晴らしければ素晴らしいほど、逆に控えめに香っていきます。
今回の「FRENCHY LAVANDE(フレンチー ラヴァンド)」も強い香りではないのに、主張するところは主張する、そういった個性がさすが『Guerlain(ゲラン)』!と言えるでしょう。
フレンチフレグランスの至宝、『Guerlain(ゲラン)』が提案する男前香水「FRENCHY LAVANDE(フレンチー ラヴァンド)」をぜひお試しになってみてくださいね。