メゾン クリスチャン ディオールは、Diorでも最高級のフレグランスコレクション、エクスクルーシブラインです。
スタートは2018年、世界のDiorブティック、オンラインのみの販売となっています。
それは、私たちが慣れ親しんでいるDiorのフレグランスとは一線を画すものであり、Diorも「真のフレグランス」と謳うものです。
専属調香師はフランソワ・ドゥマシー。
ミスター・ディオールとも呼ばれる彼は、シャネルの調香師、ジャック・ポルジュに師事し、その後長年ディオールに貢献してきました。
代表作に「ミス ディオール」、「ジャドール」などがあります。
Diorとドゥマシー氏はフランス・グラースにある2つのバラの有機農園と独占契約を結んでいます。
今ではグラースの香料用花栽培の復活をサポートする流れを作り、契約農園も拡大しています。
今回ご紹介するのは、そんなエクスクルーシブラインの新作、「Vanilla Diorama(バニラ ディオラマ)」です。
フランソワ・ドゥマシーが紡ぎだす、喜びと温かさあふれるバニラヘの賛歌。
ほろ苦く、かすかに甘い「大人の高級バニラ」香水をご堪能ください。
フランス人が思うバニラとは
ところで、フランス人は「バニラ」の香りが大好きです。
フランス国内で最も売れるボディーソープの香りはバニラ、リップクリーム、ハンドクリームに至ってもバニラの香りであふれています。
もちろん、スイーツ大国フランスにおける需要は大変高く、バニラは「グルマン」なフランスらしい一番の香り、と言って良いでしょう。
この国では、「食べたくなるようなおいしそうな香り」を身に着けるのが好ましい、と考えられているようです。
日本では石けんやシャンプーなど、「清潔感」を連想させる香りが好まれますが、こちらでは「味覚」と共鳴するものが多いのです。
大人の焦がしバニラ
Vanilla Diorama(バニラ ディオラマ)オードパルファム
トップノート:オレンジ、ピンクペッパー、シトロン
ミドルノート:ラム、カカオ、カルダモン
ラストノート:バーボン・バニラ、サンダルウッド、パチョリ
発表年:2021年
調香師:フランソワ・ドゥマシー
対象性別:ユニセックス
この香りを創った調香師、フランソワ・ドゥマシーは、「Vanilla Diorama(バニラ ディオラマ)」を「真の正統派バニラ・フレグランス」としています。
バニラはよく、ラストノートで脇役的存在として現れることが多いのですが、「Vanilla Diorama(バニラ ディオラマ)」ではもちろん主役です。
今回の使われているその他の香料も、言い換えるなら「名脇役」。
それぞれが、バニラを最高に立たせるために素晴らしい仕事をしているのです。
まずトップノートで最初に現れるオレンジが、私たちの嗅覚を目覚めさせてくれます。
程よくフレッシュで、軽く、嫌味がありません。
バニラのアイスクリームと柑橘系フルーツの相性が合うように、これから始まるバニラの物語に花を添えてくれています。
さて、ミドルノートではラムはそれほど主張せず、カカオ、カルダモンといったビタースパイシーな香りが続きます。
そして、中盤以降で主役バニラのグルーヴ感がクライマックスとなります。
高貴な美しさ、まろやかでいて魅惑的、そして濃密でありながらもフレッシュに香り立つコンポジション。
沈香のように香るバニラは時折り「お香」のような一面も見せながら、穏やかで落ち着いた雰囲気を醸し出します。
全体的にとてもクラシカルな、大人のグルマンといったイメージです。
甘いといえば甘いのですが、そこに品が加わったことで、ポピュラーなバニラを「ホテル・リッツ」でサーブされるような高級デザートに変身させています。
「Vanilla Diorama(バニラ ディオラマ)」ではマダガスカル産のブルボン・バニラを使用していますから、格式のある甘さ、奥行きのある香りが特徴です。
そんなバニラを主役にしたDiorの新作は、まさに「大人の焦がしバニラ」といった感じで、グルマン系がお好きな方にはあらたな「マストハブ」の香りとなるでしょう。
冬、ニット、知性
Diorフレグランスは世界の人々に広く愛されています。
しかし、エクスクルーシブラインはDior香水を理解する人、素材の力を感じたい人には絶対に見逃せないシリーズです。
最高級ラインともあってお値段は2倍以上するのですが、Diorの魅力はこのシリーズでこそ発揮されている、といって差し支えないでしょう。
「Vanilla Diorama(バニラ ディオラマ)」もまた、知性が似合います。
世の中のありふれたバニラの香り、大衆的なバニラに辟易する人にとってはまたとない香りです。
寒い時期にはグルマン香水が映えるといいますが、「Vanilla Diorama(バニラ ディオラマ)」も秋冬が良いでしょう。
ニット、ウールコート、マフラーといった冬支度とこの香りはとても相性が合います。
年齢層は20代後半~50代、60代の方に。
甘いだけのバニラとは異なり、温かさとどこか野性的なキャラクターを持っていますので、
男性がまとえばジェイ・ギャツビーのような、ベルエポックな雰囲気を出すことができると思います。
逆に、女性がまとっていたらとてもカッコいい印象に。
バニラでカッコいい、というのはレアです。
グルマンが好きだけどスイートになりすぎる、という違和感を感じている方にはとてもしっくりする香りではないでしょうか。
バニラの高貴な魅力を表現した「Vanilla Diorama(バニラ ディオラマ)」。
Dior香水と聞いて私たちがイメージする香りとは全く異なるものなので、この機会に「Diorの本気」を試してみるのも良いかもしれません。
まとめ
Diorの専属調香師、フランソワ・ドゥマシーは、「いま存在する香りの多くは似たりよったりです。そんな風潮に対するアンチテーゼとしてこのコレクションは存在しています」
とエクスクルーシブラインについて語っています。
このラインに関しては、ペースや予算、流行など、あらゆる制約を受けずに自由にクリエイションを行っているとのことですから、まさに「最高のDior」を受け取ることができるのです。
フランスが愛してやまない、バニラの香りを老舗Diorと共に。
2021年9月発売の、最新にしてクラシックなグルマン香をぜひお楽しみください。