ヨーロッパで絶大な人気を誇る香水ブランド『ミュグレー』。

日本での知名度は低く、聞いたこともない、という方も多いかと思います。

ミュグレーの香りはどれも強く、持続力も最強です。

香り自体も超ユニークで、日本では万人ウケしない…という印象が強いミュグレー。

しかしそんな香りが、ヨーロッパを始めとする世界中の女性を虜にしてきたというのは紛れもない事実です。

そもそもミュグレーは、フランス生まれのファッションデザイナーでした。

1973年に自身の名を冠したブランド、ティエリー・ミュグレーを設立、80年代には「ミュグレーがトレンドそのもの」と言ってよいほどの影響力を持つまでに成長します。

1992年には世界初のグルマン香水「エンジェル」を発売。

世界中がその星型ボトルの名香に夢中になりました。その後「エンジェル」は伝説の香りとして香水界にその名を轟かせるのです。

しかしそれ以降、ミュグレーは「エンジェル」を超える香水を発表できていませんでした。

それから13年後に発売されたのが今回ご紹介する「Alien(エイリアン)」です。

「Alien(エイリアン)」はこれまでのミュグレー=グルマン香水という方程式を見事に打ち破り、ジャスミンとアンバーがメインのゴージャスな香りでもって華麗に登場します。

これがエンジェルを超える勢いで大ヒットします。

その人気ぶりは「ヨーロッパの女の子はみんな“エイリアン”の香りがする」と言われるほど。

こうしてミュグレーの香水は再びセンセーションを巻き起こしたのでした。

今回は、ザ・ヨーロッパな香水「Alien(エイリアン)」について詳しくご紹介します。

エキゾチックなジャスミンの香り

「Alien(エイリアン)」の香りはジャスミンがメインです。

ジャスミンと聞くとお茶のイメージが強いかと思いますが、ジャスミンの香りの歴史は古く、古代エジプト王国の女王、世界三大美女で有名なクレオパトラが精油として愛用していました。

またジャスミンの精油には催淫効果があり、古代エジプトではジャスミンの香りを「媚薬」として使用していたそうです。

ジャスミンの精油の催淫効果は現代の肉体に対する精力増強というより、本来的な人間の欲求を解放するという、精神面での効果が強いのだとか。

その濃密な香りから「夜の王様」とも呼ばれるジャスミンの精油ですが、これはジャスミンの花が夜になると一層強く香るためその呼び名がついたとされています。

「Alien(エイリアン)」は、そんなジャスミンをヒロインにしたゴージャスな香り。

ただちょっぴりクールでミステリアスなところもあり、ゴージャスながらも人間味があまりありません。

ジャスミンという華やかな香料を使っているのに、実はクールでドライな、まさに謎の生体=エイリアンのイメージです。

それからもう一つの特徴と言えば、ジャスミンを使用した香水にはアニマリックなセクシーさが往々にして付与されているのですが、「Alien(エイリアン)」にはそれもありあません。

少し分かりづらいのですが、植物が動物に生まれて初めて会った時のような感覚・驚きが「Alien(エイリアン)」では表現されているのです。

それでは奥の深い「Alien(エイリアン)」の構成を見ていきましょう。

モダンで強い、インパクト大なオリエンタルノート

Alien(エイリアン)オードパルファム

トップノート:ジャスミン

ミドルノート:ウッディノート、カシミアウッド

ラストノート:アンバー、ミルラ、インセンス

発表年:2005年

調香師:マリー・サラマー二ュ

対象性別:女性

「Alien(エイリアン)」はジャスミンとアンバーがメインのゴージャスな香り。

ヨーロッパではトップセールスを誇り、「Alien(エイリアン)」の香りを知らない若い女の子はいない、というほど大人気の香水です。

そのため「Alien(エイリアン)」は2005年の発売以来シリーズ化され、現在では24種類にも増えました。

オリジナルの「Alien(エイリアン)」から香るトップノートはいきなりジャスミンです。

そんなジャスミンの裏側には、すでにずっしりとしたアンバーやウッド系の気配も。スタート早々からザ・オリエンタル!な香りが漂ってきます。

ただ先述した通りトップノート~ミドルノートでは動物的な香りが一切しません。

やはりジャスミンの、“あくまで植物”、という物腰柔らかなところがしっかりと感じられます。攻撃性もありません。

オリエンタルノートで動物性を感じさせない、というのも凄いところです。

ただ日本の「甘めフローラル」という透明感のある香りではなく、非常にボリュームを感じられる仕上がりになっています。

インドのアーユルヴェーダ、中東の精油に似たこっくりした香りで、満足感は抜群。

グッチやシャネルといったハイブランドにもありそうな、ヨーロッパらしい香りです。

ラストノートではウッディノートが引き続き香り、インセンスのスモーキーな香り、アンバーのふくよかさがどんどん際立ってきます。

出力は高め。まとうなら冬、夜寝る前に

「Alien(エイリアン)」を日本でまとうなら気を付けるべきポイントが幾つもあります。

まずは季節。

かなり重厚なため、気温が10℃以下の冬の日に限定した方が良いでしょう。

「Alien(エイリアン)」と湿気は似合いません。

服装も重めで、コートやジャケット、マフラーなど何重にも重ね着した服の中から「蒸発させる」ようにまとうのが良いと思います。

そのため手首や耳の後ろといった目立つ場所より、ウエストや太ももなどの隠れる場所にちょっとつけるのがおすすめです。

これさえあれば、ライトな香りが好まれる日本でも「Alien(エイリアン)」は絶対に良い香りとなります。

ミュグレーの傑作であり名香と呼び声の高い「Alien(エイリアン)」を、香り好きの皆さんが知らないというのはあまりにももったいない。

それから寝香水というテクニックもありますが、これは一人暮らしだったり、自分だけの寝室がある人には良いですね。

というのもパートナーに次の朝以降も香りが移ってしまいますので、合意が得られない場合はやはり控えた方が良いかと思います。

これからも分かるように、「Alien(エイリアン)」の持続力はかなり高めです。

もちろんオフィスには向きません。

オフの日、自分らしさを思いっきり出せる時に「Alien(エイリアン)」を身に着けるのがおすすめです。

年齢層は20代後半以降なら何歳でも。

ヨーロッパでは20歳から70歳くらいまでの女性に幅広く好まれているようです。

まとめ

ミュグレーのフレグランスは独創的で他に似ているものが何一つありません。

香りも、ボトルもすべてが本当にユニーク。唯一無二の香りを追求しているところや世界観はハイブランドの中でも大変目立っています。

ヨーロッパで人気の香りが欲しい方、人とは違った香水を楽しみたい方はぜひ一読ください。