誰もが認める名門ブランド『HERMES(エルメス)』。

最高級の素材、高度な技術、1点1点を丁寧に仕上げるクラフトマンシップで製品を生み出し続け、今は世界でも一、二を争う高級メゾンとなりました。

バッグや靴に限らず、スカーフ、テーブルウェアにも入手困難なものが多く、「ケリーバッグ」はもはや伝説的なアイテムとなっています。

そして香水部門も主力級の充実したラインナップで、デパートのコスメフロアには『HERMES(エルメス)』だけの香水売り場があるほどです。

さて、そんな香水ラインにもベストセラーのシリーズがあります。

それは、日本でも人気の高いあの「庭シリーズ」です。

・ナイルの庭

・李氏の庭

・地中海の庭

・モンスーンの庭

・屋根の上の庭

・ラグーナの庭

現在はこの6つの香りが発表されていて、ナイルの庭は特に日本で愛されています。

今回ご紹介するのは、この中でも一番最近に発表された「UN JARDAN SUR LA LAGUNE(ラグーナの庭)」(2019年)。

水の都ヴェネツィアをモチーフにしたフレグランス、一体どんな香りなのでしょうか。

ヴェネツィアの舞台となった秘密の庭のお話とともに、「UN JARDAN SUR LA LAGUNE(ラグーナの庭)」を詳しくご紹介します。

世界遺産ヴェネツィア・ジュデッカ島にある秘密の庭園

イタリア北部の街、ヴェネツィアは「文化遺産」の登録基準をすべて満たしたウルティメイト世界遺産です。

世界で最も世界遺産の多い国イタリアにあって、トップに君臨する街。

ヴェネツィアは、人類の宝ともいえる街なのです。

大小100の島からなるヴェネツィアですが、その中にジュデッカ島というのがあります。

「UN JARDAN SUR LA LAGUNE(ラグーナの庭)」は、ジュデッカ島に存在する【イーデンの庭園】をイメージして調香されました。

その庭園は、19世紀末のイギリス貴族、フレデリック・イーデン卿の私有地です。

ヴェネツィア最大のイギリス式庭園で、イーデン卿亡き後も一般公開はされていませんでした。

今まで許可されたのは、マルセル・プルーストやジャン・コクトーといった特別な著名人のみ。その後ヨーロッパの王族や財閥に庭園の所有権が渡りますが、今まで一度も公開されたことはありません。

しかし『HERMES(エルメス)』は、ここに入場できるよう交渉します。

一人の女性調香師、クリスティーヌ・ナジェル氏(2016年からエルメスの専属調香師)がその庭園の神秘性に魅せられ、香水を作ることを決意したからです。

何度も拒否された後で、ナジェル氏は最終的にイーデンの庭園に足を踏み入れるのですが、

そこでは素晴らしい香りが待ち受けていました。

「UN JARDAN SUR LA LAGUNE(ラグーナの庭)」は、ヴェネツィア×英国式庭園のそよ風が吹くオードトワレなのです。

庭園の魅力的な草花、ラグーンの海の香りのマリアージュ

UN JARDAN SUR LA LAGUNE(ラグーナの庭)オードトワレ

シングルノート:モクレン、マドンナリリー、トビラノキ、マリン、ウッディノート、アッケシソウ

発表年:2019年

調香師:クリスティーヌ・ナジェル

対象性別:ユニセックス

ナジェル氏はイーデンの庭園について、特別な手入れがされていない、自然そのもののようだったと言っています。

しかし、彼女はそこに一年以上通い詰め、四季を通してありとあらゆる庭園の植物に触れていきます。

特に表現したかったのは、庭園に咲く百合、モクレンのフローラルノート。

そこに海の雰囲気を醸し出すマリンノートをのせ、ヴェネツィアが海沿いの街であるということも的確に表しています。

2019年『HERMES(エルメス)』の年間テーマは、「夢を追いかけて」。

ナジェル氏がやっとの思いでイーデンの庭園に入ることを許可された、、、そんな夢の実現を彷彿とさせる、とてもロマンのある香りです。

全体的には、「UN JARDAN SUR LA LAGUNE(ラグーナの庭)」はフローラルな中にも水の爽やさと透明感が存在する香り。

フローラルですがそこまで甘くはありません。

百合のすっきり感、そしてマグノリアのクリーミーさが良い感じに合わさっています。

マリンノートやウッディも添えられているからでしょうか、フェミニンになりすぎていないところもあります。

世界で最も透明感にあふれる「水の都ヴェネツィア」と、格式高い「イングリッシュガーデン」が恋に落ちたような、ロマンティックな香り。

庭園の樹木、草花、そしてラグーン(潟)の雰囲気が一度に経験できる贅沢な1本です。

穏やかで上品な『HERMES(エルメス)』らしさを求める方へ

「UN JARDAN SUR LA LAGUNE(ラグーナの庭)」は、やはり『HERMES(エルメス)』らしくとても上品なオードトワレです。

フローラルとマリンノート、程よいウッディ感がある香りなので、ユニセックスとしてお使いいただけます。

少々フェミニン寄りではありますが、30代後半以降の男女にとても良く似合うと思います。

オードトワレということもあり、攻撃性が一切ありません。

そのため、穏やかさ・エレガントさ・落ち着きを香水に求める方には声を大にしておすすめしたい香りです。

また、甘いフローラル、典型的なマリンノート、ウッディノートは避けたいという方にも最適。

掴みどころがないようですが、ヴェネツィア、そしてイングリッシュガーデンを念頭にまとっていただければその情景が脳内で鮮やかに広がっていくことでしょう。

とても品があるので、オン・オフどちらにもOKだと思います。

天候の移り変わりに左右されないので、湿気の多い日本の春夏でも大丈夫。

『HERMES(エルメス)』香水の中でもまといやすい1本です。

まとめ

『HERMES(エルメス)』の庭シリーズは、大変評判が良く世界中でファンを持つ人気ラインです。

2006年の「ナイルの庭」から快進撃が始まったこのラインも、2019年の「UN JARDAN SUR LA LAGUNE(ラグーナの庭)」で6作目。

世界7大調香師の一人、クリスティーヌ・ナジェル氏の力作です。

女性ならではの繊細で柔らかい感性と、『HERMES(エルメス)』の品格が漂う確かなオードトワレ、これからもシリーズの動きから目が離せません。