世界の女性から愛されているコスメブランド、ランコム。
ランコムと言えばマスカラが大変有名ですが、実は香水からスタートしたブランドでした。
1935年にフランスで誕生し、今となってはフレグランス、スキンケア、メイクアップのすべての分野でヒット製品を生み出しています。
ランコムの創立者であり、調香師でもあるアルマン・ブティジャン氏は、初回作品として5種類の香水を発表しました。
同時にスキンケア製品も作られ、同年にはパリの高級ブティック街、サントノレ通りに専門店をオープンしています。
ちなみにランコムというブランド名は、フランス中部アンドル地方にあるランコム城から来ています。
香水のベストセラーには「トレゾ―」「ミラク」といった作品があり、一度は「聞いたことがある」という方も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介するのは、ランコムでもう一つのベストセラーとなった「La vie est Belle(ラ ヴィ エ ベル)」です。
2012年の発表以来、アメリカをはじめとする多くの女性に指示を受ける「La vie est Belle(ラ ヴィ エ ベル)」。母国フランスでも大変人気のある香りです。
「美しい人生」という意味を持つ、このスイートな香りを詳しくご紹介します。
香りの主役はプラリネ、甘く濃厚なグルマン
「La vie est Belle(ラ ヴィ エ ベル)」は、甘く濃厚なグルマンノートです。
グルマンとは、フランス語で「食いしん坊」の意味。
そして香水界では、グルマンノートは「お菓子のようなスイートな香り」というカテゴリーになります。
今回、「La vie est Belle(ラ ヴィ エ ベル)」の中心になっている香料が、スイーツファンにはたまらない「プラリネ」です。
プラリネとはローストしたナッツと砂糖を挽いてペースト状にしたもののこと。
チョコレートをコーティングしたものをプラリネ・ショコラと言い、フランスをはじめとするヨーロッパで最も人気のあるチョコレートフレーバーとなっています。
実はプラリネには、フレンチ・ショコラティエの並々ならぬこだわりが詰まっています。
美味しいプラリネを作るお店は必ず自家製で、出来合いのプラリネを使わずに、ナッツを挽くところから始めます。
というように、ランコムの母国フランスではチョコレート、特にプラリネは誰もが愛する食材の一つ。
パリの街角インタビューで、「貴方がどうしても辞められないものと言えば?」という問いにほとんどの人が「チョコレート」と答えたほど、チョコレートは皆が大好きな食べ物・香りでもあるのです。
ということで、チョコレートは人生に小さな小さな幸せをもたらしてくれるスイーツ。
「La vie est Belle(ラ ヴィ エ ベル)」=美しい人生、と名付けられたのも納得ですね。
グルマンと幸せなお花が混じりあう華やかな香り
La vie est Belle(ラ ヴィ エ ベル)オードパルファム
トップノート:ブラックカラント、ペアー
ミドルノート:アイリス、ジャスミン、オレンジブロッサム、パリ―ダ
ラストノート:プラリネ、バニラ、パチュリ、トンカビーン
発表年:2012年
調香師:オリヴィエ・ポルジュ、ドミニク・ロピオン、アン・フィリッポ
対象性別:女性
「La vie est Belle(ラ ヴィ エ ベル)」は、トップノートではっきりとフルーティーな香りがする、というわけではありません。
香りのメインはプラリネを中心に、ブラックカラント、バニラの3つ。
そのため、トップのペアー(洋梨)の香りは「縁の下の力持ち」のような役割で次に続くミドルノートを支えています。
そしてすぐに、ミドルノートのフローラルが華やかに香ってきます。
もちろんグルマン系とジャスミンの相性は抜群ですから、よりグルマンの良さがここでも引き立っています。
ただ、ミドルノートの花々はそれぞれに香る、というものではなく、とても上手にブレンドされているといった感じで、全体的には「お菓子」のような雰囲気。
クリスマスシーズンに可愛いパティスリーに足を踏み入れるような、そんなワクワク・ドキドキ感も味わえます。
ラストノートの最後の方ではプラリネとバニラの甘い香りがマックスに。
湯気の立った「焼きたてのケーキ」のような香りもします。
そして、パチョリがラストに登場し、印象をキュッと引き締め、エレガントな形でフィニッシュとなります。
「La vie est Belle(ラ ヴィ エ ベル)」のイメージモデルを務めるのは、ハリウッドスターのジュリア・ロバーツです。
彼女の素晴らしい笑みのように、この甘く華やかな香りがたくさんの女性を笑顔にしてきたのでしょう。
発売年、ヨーロッパでは人気ナンバーワンとなり、2017年にもアメリカで最も売れた香水TOP1となっています。
「食べたくなるほど甘い」、スイートな香りは女性にとっても、男性にとっても魅力的なものなのです。
甘いだけではない、大人の香り。香水上級者にも
ランコムの香水にはフェミニンで華麗な香りが多いのですが、「La vie est Belle(ラ ヴィ エ ベル)」も上位に入るほどゴージャスな香りです。
濃厚で、持続力も高く、ヨーロッパの乾燥した地域でさえ秋冬向き、と言われています。
そのためオフィスには向きません。夜の寝香水として自分のためだけに楽しむか、お出かけ時におすすめできる香りです。
一見、「La vie est Belle(ラ ヴィ エ ベル)」は若い女性向きのようなイメージがあります。
しかし、実は幅広く、20代半ば〜40代の女性に良く似合います。
最後のパチョリが効いているからでしょうか、甘いだけではない「きちんと感」「大人っぽさ」が出ているので、ティーンには向かないかもしれません。
また、着ける場所もウェストや足首といった衣服で隠れるところ、心臓から遠い位置が良いと思います。
このように濃厚でスイートな香りは、体温の高い位置につけるとすぐ蒸発し香りが拡散してしまうためです。
少しまとい方を選びますが、丁寧に着ければとても上品に香ります。
日本では難易度の高い香りなので、香り上級者さん向けでもあります。
ロリータ・レンピカ
シャネルのココ・マドモワゼル
ディオールのプワゾン
ヴィクター・ロルフのフラワー・ボム
以上の香りがお好きな方にとってはピン!と来るはずです。
透き通ったボトルにピンクの液体、キラキラのスカーフがとても華やかで、まさに気分は「La vie est Belle(ラ ヴィ エ ベル)」。
ランコムらしい、ヒロイン級の輝かしいオードパルファムです。
まとめ
2012年、今から10年も前になりますが、「La vie est Belle(ラ ヴィ エ ベル)」はランコムの「新時代の幕開け」を象徴するスーパースター的な香水として誕生しました。
あれから10年、世界は変わり、当時は誰も想像することのできなかった「コロナ禍」という厄災に見舞われています。
しかし、こんな時にこそ好きな香りを身にまとって暗い気分を一掃したいものです。
香りの持つパワーは計り知れません。
人と会う機会が減った今だからこそできる、自分のための香り探し。
素敵な香りでご自身を再発見してみてくださいね。