イソップは、オーストラリア・メルボルン生まれのボタニカルコスメブランドです。

シンプルなパッケージにユニセックスな香り、肌に優しいスキンケア成分で瞬く間に世界的なブランドとなりました。

質の高いハーブやエッセンシャルオイルを使用しており、合成保存料をできる限り抑え、植物本来の力を生かしたアイテムは、モデルや芸能人の愛用者も多い実力派です。

また香り作りには独自の世界観を持っていて、男女ともに愛される自然派のフレグランスも発売しています。

現在、香りは6種類。

生花に近いローズの香りや、ヒノキの香りなどがラインナップにあり、さすがイソップ!と言いたくなるようなクオリティのものばかり。

今回ご紹介するのは、2021年7月に仲間入りした3つの新フレグランスのうちのひとつ、「Miraceti(ミラセッティ)」です。

この3つの香りはどれも「曖昧な境界線」を示す、とても哲学的な香りなのですが、「Miraceti(ミラセッティ)」は海に浮かぶ船を表現したものです。

海の静けさ、荒々しさ、揺れ動く水平線などからインスパイアされたというフレグランス、一体どんな香りがするのでしょうか。

海の平穏さと狂暴さに挑む「船」。イソップの壮大な世界観

イソップが「Miraceti(ミラセッティ)」で表現するのは、海の平穏さと狂暴さに敬意を示す「船」。

荒れ狂う大波、振り子のように揺れ動く水平線、平和だけどひとりぼっちの世界。

その威厳ある佇まいは、人間の本質的な脆さや弱さとは全く対照的です。

引用:イソップHPより

新作である3つの香水は、「過去と現在」「現実と非現実」「この場所とあの場所」など曖昧な境界がインスピレーション源となっています。

そして「Miraceti(ミラセッティ)」の舞台となったのは、海、船、海水に漂う古木などです。

香水にするにはかなり壮大なストーリー背景があり、家庭用のバスルームアイテムを扱うイソップのイメージとは似ても似つかないものです。

ただそれと同時にイマジネーションも膨らみます。

海と言っても色々な種類がありますが、ここでの海は、どこか大西洋の北の方、イギリスやスコットランド洋に近いイメージがあります。

というのも、「Miraceti(ミラセッティ)」の中には、船室の中の「ウイスキーの樽」を思わせるウッディな香りが漂うためです。

寒く、静かで、壮大。

太平洋の豪快なイメージとはちょっと違った、平穏だけど何が起きるか分からない、危うさを含んだ海の表情が出ています。

3つの新作の中でも「一番癖のある香り」として評判の、イソップの力作を掘り下げていきたいと思います。

大海原に浮かぶ古木、そして船室のウイスキー樽を思わせるウッディノート

Miraceti(ミラセッティ)オードパルファム

トップノート:ブラックペッパー、グリーンマテ・チリリーフ

ミドルノート:ラブダナム、アンブレット、ベンゾイン

ラストノート:ミルラ、シダー、紅藻

発表年:2021年

調香師:バーナベ・フィリオン

対象性別:ユニセックス

「Miraceti(ミラセッティ)」は、イソップのフレグランス部門の長年のパートナーであるバーナベ・フィリオンとのコラボレーションで作られました。

つまり、彼がイソップの香りをすべて調香していることになります。

新作フレグランスについては、「空間から空間への旅でした。空気中でも肌の上でも、服に吹きかけても、これらの香りをまとうと、自分のいる場所から現実と想像が交錯する空間に行くことができます。それはいわば自然への入り口であり、私たちがその中に存在していながらも見過ごしがちな周囲との対話へと導いてくれるのです」とコメントしています。

「Miraceti(ミラセッティ)」のトップノートでまず感じるのは塩と酒っぽさ。

ひと嗅ぎで海をコンセプトにしているものと分かります。

ピリリと効いたスパイスは岸壁にしぶきをあげる白波のよう。

最初は特にスパイスが強いですが、少しさわやかさもあって爽快です。

ミドルノートでは、ラブダナムのハーブの香りが冴えます。

刺激的なトップノートから、豊かなバルサミックの香りへと変貌していく様も素敵です。

スタートでは海のしぶきを、中盤以降は古い木造の船、そしてその船内を探検しているかのような気分になります。

そこで見つけたのはぎっしりと詰まれたウイスキーの樽。

おそらく、ウイスキーを舐めることが乗組員たちの長旅の楽しみだったのでしょう。

それがいつの時代のものだったのかは分かりませんが、ウイスキーの香りはとっくに消えていて、残されたのは古樽のウッディな香り。

ロマンとノスタルジーが感じられる素敵なミドルノートです。

そしてラストノートはミルラとシダーの落ち着いたダンディな香りに。

全体を通して、夏の海ではなく、冬の冷たい海のイメージです。

ですが、ラストで香る温かいウッディノートは船から望む夕日のよう。

通常のマリンノートとはかけ離れており、イソップらしい落ち着きも見られ、調香師バーナベ・フィリオンならではの「新しい海の解釈」が加わっています。

海の荒々しさと平穏さの二面性、そして古船のイメージに香りをのせて。

無骨ながらも泥臭くたくましく生きる、大人の男女にぴったりの1本です。

イソップの中でも個性的な香り。古着を愛する方にも

「Miraceti(ミラセッティ)」のは、イソップの世界観が好きな方はもちろん、それ以外の「個性が欲しい」方におすすめしたい香りです。

オードパルファムですが決して重くなく、しかし軽いというよりどっしりとしているような不思議な一面もあります。

普段は落ち着いていても、ここでは内に秘めた行動力を漂わせたい!といったシーンに良く似合う香りです。

もちろん普段使いもできますし、そういった場合は古着などのファッションにピタリとはまるでしょう。

季節は特に関係ありませんが、どちらかというと長袖の洋服に似合うかなと言ったところです。

女性性、男性性を意識したくない方、○○ぽい、といった壁を取り払いたい方にも。

そもそもイソップの新作は「曖昧な境界線」を表現した香りですから、そういった意味でも真のユニセックスフレグランスと言えるでしょう。

他の香水とは一味違う、独特な海と木の香りのミックスを楽しんでみてくださいね。

まとめ

2021年に新しく加わったイソップの香りはとても哲学的で、壮大なストーリーを内に秘めています。

イソップの香りは自然派ですが、その偉大なる自然にオマージュを捧げたフレグランス、というのが今回の「Miraceti(ミラセッティ)」の魅力でもあります。

すべての源である海、そしてそれに挑む船、海で繰り広げられた過去のストーリー。

ロマンあふれる壮大なウッディノートでイソップの世界観を広げてみてください。