コスメ界の重鎮、エスティ ローダーは1946年から続くニューヨーク発のブランドです。
創業者は、ジョゼフィーン・エスター・メンツァーと、彼女の夫であるジョゼフ・ローダー。
エスティ ローダーというブランド名は、ジョゼフィーンの学生時代のニックネーム“エスティ”からつけられました。
ブランドの創業者であるジョゼフィーンは、皮膚科医の叔父の影響を受け、スキンケアの道を志します。
エスティ ローダーは創業当時、皮膚科医監修のもと開発されたクリームなどを販売していましたが、事業を拡大するにつれさまざまなコスメティックを展開するようになりました。
ダブルウェア・ファンデーション、美容液のナイトリペアなどはブランドのヒット作となり、現在でも人気の衰えない看板商品となっています。
特に1990年代は世界的にエスティ ローダーが流行した時代でした。
それを受け、ブランドは新たなアイコニックとなるべきフレグランスを発表します。
それが、1996年に誕生した「Preasures(プレジャーズ)」です。
そしてこの言葉の意味は「歓喜」となります。
女性が最高に嬉しい、楽しい、と感じる瞬間を香りにした「Preasures(プレジャーズ)」は、ウェディングにもぴったり。
30年近く経つ今も決して色褪せることのない、喜びの香りをご紹介しましょう。
気分は春の花壇
エスティ ローダーの香水部門は、1953年に立ち上げられました。
これまで香水は記念日などに男性が女性へとプレゼントするもの、という立ち位置だったのですが、エスティ ローダーの考える香水は「女性が自分のために日常使いできるもの」という前提があったのです。
その値段は他のブランドに比べて手が届きやすく、そういったところにもブランドの思いが反映されているのではないかと感じます。
エスティ ローダーの香水の特徴は、
・媚びない上品な香り
・みずみずしい生花の香り
この二つが共通点となっていて、花を愛したジョゼフィーンのこだわりが強く感じられるものです。
香水専門のブランドではないものの、立体的なフローラルの香りには定評があります。
春の花壇を思わせるような、優しくも整った印象を周囲に与えるのです。
春の雨に洗われたばかりの、イノセントな花々の香り
出典:エスティローダー・ジャパン公式インスタグラムより
Preasures(プレジャーズ)オードパルファム
トップノート:ホワイトリリー、バイオレットリーブス
ミドルノート:ベイローズ、ブラックライラック、ホワイトピオニー、ピンクローズ、カロカロンデ
ラストノート:ウェストインディアン、パチョリ
発表年:1996年
調香師:アルベルト・モリヤス
対象性別:女性
「Preasures(プレジャーズ)」は、1996年に日本で発売されて以来、不動の人気を誇るブランドのシグネチャー・フレグランスです。
「歓喜」という意味を持ち、イメージソースとなったのは「春の雨に洗われたばかりの花々」。
非常に限定的なシーンを切り取っていますね。
「春の雨に洗われた」という表現も素敵です。
トップノートでは、ホワイトリリ―(白百合)のシャキッとしたフローラル感があふれ出し、バイオレットリーフ(スミレの葉)がウォータリー感を、そしてグリーンノートが鮮やかな色彩感を絡めています。
春の雨あがり、美しい庭園の花壇にひしめき合う花々が目に浮かぶようです。
肌寒い、と感じる日もあるのですが、春の日差しと冷たい雨が彼女たちにとっては心地よく、生命力があふれ出てくるようです。
ミドルノートでは、青々しい葉に「蜜」を混ぜたような甘いグリーンフローラルの香りが広がります。
そしてホワイトピオニーがフレッシュな甘酸っぱさを、ベイローズがロマンチックなフローラル感を香り立たせます。
実は、「Preasures(プレジャーズ)」にはヨーロッパの香水によく見られるポエティックなところがありません。
非常に写実的で、本当に「目に映った」とおりの花々の香りがするのです。
もし、花屋さんの写真に香りをつけるとしたら「Preasures(プレジャーズ)」、となるでしょう。
フレッシュさ、買う人も売る人も喜びに満ちた光景、そういったものが浮かんでくるのです。
ただ、「ブーケの香り」ではないかもしれません。
あくまで、人の手によって成形される前の、生命力のある花の状態を指すのです。
そしてラストノートは、サンダルウッドのクリーミーさが柔らかく広がり、パチョリが爽やかなハーバル感を、ムスクがソフトなパウダリー感を添えます。
春の雨に洗われた花々、とありますが、言い換えると女性の涙のあとの笑顔、と捉えることができるでしょう。
フランスのことわざに、”Mariage pluvieux mariage heureux”、というのがあります。
これは「雨の日に結婚式を挙げた花嫁さんは幸せになれる」という意味です。
なぜかというと、「花嫁が生涯に流す涙を、神様が代わりに流してくれる」という古い言い伝えに基づくものなのです。
そんな日に香水をまとうとしたら、「Preasures(プレジャーズ)」以外にありません。
女性が最高に輝く日、結婚式にまたとないほど似合う香水が、「Preasures(プレジャーズ)」なのです。
この世の花といった花を集めて「エデンの園」を描いたような、とてつもなくハッピーな1本です。
清潔感にあふれ、普段使いできるスーパーフレグランス
「毎日使えて飽きのこない、フローラル香水のおすすめは?」と聞かれたら間違いなく候補にあげるのが、「Preasures(プレジャーズ)」です。
どんな時でも心地よい安定感抜群の香りで、例え冬の寒い日にまとっていても周囲を「春の庭園」にいざなうことができるでしょう。
年齢層も全く問いません。
学生さんからマダムまで、全く飽きずに使うことができます。
1996年当初は女性向け、とされてきましたが、今は男性がまとっても違和感のない爽やかフローラルなので、どちらかというとユニセックス寄り、となるかもしれません。
戦争や疫病のニュースが絶えない世の中ですから、香りだけでもハッピーなものをまといたいものです。
また、クリアなボトルからも分かるように、「Preasures(プレジャーズ)」光のような「透明感」をも持つ香水です。
いつになっても古い香りとならない、不思議なほどバランスの取れた逸品です。
まとめ
1996年の発売からずっと、エスティ ローダーの代表作として店頭を飾る「Preasures(プレジャーズ)」。
ザ・香水といった主張がなく、さりげなく寄り添ってくれるところも愛される理由なのでしょうね。
たくさんある香水の中で、香り選びに迷ったときはぜひこの香りを思い出してみてください。エスティ ローダーの「永遠の香り」が貴方を包み込んでくれるはずですよ。