創業150年を超えるイギリス発のフレグランスブランド、ペンハリガン。

品格漂う、その上質な香りに魅了されている方は少なからずいらっしゃるかと思います。

英国王室御用達のフレグランスブランドとのことですが、ペンハリガンの独特な雰囲気には英国らしさが詰まっています。

ラグジュアリーなのはもちろんのこと、実店舗に一歩踏み入れれば“古き良きイギリスの伝統映画”を観させられているような気分にもなります。

香りは当然、超一流。

正統派の香りが多く、エレガントで清潔感のある香りは大人が身に着けるのにぴったりです。

さてそんなペンハリガンには「ポートレートコレクション」という高級ラインが存在します。

実はペンハリガン、イギリスの老舗フレグランスブランドという一面とは別に、ヨーロッパの(貴族の血を引く)芸術家たちを魅了してきたという一面を持っています。

オペラの演出家、映画監督、画家などです。

そんな一面を突き詰め、「劇場型フレグランス・シリーズ」として2016年に登場しました。

高価な価格設定にも関わらず人気を博しており、最初は4種類だったのが現在では18種類(日本未発売のものを含め)にまで増えています。

今回ご紹介するのは「ポートレートコレクション」の最新作、「THE WORLD ACCORDING TO ARTHUR(ザ ワールド アコーディング トゥー アーサー)」です。

ドラゴンのデザインがあしらわれた、印象的なオードパルファムの魅力をご紹介します。

ポートレートコレクションの相関図

出典:ラトリエ・デ・パルファム公式HPより

ポートレートコレクションのご説明をまずしたいと思います。

これは、ペンハリガンの通常ラインとは異なり、ゴージャスなボトルデザインをしており価格も高めの設定です。

架空の人物を香水のモデルとし、彼らを取り巻く複雑な人間関係をそれぞれ複雑な香りで表現しました。

登場人物一人ひとりは、なかなかに濃いキャラクターをしています。

それは魅惑的な肖像画のように、私たちの想像力を掻き立てることでしょう。

2016年に最初に登場したのは、この物語の中心となる「ジョージ卿」でした。

例えば彼のイメージはこうです。

「有能で落ち着きがあり、周囲に安心感を与えながらもユーモアを忘れない裕福な紳士」

香水の名前は「ザ トラジェディ オブ ロード ジョージ」となり、キャラクターイメージは「鹿」となりました。

さらにはジョージ卿の妻である「ブランシュ夫人の香り」、愛人である「秘密のクララの香り」が登場し、物語は6年の月日を経てどんどん複雑になっていきます。

こうしてポートレートコレクションは、英国上流階級のウィットを人間関係、ユーモア、刺激的なエッセンスを持って表現する、かつてないフレグランス・シリーズとなったのです。

出典:ペンハリガン公式インスタグラムより

2022年4月に発売された「THE WORLD ACCORDING TO ARTHUR(ザ ワールド アコーディング トゥー アーサー)」は、主人公ジョージ卿の兄である「アーサー」をテーマにした香りです。

アーサーは、法律のキャリアを捨て、東洋の帝国へ旅に出た一風変わった紳士。

その性格は、賢くて優しい反面、怒ると火のように激昂するのだとか。

そんなアーサーの物語を着想源に、東洋のインセンスを軸にしたウッディ―アンバーの香りが、「THE WORLD ACCORDING TO ARTHUR(ザ ワールド アコーディング トゥー アーサー)」です。

アーサーが追い求めた“ラッキードラゴン”が施されたボトルのキャップ、そしてドラゴンの吐く炎のように真っ赤に染まる液体にもご注目です。

掴みがたい魅力、ウッディアンバーの香り

THE WORLD ACCORDING TO ARTHUR(ザ ワールド アコーディング トゥー アーサー)

オードパルファム

トップノート:インセンス、バニラ、グレープフルーツ

ミドルノート:アンブレットシード、クラリセージ

ラストノート:トンカビーン、インセンス、フランキンセンス

発表年:2022年

調香師:ファブリス・ペルグラン

対象性別:ユニセックス

「THE WORLD ACCORDING TO ARTHUR(ザ ワールド アコーディング トゥー アーサー)」は、インセンス(お香)が包み込む、内側から沸々と湧き上がるようなウッディアンバーの香りです。

トップノートからインセンスが香りますが、意外なことにフレッシュ。

グレープフルーツの香料が効いているのか、お香のスモーキーさはそれほど感じられません。

またバニラの甘さもさほど感じられず、向こう側に突き抜けるような「鋭さ」があります。

そしてミドルノートではセージなどハーブの香りが顔を出します。

香りのイメージは「円い」というより「直線的」。まるでアーサーの知恵と機知、俊敏さをここで表しているようです。

ただ賢いだけではありません。

真っ赤な液体からも分かるように、「THE WORLD ACCORDING TO ARTHUR(ザ ワールド アコーディング トゥー アーサー)」は体温と混ざると、次第に発火したような情熱的な「ウッディ」の香りに変わっていきます。

内側に秘めた闘志や情熱、そういった激情を含む「熱」が、ミドルノート以降で発揮されるのです。

ラストノートでは再びインセンスの落ち着いた香りが現れます。

その香りは確かに、全てを包み込む「ドラゴンの炎」のよう。

公式では、「THE WORLD ACCORDING TO ARTHUR(ザ ワールド アコーディング トゥー アーサー)」をこのように表現しています。

名家の長男であるアーサー。しかし彼にとって一族の社会的地位や家族は退屈なものでしかありません。

周囲の期待に重圧を感じていたアーサーは法律家のキャリアを捨てて東洋の帝国へと旅立ちました。

スピリチュアルな叡智を求めるアーサーには、“向こう側の世界”に突破し、グレートウォールの先に何があるのかを知りたいという密かな旅の野望がありました。

賢さ、品格、落ち着きといった上流階級ならではのキャラクターに加え、野心やフリーダムといった「自由人」のキーワードも隠されている、興味深い1本です。

意外とオフィスに合う、品のあるオードパルファム

「THE WORLD ACCORDING TO ARTHUR(ザ ワールド アコーディング トゥー アーサー)」は、意外にもオンの日に合う香水です。

というのも、もともとペンハリガンの香水には共通して品格があります。

加えて性的興味をそそる香りはほとんどなく、そのどれもが高品質の選りすぐられた香料によるもの。

「THE WORLD ACCORDING TO ARTHUR(ザ ワールド アコーディング トゥー アーサー)」には例外なく品があり、強く香らないという特徴もあります。

落ち着いたウッディの香りですので、香水禁止という職場でなければ、腰などにまとうとかなりエレガントに香らせることができると思います。

ただ液体が真っ赤なので白いシャツには注意が必要です。

季節は真夏以外でしたらどのシーズンでもOKだと思います。

年齢層は、アーサーがムッシュであるように、30代半ば以降の男性にお似合いになるでしょう。

もちろん女性がまとっても問題ありません。

女性がまとうのであれば、逆に少しミステリアスに映るかもしれません。

いずれにしろ、どんな人が身に着けても必ず品よくまとまるのがポートレートコレクションの魅力でもあります。

まとめ

ペンハリガンの高級ライン、ポートレートコレクションにインパクト大な「THE WORLD ACCORDING TO ARTHUR(ザ ワールド アコーディング トゥー アーサー)」が加わりました。

高価ながらも人気を博すこのシリーズの、最新作をぜひお試しになってみて下さいね。