モードなファッションやメイク、フレグランスなど幅広く展開している『Yves Saint-Laurent(イヴ・サンローラン)』。
『Yves Saint-Laurent(イヴ・サンローラン)』のフレグランスは、ベビードールをはじめ誰でも1度は耳にしたことがある有名な香りが多いですよね。
このブランドの香水の歴史はなかなかに濃いものがあります。
ファッション界の奇才として富も名声も手に入れたYves Saint-Laurent(イヴ・サンローラン)が服と同様、こだわり抜いたのがフレグランスのクリエイションなのです。
そんな彼が存命で絶頂期だった1977年、「東洋オリエンタルへの渇望」を創造の源にした伝説の香水が発表されました。
退廃的な美しさをたずさえ、人々の空想や欲望を駆り立てる。そして数々のスキャンダラスなエピソードとともに現在も生き続ける香り、「OPIUM(オピウム)」です。
実は「OPIUM(オピウム)」とは阿片(アヘン)の意。
発売にあたり「麻薬」としての阿片に敏感に反応する人々は、それを美化し香水の名とすることに対し、かなりの抵抗を示しました。
出典:『Yves Saint-Laurent(イヴ・サンローラン)』公式インスタグラムより
しかし、どれほど強い反対を受けてもYves Saint-Laurent(イヴ・サンローラン)は「OPIUM(オピウム)」という名にこだわり続け、“オピウムか、それとも名がないか”とまで言ったのだとか。
そんな批判から一転、世界で「OPIUM(オピウム)」は爆発的なヒット作品となり、このオリエンタル調の香水は「夜の香り」として一世を風靡することになります。
そして「OPIUM(オピウム)」がもたらす、“快楽”にさらに焦点を絞ったような、センセーショナルな香りが2017年に発表されました。
これが今回ご紹介する「BLACK OPIUM(ブラック・オピウム)」です。
スタイリッシュで甘く、一つまみの影を宿した超絶個性派のオードパルファム。
現代版「OPIUM(オピウム)」とも言える、この「BLACK OPIUM(ブラック・オピウム)」の香りを詳しくご説明いたします。
眠りたくない香り、摩天楼の夜
BLACK OPIUM(ブラック・オピウム)オードパルファム
トップノート:ペアー、ピンクペッパー、オレンジブロッサム
ミドルノート:コーヒー、ジャスミン、ビターアーモンド、リコリス
ラストノート:バニラ、パチュリ、シダーウッド、カシミアウッド
発表年:2017年
調香師:ナタリー・ローソン、オリヴィエ・クレスプ、マリー・サラマーニュ
対象性別:女性
「OPIUM(オピウム)」の精神を引き継ぐ「BLACK OPIUM(ブラック・オピウム)」は、コーヒーの香りが特徴のフレグランスです。
コーヒーの香りをメインにした香水は高級メゾンでは非常に珍しく、身近な匂いをラグジュアリーな香りへと大変上手に昇華させています。
トップノートでは熟れたペアー(洋梨)の香りがはっきりと感じ取れます。
もぎたてというよりは、ジャムのように濃厚で、粘度の高い香り。ピンクペッパーとオレンジブロッサムもその横でキラキラと光っていて、ネオンのような煌めきが感じられます。
時刻は夕暮れ。
メイクをして、ヒールを履いて、香港や東京といった、摩天楼の夜に繰り出す前の“ワクワク感”、そして“ざわつき”をもイメージしたような、ちょっと「瞬発力」のある香りです。
そんなトップノートも束の間、次にやってくるのが主役のコーヒーです。
ブラックコーヒーではなく、クリームがたっぷりとのったカプチーノのようにクリーミィな香り。
出典:『Yves Saint-Laurent(イヴ・サンローラン)』ビューティ・公式インスタグラムより
リコリスも効いているため、甘いスイーツのような香りもします。
グルマン系フレグランスがお好きな方にとっては、このミドルノートは理想的と言えるほど直球ストライクな香りとなるでしょう。
体温や肌質によってはジャスミンが強く出ることもありますが、コーヒーとそのゴージャスなジャスミンが先のフルーティな甘さにぐっと深みを出しています。
コーヒーと同じように、この香りには“中毒性”があります。
そしてこれは「BLACK OPIUM(ブラック・オピウム)」という名にふさわしく“夜”をイメージさせる香り。
眠らない夜のための、刺激的な香りです。
ラストノートではどんどんバニラが強くなっていきます。パチュリやウッディ感はあまり感じられず、あくまでもバニラの“引き立て役”と言ったところでしょうか。
ただその“引き立て役”たちがバニラをより湿った感じに、濃厚なものにしています。
トップ~ミドルノートで感じられた「都会的な緊張感」がここで緩み、一気に優しい印象へと変わります。
全体的にはズシンと重く、完膚なきまでに整ったグルマン・オリエンタルの香り。
フルーティーやフローラルの香りしか知らない方にとってはドキッとしてしまうような個性派フレグランスですが、実はヨーロッパではメジャーで大変人気のある香りでもあります。
すれ違う女性のほとんどが、このグルマン系の香りを身に着けていると言っても良いでしょう。
「BLACK OPIUM(ブラック・オピウム)」の印象、最大の特徴は、そんな「中毒性」にあると思います。
甘いペアーとコーヒーの香りが心をかき乱して、バニラが胸を締め付けて、ジャスミンは走らずにいられない芯の強さで。
摩天楼の夜に似合う、若い女性のための“眠らない”香りです。
イブニングにまとうべき香り
出典:『Yves Saint-Laurent(イヴ・サンローラン)』ビューティ・公式インスタグラムより
「BLACK OPIUM(ブラック・オピウム)」はやはり夜にまとうべき香りです。
香りの拡散性が高く、持続力もかなり高めです。
グルマン・オリエンタルの特徴である甘さが決め手の個性派香水のため、なるべく鼻から遠い場所、ウエストや太もも、膝裏や足首など、下半身を中心に付けるのがおすすめです。
季節や体温によっては、バニラやコーヒーが強く出たり、ジャスミンが強く出たり…といった変化が感じられやすい香りのため、「心地よい」と感じられる量や、綺麗に香る場所など、ご自身で「BLACK OPIUM(ブラック・オピウム)」との相性を探してみるのも良いですね。
TPOはかなり限定されますが、夜のお出かけやデートシーンなど、場面がはまれば自身の魅力を十二分に発揮させることができるはずです。
そしてこの香水は特に20代の女性におすすめです。
「落ち着いた」「リラックスした」イメージとは真逆の「動」の性質を持つ香りなので、自分や自分を満たす何かを探しているような、そんなスピード感を求める年代の方にとても良く似合うでしょう。
甘さが重く感じられることもあるので、まとう季節は秋冬が確実です。
パンツスタイルやフェミニンな服装はもちろん、意外とどんなルックにも馴染むという嬉しいサプライズもあります。
持続性がとびきり高い香水であることから、長く身にまとうことで貴女だけの麗しい香りとなるでしょう。
まとめ
「OPIUM(オピウム)」の哲学を受け継いだ「BLACK OPIUM(ブラック・オピウム)」は、コーヒーの香りが特徴的な香水です。
香り豊かなコーヒーは、好きな人には欠かせないものであり、ちょっと中毒性もある魅力的な飲み物。
同じようにこの「BLACK OPIUM(ブラック・オピウム)」も、媚薬のようにまとう人の心を虜にしていくことでしょう。
そして「BLACK OPIUM(ブラック・オピウム)」の甘くて個性的なグルマンノートは、想像よりもはるかにセンセーショナルに貴女の肌で完成していくはずです。
『Yves Saint-Laurent(イヴ・サンローラン)』からの贈り物とも言える、魅惑の香りをワードローブに加えてみてくださいね。