世界的なラグジュアリーブランド、ジバンシィは香水の歴史も長く、数々の名作を生み出してきました。
創設者は、1927年生まれのユベール・ド・ジバンシィ。
17歳のときにパリのクチュールメゾンで見習いとして働きながら美術高等学校でデザインを学びます。
1952年には、ついにパリ8区に自身のメゾンを創立します。
ジバンシィはこの時24歳の若さでした。
メゾン創立前年のコレクションには、シンプルなデザインでありながら、シックなブラウスとスカートのセパレートスタイルを発表。
上流階級の女性がまだコルセットをしていた当時、とてもアバンギャルドなスタイルとして注目されました。
また映画『麗しのサブリナ』で衣装を担当したジバンシィは、公私ともにオードリー・ヘップバーンと親交があったといいます。
1957年にはファーストフレグランスの「ランテルディ」を発表し、のちに半世紀にわたって愛され続ける名香の生みの親となりました。
そんなジバンシィ・パルファムですが、メンズのラインナップも忘れてはならない存在です。
メンズのプレタポルテが始まったのは1969年。
それから6年後の1975年には「ジバンシィ ジェントルマン オードトワレ」が発表されます。
ジバンシィのメンズ香水といえばこれです。
2022年2月には、なんとこの名香シリーズから新作「GENTLEMAN RESERVE PRIVEE(ジェントルマン リザーブ プリヴェ)」が発売となりました。
今回は、この新しい名作をご紹介したいと思います。
フランスとウイスキーの関係はダンディ
ジバンシィはパリ生まれのブランドです。
今回の「GENTLEMAN RESERVE PRIVEE(ジェントルマン リザーブ プリヴェ)」はウイスキーの香りがする大人向けのオードパルファムですが、フランスにおけるウイスキーのたしなみ方がどんなものであるか、ご紹介することで香りの理解が深まるかと思います。
日本ですとウイスキーは、ハイボールに代表されるように、何かと割ることでポピュラーな飲み物となりました。
糖質が少ないので、お酒をたしなむ人の良き相棒かもしれません。
しかしフランスではかなりオーソドックスな飲み方が好まれているようです。
例えば、グラスはショットグラスを使い、氷はなしです。
時間も食前酒もしくは食後酒といった、オールドスタイルなものです。
女性でウイスキーを好む方はあまりいません。
ウイスキーはやはり、男性が男性同士でたしなむ、ちょっと敷居の高いアルコールという位置づけです。
ワイン大国フランスは、実はウイスキーの消費大国でもあります。
一方、フランス人の蒸留酒愛と相まって職人魂も燃え始めており、数年前からウイスキーの生産者が各地で増加しています。
スコッチやジャパニーズウイスキーが今のところ人気ですが、ブームを迎えフレンチウイスキーもこれから台頭するのかもしれません。
そして彼らが「香りにこだわる」のは事実です。
ワインのように、ウイスキーの香りがアロマティックであるのか、ウッディであるのか、はたまたフローラルであるのか、そういったことも重視しているのです。
ダンディズムと知性が合わさったウイスキーを飲むことは、フランスでは大人の男性の証。
そんな芳醇な香りを、大人の男性用フレグランスに用いるのはごく自然な流れだったと言えるでしょう。
上品なフローラルウイスキーの香り。芳醇でセクシーな香りに酔う
GENTLEMAN RESERVE PRIVEE(ジェントルマン リザーブ プリヴェ)オードパルファム
トップノート:ウイスキーアブソリュート、ベルガモット
ミドルノート:アイリス、チェスナット
ラストノート:シダーウッド、ベチバー、パチョリ、ベンゾイン
発表年:2022年
調香師:ナタリー・ローソン、オリヴィエ・クレスプ(監修ビル・ラムズデン博士)
対象性別:男性
「GENTLEMAN RESERVE PRIVEE(ジェントルマン リザーブ プリヴェ)」は素晴らしいトップノートを含んでいます。
ここで使用されているウイスキーアブソリュートは、高度な抽出技術により2回の蒸留を経て、ウイスキー本来の風味を引きだしたものです。
ウイスキーの芳醇さと、清潔なベルガモットが織りなすとても華やかなトップノート。
「一目惚れ」といったワードが浮かんでくる、とてもインパクトのある構成です。
ただ強いとか重いといった印象はなく、あくまで華麗なイメージ。
センスの良いスーツを身にまとった紳士が、高級レストランのエントランスから堂々と入ってくるような、映画のワンシーンのように素敵なトップノートです。
ミドルノートではフローラルノートが花開きます。
ここでのフローラルは、アイリス(スミレ)です。
スミレはシャネルやエルメスの香水にもありますが、パウダリーでとてもエレガントな香りが特徴です。
その上品さと先のウイスキーの香りが相まって、うっとりするようなミドルノートになっているのです。
樽で熟成されたアロマティックなウイスキーを思わせる、まとう人の周囲を陶酔させるようなエレガントな香り。
ただ足すだけでなく、引き算もしっかりと行われており、無駄な複雑さやスイートさがありません。
本物を知る、大人の男性だけに似合う特別感があります。
ラストノートはシダー、パチョリがメイン。
スーツの内側から香ってくれば、おそらくほとんどの女性がノックアウトされるであろう芳香となっています。
男性用の香水に多く使われる香料ですが、ここでもウイスキーの上質な香りと混じって「GENTLEMAN RESERVE PRIVEE(ジェントルマン リザーブ プリヴェ)」がただものではないことを匂わせています。
温かく、適度に周囲を酔わせ、後味はしつこくない。
テクニック的な要素がたっぷりと詰まった、大人の男性の真のモテ香水といえるでしょう。
年齢が上であればあるほど似合う、真のジェントルマンに
今回の「GENTLEMAN RESERVE PRIVEE(ジェントルマン リザーブ プリヴェ)」だけは、若い人が全くつけこなすことのできない香りと言えます。
というのも、上質なウイスキーとアイリスの香りが際立っていますので、それ相応の経験と落ち着きがなければこの香りに圧倒的に負けてしまうからです。
背伸びしても香りに見破られてしまうでしょう。
ということで、「GENTLEMAN RESERVE PRIVEE(ジェントルマン リザーブ プリヴェ)」は40代以上の、大人の男性限定の香水です。
スーツスタイルには完璧に合いますし、ラフな普段着でも堅苦しくなりすぎずに、大人の魅力を存分に引き立ててくれます。
ただ、清潔感があることが前提条件となります。
ウイスキーの香りとあって気温が低い時期によく似合います。
真夏だけは避けた方が良いでしょう。
乾燥し、体温が高くなりすぎない季節に馴染みます。
その時期であれば肌の香りとうまく融合し、本来の「GENTLEMAN RESERVE PRIVEE(ジェントルマン リザーブ プリヴェ)」のセクシーさが引き立つと思います。
ジェントルマンがさらなるジェントルマンとなる、知的で温厚な1本です。
まとめ
数々の名香を生み出してきたジバンシィ。
繊細で、格調高いと評判のメンズ香水のラインナップに、また新たな名香が加わりました。
違いの分かるジェントルマンだけがまとえる、「GENTLEMAN RESERVE PRIVEE(ジェントルマン リザーブ プリヴェ)」は、2022年の押しの1本と言っても過言ではないでしょう。
琥珀色のウイスキーを表現した、深みのあるボトルデザインにもご注目。
ウイスキーをたしなむ優雅な時間を思い浮かべ、素敵な香りに心をたむけてみてくださいね。