2013年に発表されて以来、人気が続くメゾン マルジェラのレプリカ・フレグランスシリーズ。
どんどん新しい香りも仲間入りし、確かなストーリー性とライトな香りで人気沸騰中となっています。
目を引くボトルも「アンティークの薬瓶」にインスパイアされたものと、マルジェラらしいデザインをしています。
そしてそのラベルには、それぞれの香りに合わせてストーリーが設定されていて、名前だけならず、生産国、地名、年代までもが記載されているという凝りよう。
世界中のピンポイントな場所、出来事をテーマとしていますので、複数の香りを持つのも楽しくなりそうですね。
今回ご紹介するのは、そのラインナップの中から“米国の伝説的な音楽フェス”を体現した、「Music Festival(ミュージック フェスティバル)」です。
1969年に開かれた、今でも語り継がれる「ウッドストックフェスティバル」。
愛と平和の祭典、そして音楽と人々の熱狂をテーマにしたこの香水を紐解いてみましょう。
ウッドストックフェスティバル、魅惑の1969年にタイムスリップ
1969年、ニューヨーク州ベセルで開催された伝説のウッドストックフェスティバル。
3日間で約40万人以上の観客を集め、音楽史に残るコンサートであると同時に、60年代アメリカのカウンターカルチャーを象徴する歴史的なイベントとして今でも語り継がれています。
サンタナやフー、ジミ・ヘンドリックスなど豪華なミュージシャン達が集まり、愛と平和を掲げた3日間となりました。
当時地元民からは「ヒッピーが集まる」と嫌がられたそうですが、結果的には大成功し、歴史に残る音楽イベントとなっています。
1969年は時代の転換期でした。
アメリカ国内ではベトナム戦争など問題積みで、デモや暴動も多発。
命を落とす若者が多いなか、40万もの人間が3日間もフェスに集まって、争いごとが起きない事自体が奇跡と言われました。
この平和な集会の様子は映画にもなり、ミュージシャンたちの素晴らしいパフォーマンスは今でも色褪せることがありません。
「Music Festival(ミュージック フェスティバル)」は、そんな伝説の音楽フェスを再現した「1969年の魅惑の香り」なのです。
熱狂の60年代を彷彿させる、エネルギーと幸福感に満ちた香り
Music Festival(ミュージック フェスティバル)オードトワレ
トップノート:ウィード、ヴァイオレットリーフ、レッドアップル
ミドルノート:パチョリ、バルカンタバコ、インセンス
ラストノート:レザー、ヴァージニアシダーウッド、サイプレス
発表年:2017年
調香師:不明
対象性別:ユニセックス
「Music Festival(ミュージック フェスティバル)」のトップノートでは、ヴァイオレットリーフやレッドアップルなどの爽やかなノートが香ります。
フェスが行われた「芝生」のようなイメージで、なおかつ雨上がりのウェット感もあります。
ウッドストックフェスティバルの初日は大雨に見舞われたといいますから、その辺りもかなり忠実に再現されています。
ただ、アップルの香りが湧き上がるような幸福感を表現していて、悪天候を跳ねのけるような「高揚感」すら感じます。
ミドルノートでは、奥深いパチョリとタバコ、インセンスが「ヒッピーらしさ」を伴って登場。
癖はありますが、インセンスはエスニック過ぎない、心地よいお香の香りで、先の「芝生のグリーン感」と程よくマッチしています。
そしてラストノートでは、レザー、ヴァージニアシダーウッド、サイプレスが大々的に出現。
それはそれはとても力強い登場で、千秋楽を飾ったジミ・ヘンドリックスのようなカリスマ性があります。
ただ、全体的にこれがミュージックフェスティバルの香り?と聞かれたら、「ロックな香り」とは言い切れないと思います。
どちらかというと、1本を通して、フェスに来ているファンたちが家で焚いているお香の香りや、タバコ、ガラムなどの香りに近いかもしれません。
それはミドルノートの持続時間が長いためで、中心のインセンスが全体のイメージを占めているからです。
また、甘さやハッピーさも感じられるので、ウッドストックフェスティバルが音楽を通して「愛」を伝えたかったということもこの香りから理解できます。
あれから50年以上経った今でも戦争は無くなっていません。
音楽が好きな方も、さほど興味がない、という方も。
この香りの背景を知れば、きっと今なら深く胸に刺さることでしょう。
ファッション、音楽を愛する男女へ。
「Music Festival(ミュージック フェスティバル)」はユニセックスタイプのオードトワレですが、やや男性寄りの香りと言えるでしょう。
わずかにオリエンタルで、オードトワレと言えども奥行き・広がりがあるため深い香り方をします。
全く仕事には向きませんが、休日に気分を変えて楽しみたい時には良いでしょう。
女性でしたら、フェミニン過ぎるフローラルやフルーティノートが苦手な方に好まれると思います。
またアンティークが好きな方にも良いかもしれません。
というのも、スモーキーさのなかに古本・古着・ヴィンテージ家具といったワードも見出せますので、「フェス」という先入観を外してしまえば、そんなアンティークな風景が似合うのです。
ということで、「Music Festival(ミュージック フェスティバル)」はハマる人には最大の安らぎを与える香りだと思います。
万人受けはしませんが、ファッションや音楽が好きな人や、自分らしいオシャレができる個性的な人に合うと思います。
年齢層は20代〜30代にかけて。
季節は特に問いません。自分だけの使い方で、60年代を彷彿とさせる「Music Festival(ミュージック フェスティバル)」を着こなしてみてくださいね。
まとめ
メゾン マルジェラのレプリカシリーズは、特定の時代・場所にテーマを絞った香りを発表しています。
今回の「Music Festival(ミュージック フェスティバル)」は、マルジェラらしいキャッチーな設定で、いつの時代も「ファッションと音楽がリンクしている」ことを思い出させてくれます。
60年代は特に素晴らしい音楽が生まれた時代でもありました。
目をそむけたくなるような辛い現実が続く今、アート界では世に残るような素晴らしい作品が生まれようとしています。
香水もアートのひとつ。香りに思いを馳せ、平和が訪れることを祈りましょう。