ディオールはフランス生まれの世界的なラグジュアリーブランドです。
ファッションもさることながら、女性にとってより身近なのはコスメやフレグランスなのではないでしょうか。
男性用のフレグランスも大人気で、長い時を経てたくさんの人に愛され続けてきました。
ファーレンハイトやディオール・オムなどがその代表格です。
今回はそんなディオールのメンズフレグランスから、今最も勢いのある「SAUVAGE(ソヴァージュ)」をご紹介したいと思います。
この香りはなんと、2021年に世界で最も売れた香水となりました。
メンズフレグランスとして、世界の香水市場(2021年に310億ユーロ)の歴史上初めて、女性・男性を合わせたすべての香水の売上チャートのトップに登りつめたのです。
現在では、地球上で3秒に1本の割合で販売されているのだとか。
そんな「SAUVAGE(ソヴァージュ)」の誕生の背景、そして香りの秘密をご説明していきたいと思います。
調香師フランソワ・ドゥマシーとジョニー・デップ
「SAUVAGE(ソヴァージュ)」を調香したのは、ディオールの専属調香師であるフランソワ・ドゥマシー氏です。
彼はこれまで数々の名作を世に送り出してきました。
「メゾン・クリスチャン・ディオール」シリーズや「ミス・ディオール」「ジョイ」などの香水をクリエイションし、いずれも大ヒットとなります。
2020年にはフランス文化省より芸術文化勲章が授与され、トップクリエイターとしての存在感をますます大きなものにさせています。
2021年には彼のドキュメンタリー映画が完成したほどです。
そして「SAUVAGE(ソヴァージュ)」は、アメリカ西部の広漠とした風景にインスピレーションを受けた、「内なる野性を解き放ち本能を目覚めさせる」ワイルドな香りとなりました。
出典:Dior beauty 公式 instagramより
イメージモデルを務めるのは、これまでに香水の広告を一切断ってきたという世界的スター、ジョニー・デップです。
その広告ビジュアルは、アメリカと思われる広大な砂漠が舞台です。
日が沈んだ大地に、オオカミの群れと佇むジョニー・デップの姿がとても印象的な広告。
「SAUVAGE(ソヴァージュ)」はフランス語で野生、という意味ですが、ディオールはこの香りにネイティブアメリカンのスピリットも注ぎ込んだといいます。
ネイティブアメリカンの血も引くジョニー・デップと香りのイメージがとてもマッチしていて、「SAUVAGE(ソヴァージュ)」といえばこのビジュアル、と感じる人も多いでしょう。
2021年末からはイメージモデルが交代し、サッカー選手のキリアン・エムバペがその広告塔を務めています。
それでは香りの特性についてご紹介したいと思います。
ウッディアンバー調の大人の色気がバランス良く漂うフレグランス
SAUVAGE(ソヴァージュ)オードパルファム
トップノート:ベルガモット、サンショウ、ペッパー
ミドルノート:ラベンダー、ゼラニウム
ラストノート:ドライアンバー、アンブロキサン
発表年:2015年
調香師:フランソワ・ドゥマシー
対象性別:男性
「SAUVAGE(ソヴァージュ)」のトップノートは、とてもスパイシーです。
ちょっとツンとした、天を貫くような香りがします。
近寄りがたいような、それでいて印象に残る「カリスマ性」を感じさせる始まりです。
ミドルではラベンダーとゼラニウムのハーバルな香りが漂います。
ここで野性味がぐっと広がります。
ただし野生とはいっても危険性があるわけではなく、大地に根を張り、二本足で力強く立っているような男性のイメージです。
近寄りがたいのですが、きっとその人は自然と動物にとても優しい人なのでしょう。
ノイズの多い世の中でも、周りの雑音など一切気にせず我が道を行く。
そんなたくましい男性像を彷彿とさせます。
トップノートからミドルノートにかけては少し「角ばった」ところもあります。
イメージは、ピカソのデッサン画でしょうか。
余計なものをそぎ落とし、自分の見たもの、聞いたもの、感じたものだけを信じる。
周囲をシャットアウトするような、厳かで一本気な側面もあります。
ただそこまでワイルドか、と言われるとそうでもありません。
ミドルノートの中盤からは中性的になり、スパイシーさを甘さが包み込んでいくようになります。
ラストノートはガラッと変わり、夕焼けのようなアンバーの香りで満たされます。
ここで使われている「アンブロキサン」が「SAUVAGE(ソヴァージュ)」の一番の主役です。
ラストノートではこの甘い香りが長く続きます。
上質なシャワージェルを思わせる清潔感と共に、リキュールのようなこっくりとした甘みを持つ芳香がほんのりと残ります。
焚き火のように、夕日のように安心感のある優しい余韻。
持続力は高く、気候によっては6~7時間ほど続きます。
ボトルデザインも、濃紺に染まる新月の夜をイメージしたそうです。
野生=危険というイメージを覆す、精神性の高い1本。
意外にも中性的な部分がありますので、ワイルド過ぎない一面が女性の心をも掴んでいるのでしょう。
すべての男性に。持続力はナンバーワン
「SAUVAGE(ソヴァージュ)」は、清潔感と色気が漂うウッディアンバー調の香水。
シトラス、ウッディアンバーの組み合わせは、誰からも愛される鉄板です。
まとう年齢層は、20代半ば以上の男性でしたらどなたにでもお似合いになるでしょう。
世界一売れた香りというだけあって、TPOの汎用性は抜群です。
そのためオンでもオフでも好まれる香りです。
そして不思議なことに、どんな服装・髪型にもマッチします。
「清潔感」というのはどの年代にも重要で、その点において「SAUVAGE(ソヴァージュ)」の特性は飛び抜けて優秀です。
清潔感を重視してしまうとシャンプーや石けんの香りに偏ってしまいがちですが、それだけではない「重み」や「神秘性」を身に着けたい人におすすめ。
まさに、2020年代にふさわしいメンズフレグランスです。
アフターシェーブローションなども存在しますので、シリーズで揃えたくなる素敵な香りです。
まとめ
発売から6年の時を経て世界一の香りとなった「SAUVAGE(ソヴァージュ)」。
長年愛され続けているディオールのフレグランスですが、「SAUVAGE(ソヴァージュ)」の登場によってそのブランドバリューがまた一段と強固なものになりました。
メンズ香水の集大成ともいえるこの香りを手に取り、大地の優しさに思いを馳せてみてくださいね。