2023年2月、メゾン マルジェラの香水シリーズ「レプリカ」に、新作「On A Date(オン ア デート)」が仲間入りを果たしました。

メゾン マルジェラのファッションと同じように、世界中で高い人気を誇る「レプリカ」シリーズ。

このレプリカ(Replica)とは、“大切な思い出を呼び起こす”香りを集めたコレクションです。

つまりレプリカは、「あの時、あの場所」のワンシーンをテーマにすることで、人々の潜在意識に“香りで”語りかけ、大切な記憶やムードを再現してくれるのです。

特に、2013年に発売された「Lazy Sunday Morning(レイジー サンデー モーニング)」はその清潔感と着けやすさで世界的にベストセラーとなりました。

「Lazy Sunday Morning(レイジー サンデー モーニング)」で表現されたのは、“イタリア・フィレンツェの、清々しく晴れた日曜の朝”、そして“洗ったばかりの柔らかいシーツに包まれて過ごす、心地良い時間”です。

そうしたイメージが具現化されたこともあってか、この香りはレプリカシリーズの代表作となるとともに、香水全体の中でも手に取りやすいポピュラーなフレグランスとなりました。

では今回新発売となった「On A Date(オン ア デート)」の具体的イメージとは、何なのでしょうか。

特別な「デートの時間」を切り取った、とびきり心地の良いこの香りをイメージの風景からご紹介していきたいと思います。

夕陽を見ながら、南仏プロヴァンスで嗜むワイン

「On A Date(オン ア デート)」とは、どのようなデートシーンなのでしょう?

それは、「夏の終わりの夕べ、プロヴァンスのぶどう畑に沈む夕陽を見下ろしながら、2人だけの幻想的な時間を過ごすロマンチックなデート」となります。

時期はきっと、収穫間際の8月下旬〜9月なのでしょう。

夏の終わりのぶどう畑では、たわわなぶどうがあちこちにぶら下がっていて、レストランのテラス席からも肉眼で確認することができます。

太陽の光をたっぷりと浴び熟したぶどうの甘い香りが、目の前に置かれたワイングラスにも忍び込んでくるようです。

夕暮れ、南仏プロヴァンス、素敵なレストランで味わうワイン・・・とは、極めてプライベートな時間。

そんな2人だけの甘くて優雅なひとときを、香りに落とし込んだのがこの「On A Date(オン ア デート)」です。

それでは香りの構成を詳しく見ていきましょう。

ぶどうとローズの共演、ワイン色に包まれて

On A Date(オン ア デート)オードトワレ

トップノート:ベルガモットオイル、ピンクペッパーオイル、カシスリキュールアコード

ミドルノート:ローズペタルエッセンス、ゼラニウムオイル、ダバナオイル

ベースノート:ベチバー、パチョリ、モスアコード、ムスク

発表年:2023年

調香師:不明

対象性別:女性、男性

実は「On A Date(オン ア デート)」の香りには、ワインの世界に対するレプリカ独自の探求も含まれています。

というのは、「On A Date(オン ア デート)」において、パフューマーとソムリエのコラボレーションにより「ワインの香り」が新しい形で表現されているためです。

フレグランスに確かなワインの香りを加えることで、まったく新しいアコードが生まれました。

ここからも分かるように、トップノートはとてもみずみずしく、まるで旬のぶどうを口に含んだような爽やかな甘さが駆け抜けます。

そして次に鼻腔に残るのは、ぶどうと一緒に香る華やかなローズ。

もしかしたら一杯目はロゼワイン、なのかもしれません。

「On A Date(オン ア デート)」の、淡いピンク・オレンジの液体も、なんだかロゼワインを彷彿とさせますね。

ロゼワインと言えばフランスの夏、フランスの夏と言えばロゼワイン。

太陽がさんさんと輝く夏には、冷えたロゼワインをいただくことがマチュアなフランス人の楽しみだったりもします。

ほんのりローズを含んだ優しいワインの香りが、そんな夏を惜しむかのようにトップノートを締めくくります。

真新しい香りで心が弾む、素敵なデートの幕開けでした。

そして太陽はさらに傾き、辺りも黄金色に染まっていきます。

フレグランスはよりしっとりとした表情に変わります。ワインが年月をかけて、少しずつ熟成するようなイメージでしょうか。

もしかしたら席に座る2人も、長い年月を共にしてきたのかもしれません。

付き合ったばかりのフレッシュさはないけれど、お互いがお互いを深く理解している。

しかしその感情の移り変わりはとても自然なことですし、なくてはならないものでもあります。

そんな「絆」のようなイメージが、中盤以降の深い深い大地の香りから現れています。

ラストはパチョリ、モス(苔)の香りがその絆をさらに固く結んでいきます。

ここでは少し、「渋み」「樽」の表情も見え隠れします。

終盤はどちらかというと男性的なイメージで、先の女性的なローズを「包み込む」ような感じがします。

それでも香りがガラリと変化するわけではなく、同じ1本に不思議な一体感があります。

なじみも良く、ワインの香りを肌に乗せるという違和感もありません。

朗らかで心地良いぶどう&ローズの香りから、次第に落ち着いた大地の香りへと変化する。

ほどよい甘さと渋さが混在する、非常に上品な香りです。

飽きの来ない1本、女性も男性もまとえる、新時代のシプレ・フルーティ香水

「On A Date(オン ア デート)」には、レプリカシリーズ特有の清潔感がはっきりと感じ取れます。

それに加え、上品さも、遊び心もあるのがフレグランス愛好家にとっては嬉しいところです。

このオードトワレは、トップのフルーティノートから、ラストはモス(苔)へと移り変わるシプレ・フルーティノートです。

一見、女性の香りという印象を受けますが、中盤以降の渋さにはユニセックスな雰囲気も。

そのため、ザ・メンズ香水に抵抗があるという男性には着けやすい香りと言えるでしょう。

ただ、スイートな香水ではありませんので、「中性的な香りが好き」「香水に二面性を求める」という人に特にお勧めしたい香りとなります。

若い人がまとえば「こなれた」印象に、そして大人がまとえば「おしゃれ」な印象に。

季節はぶどうの時期、秋がぴったりですが、トップの爽やかなフルーティーさがとても印象的ですので、春夏(プライベートシーンがお勧め)にもOKです。

いずれにしろ毎日着けても飽きの来ない、頼もしい1本です。

まとめ

メゾン マルジェラの香水シリーズ「レプリカ」の新作、「On A Date(オン ア デート)」をご紹介しました。

ぶどう&ローズ、そしてワインの香りを追求した「On A Date(オン ア デート)」は、意外にも甘さ控えめで、男性的な一面がありました。

まるで2人で育んできた確かな「時間」が、この1本に凝縮されているようです。