イタリアのファッションブランド『PRADA(プラダ)』から、新しいオードパルファムが発売されました。

その名は「Paradoxe(パラドックス)」、矛盾という意味を持つフレグランスです。

2023年9月に日本上陸を果たした「Paradoxe(パラドックス)」は、『PRADA(プラダ)』の“新アイコンフレグランス”となります。

ボトルは、ブランドを象徴するトライアングルロゴを形どったもの。

伝統的な香水ボトルとは異なる横置きタイプで、「矛盾」という名に隠された深い意味をシンボライズしているようにも見えます。

また「Paradoxe(パラドックス)」は米国ニューヨークで2023年7月に開催された、フレグランス・ファンデーション・アワード 2023で「フレグランス・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。

さらに同ブランド、キャンペーンのショートフィルムではイギリスの俳優、エマ・ワトソンが主演を務めたほか、監督としてのデビューを果たしたことでも話題を呼びました。

このように、『PRADA(プラダ)』の新たな顔となった「Paradoxe(パラドックス)」。

矛盾とは何を示しているのか、そして気になる香りの構成について詳しくご紹介したいと思います。

伝統とモダン、“矛盾”を抱えながら生きる現代の女性へ

「Paradoxe(パラドックス)」とは矛盾という意味を持つわけですが、ではいったい何が矛盾しているというのでしょうか。

これはファッションブランド、『PRADA(プラダ)』に組み込まれたDNAの1つである“矛盾”をテーマにしたものです。

伝統とモダン、チャレンジ精神と洗練さ・・・など相反する要素の融合が、同ブランドのファッションにも組み込まれているのです。

相反する面を持つ、女性の多面性の探求への招待。

それは、常に変わり続け、自分らしくあることへの称賛です。

(プラダ公式ホームページより)

こうしたテーマを再解釈し、フローラルアンバーの香りとして生み出されたのが「Paradoxe(パラドックス)」です。

三角形のボトルも鋭さを保ちながら、角に少しの丸みを残しています。

このデザインからも分かるように、「Paradoxe(パラドックス)」はアイコニックでありながら、思いがけない印象を私たちに与えてくれます。

サイズは30ml、50ml、90mlの三つ。

また今回は100mlの詰め替えレフィルも用意されました。ボトルはリサイクルが可能なほか、ガラス使用量も最小限に抑えられています。

もちろん環境に配慮した取り組みはボトルのみならず、一部の香料調達においても取り入れられています。

それでは香りの構成を見ていきましょう。

アバンギャルドなフローラル・アンバーの香り

Paradoxe(パラドックス)オードパルファム

トップノート:カラブリア産ベルガモット、タンジェリン、ペアアコード

ミドルノート:ネロリ & ネロリバッドエッセンス、チュニジア産オレンジブロッサム、ジャスミンサンバックアブソリュート

ラストノート:アンバー、ラオス産ベンゾイン、マダガスカル産バーボンバニラ、ホワイトムスク

発表年:2023年

調香師:ナデージュ・ル・ガランテゼック、シャマラ・メゾンデュー、アントワーヌ・メゾンデュー

対象性別:女性

「Paradoxe(パラドックス)」オードパルファムの香調は、フローラル・アンバーノートとなります。

これはホワイトフローラルの「ブーケ」を想起させる香りながらも、どっしりとした力強さを含むアンバーを対極に表した、というものです。

ここからも、パラドックスの意味する「矛盾」「二面性」が分かるようですね。

トップノートはフローラルノートに混じって、ベルガモットやペア(洋ナシ)のたおやかな香りが漂います。

そんな中、影で存在感を増すのは官能的なジャスミンの香り。

そしてジャスミンと一緒に香るネロリ(※)も、大変に印象的です。

※ネロリ…ミカン科「ビターオレンジ」の花から採取される精油。

「Paradoxe(パラドックス)」では、ネロリの花が咲くときだけに放たれる香りを使用するために、開花前のつぼみからエッセンスを抽出するという新技術が用いられています。

プラダ公式ホームページより

トップノートからミドルノートにかけては、少々甘めな印象です。

着けたてのイメージは、西欧の街角でふと漂うフローラル・パウダリーの香り。

ところが肌に馴染むと一転し、アンバー、バニラ、ムスクがパワフルに香るようになります。

それまでの「女性性」がここで一気に、マスキュリンに変わるのです。

アンバーやムスクは女性用の香水にもよく使われる香料ですが、「Paradoxe(パラドックス)」のラストノートでは、大胆なほどにメンズライクな香りがします。

このマスキュリンさが「Paradoxe(パラドックス)」の肝といっても良いかもしれません。

肌に馴染んだあとの、アバンギャルドで官能的、知的な表情が、つけたてのフェミニンなイメージを覆してくれるのです。

ここではパラドックスの意味する「矛盾」「二面性」がいちばんよく表れていると思います。

きっと誰もが抱えているであろう、相反する一面を象徴したフレグランスがこの「Paradoxe(パラドックス)」オードパルファムなのです。

霧のように、ふわっとまとう。湿気のない秋冬に合う香り

「Paradoxe(パラドックス)」はヨーロッパのフレグランスらしい、パワフルな香りです。

静よりも動であり、優しいよりも力強い。そして控えめを保つよりはどんどん自分を前に出していく、というはっきりとしたアイデンティティを持つフレグランスです。

そのため日本では、着け方によっては「強い」と感じてしまうかもしれません。

おすすめは、肌から少し離れたところでスプレーして、落ちてくるミストに身をくぐらせる、というまとい方。

霧をまとうように、ふわっと香りに身を包むのが良いでしょう。

しかし湿気との相性は合わないようです。

ラストノートのアンバー、バニラは乾燥した季節にとても綺麗に香りますので、少し肌寒くなった10月末〜にまとうのがおすすめです。

もちろん、真冬も最適です。

コートの中に香りを隠す、というのも「Paradoxe(パラドックス)」のコンセプトに合っていて、とても素敵です。

年齢層は幅広く、20代から上は何歳でも。

プラダファンにはもちろん、ちょっと刺激的な香りがほしい、という方にもおすすめしたい香りです。

まとめ

2023年、すい星のように登場した「Paradoxe(パラドックス)」は、ボトルデザインも香りも現代のプラダによって再解釈され、新しいアイコンフレグランスとなりました。

何といっても魅力的なのはこのボトルデザインです。

美しい三角ボトルは、お部屋の小さなオブジェにもなりそうですね。

色は癒しのコーラルピンク、しかし香ればマスキュリン。

「Paradoxe(パラドックス)」は、視覚、嗅覚にもたくさんの感性をもたらしてくれそうです。