フランスの高級化粧品ブランド『ゲラン(Guerlain)』は、まもなく創業200周年を迎えようとしています。

このブランドが誕生したのは1828年のことでした。

約200年におよぶ歴史の中で、『ゲラン(Guerlain)』は香水の「ミツコ」や「サムサラ」といった名香を生み出してきました。

もちろんアイテムはフレグランスだけではありません。

メイクアップ製品からスキンケアアイテムまで幅広いバリエーションが揃い、世界中の女性たちに絶え間なく「美」を送り届けています。

『ゲラン(Guerlain)』の創業者は、化学者であり、同時に調香師でもあるピエール・フランソワ・パスカル・ゲランです。

彼は1828年に、香水ブティックをフランス・パリに設立しました。

続いて1939年には、シャンゼリゼ大通りに世界初のエステティックサロンをオープンします。

こちらが現在も続く『ゲラン(Guerlain)』の本店、となります。

ちなみに「ミツコ」を生み出した調香師のジャック・ゲラン(3代目調香師)、ジャン・ポール・ゲラン(4代目調香師)の両氏は、「20世紀を代表する調香師」とも呼ばれています。

さて、そんなシャンゼリゼ大通りにオマージュを捧げた香水があります。

その名は、「シャンゼリゼ(Champs-Élysées)」。

「世界で最も美しい通り」と名高いパリ・シャンゼリゼ大通りをイメージした、キラキラと輝くようなフローラル香水です。

「シャンゼリゼ(Champs-Élysées)」は発売から30年近くも経っていますが、その香りは今まとってもまったく違和感がなく、むしろベースとなるミモザは肌の上に洗練された印象さえ残します。

当時では非常に珍しい香料だったミモザは、グルマンノートの生みの親、オリヴィエ・クレスプによって調香されました。

明るく美しく、春の陽光のような香りの「シャンゼリゼ(Champs-Élysées)」。

女性の味方ともいえるこのフレグランスの構成を、詳しく見ていきましょう。

コンセプトは「光の都での出会い」。シャンゼリゼ大通りと凱旋門と

「シャンゼリゼ(Champs-Élysées)」の香りのコンセプトは、「光の都、パリでの出会い」となります。

パリが光の都と呼ばれる理由は、美しい街灯の数々にあります。

街灯が初めて設置されたのは17世紀で、それまでに暗闇に包まれていたパリを明るく照らしたほか、防犯面でも大変な効果があったといいます。

シャンゼリゼ大通りにも例外なく街灯が設置されます。

現在では凱旋門をバックに、クリスマスシーズンにのみ約1000個のイルミネーションが輝くようになりました。

このように、昼も夜も絶え間なく輝き続けるシャンゼリゼ大通り。

もちろん、昼間の優しい陽ざしを受けながらのシャンゼリゼ大通りも、格別な雰囲気があります。

「シャンゼリゼ(Champs-Élysées)」の香りでは、午後の陽ざしを楽しみながら、世界でも最も美しいと称されるパリのシャンゼリゼ通りを歩く人々、そして人々の笑顔、「どこか別の場所に逃避したい」という小さな欲求を表しているそうです。

さらに「シャンゼリゼ(Champs-Élysées)」には、そんな場所で生まれる女性たちの「自由な想い」「前へ前へと進む想い」の二つの意味が込められました。

ローズとミモザが交わる、シャンパンゴールドの香り

シャンゼリゼ(Champs-Élysées)オードパルファム

香調…フローラル・フルーティノート

トップノート…ブラックカラント、メロン、アーモンド、バイオレット、ピーチ、アニス

ミドルノート…ピオニー、ミモザ、ライラック、ハイビスカス、リリー・オブ・ザ・ヴァレー、ローズ、アーモンド・ブロッサム

ラストノート…サンダルウッド、ベンゾイン、バニラ、シダー、アーモンド・ツリー

発表年…1996年

調香師…オリヴィエ・クレスプ

対象性別…女性

「シャンゼリゼ(Champs-Élysées)」の香りは、ふわっと甘いピーチとメロン、そして華やかなバイオレット(スミレ)でスタートします。

とても明るい幕開けで、ここからはシャンパンゴールドのような、春の暖かい陽ざしをイメージすることもできます。

ふっくらとしたフルーツの香りがふんわりとしたパウダーに包み込まれる感じは、まるで春先に吹く「薫風」のようです。

長い冬が終わると、気持ちはどんどん上向きに。

春の訪れとともに開花するミモザを見た時のように、ほっこりと優しい感覚が胸の周りに広がっていきます。

ミドルノートでは、そんなミモザが実際に登場します。

淡い甘さのミモザとアーモンド・ブロッサムが、ふんわりとベールをひろげるように広がると、続いてローズとピオニーが華々しく開花していきます。

無垢ながら、そのイメージは大胆でゴージャス。

凱旋門に向かって颯爽と歩くような、何か「固い意志」も感じられます。

しかし香りに尖ったところや複雑さはありません。

不思議な感触のまろやかさがあり、すがすがしく素直で、その表情は自由を謳歌する現代のパリジェンヌのようでもあります。

ラストノートでは一転、考え抜かれ落ち着いたウッディ感が、大人っぽい雰囲気を醸し出します。

ウッディは先のフローラルをまた包み込むように凌駕します。

肌の上ですべてが「接着」するように、ウッディとほんの少しのバニラが、香りに幻想的な深みを与えているのです。

このように「シャンゼリゼ(Champs-Élysées)」は、ミモザとローズの透明感を、ウッディの深みで支えたまさに「バラ色の人生」のような作品です。

世代を越えて愛されるのも納得の1本です。

また「シャンゼリゼ(Champs-Élysées)」は、グルマンノート(甘いスイーツの香り)の生みの親、オリヴィエ・クレスプによって丁寧に考え抜かれた伝説的な香りでもあります。

素晴らしく上品な香り、ミモザや春を愛する人に

上品でリュクスな香りが揃う『ゲラン(Guerlain)』の中にあって、「シャンゼリゼ(Champs-Élysées)」は周りの人を明るく幸せにする、春のような女性のイメージです。

香りは世界中すべての女性に向けられていますので、国境を越えてどの女性にも、どの年齢層にもお似合いになります。

ミモザの無垢な香りが欲しいという方にもおすすめです。

ただ服装は『ゲラン(Guerlain)』らしく、カジュアルよりもセミフォーマルな方が似合うでしょう。

またこの香りは魔法のように、まとった人自身の香りを引き出してくれます。

ですので「シャンゼリゼ(Champs-Élysées)」には、「香りをまとう」という表現がぴったりきます。

成分はすべて天然成分を使用した、とても贅沢なもの。

そのため「シャンゼリゼ(Champs-Élysées)」は、『ゲラン(Guerlain)』の香水には興味があるけれど、「ミツコ」や「サムサラ」といった重厚な香りでは敷居が高い、という方にも大変おすすめしたい1本となります。

まとめ

今回は『ゲラン(Guerlain)』のもう一つの伝説的香水、「シャンゼリゼ(Champs-Élysées)」をご紹介しました。

フェミニンで美しい香りが揃うブランドの中でも、比較的まといやすいのが「シャンゼリゼ(Champs-Élysées)」です。

今をときめくミモザの香り、その先駆けとなったオードパルファムをぜひ体験してみて下さいね。