『ペンハリガン(PENHALIGON’S)』は1870年にイギリスで誕生した、英国王室御用達のフレグランスメゾンです。

150年以上もの歴史を持つ『ペンハリガン(PENHALIGON’S)』は、一軒の理髪店からすべてが始まりました。

ブランドを立ち上げたのは、理容師であるウィリアム・ヘンリー・ペンハリガン。

彼は宮廷理容師および調香師として、ヴィクトリア女王にも仕えていました。

ペンハリガンの作る香水は、のちの1903年に「英国王室御用達」の称号を与えられます。

そんな『ペンハリガン(PENHALIGON’S)』の製品は、今も母国イギリスで作られています。

長い歴史に培われた伝統を受け継ぎながらも、常に新しい香りに挑戦し続ける姿勢が、この老舗を支える秘訣なのだと思います。

現在ではイギリスのみならず世界中で店舗が展開されていますし、その英国らしい香りは、まとう人に確かな気品を与えてくれます。

さてそんな『ペンハリガン(PENHALIGON’S)』には、「新世代のジェントルマンの香り」と呼ばれるフレグランスがあります。

香りの名前は、「サルトリアル(SARTORIAL) 」。

100年以上も前にヨーロッパで流行した、クラシックで渋みのある香調「フゼア」を現代風にアレンジした作品です。

今回はこちらの香りをご紹介したいと思います。

 「サルトリアル(SARTORIAL) 」のコンセプトとは

「サルトリアル(SARTORIAL) 」の意味は、日本語で「仕立て屋」となります。

モチーフとなったのは、ロンドン中心部のショッピングストリート、サヴィル・ロウにあるビスポーク・テイラーの老舗、「ノートン&サンズ」という仕立て屋です。

サヴィル・ロウはスーツの聖地でもあります。

また仕立て屋「ノートン&サンズ」は、古くからオーダーメイドのスーツを制作しており、顧客にはヨーロッパの皇室やアジアの王族、さらにアメリカの大統領などが名を連ねていました。

しかし時代は流れ、2005年頃には栄華を極めた「ノートン&サンズ」も、閉店の危機にさらされてしまいます。

そこで現れたのが若き実業家、パトリック・グラントです。

彼は「ノートン&サンズ」を買収した後で、2010年には年間数百人の顧客を持つ人気テーラーに復活させたのです。

またパトリック・グラントは店舗オリジナルの英国服ラインも発表、同2010年のブリティッシュ・ファッション・アワードでメンズウェアデザイナー賞も受賞しました。

「サルトリアル(SARTORIAL) 」の香りは、このドラマが背景となっています。

英国紳士服の聖地を舞台とした「サルトリアル(SARTORIAL) 」は、1920年代のヨーロッパで大流行した、クラシックで渋みのある香調「フゼア」を現代風にアレンジした香りです。

それは、“完璧”と言えるほどジェントルマンな香りです。

では次で香りの構成について詳しく見ていきましょう。

“完璧”なほどに仕立て上げられた香り 、英国紳士の香り

サルトリアル(SARTORIAL)オードトワレ

トップノート…アルデハイド、ウォーターノート、バイオレット・リーフ、ネロリ、カルダモン、ブラックペッパー、ジンジャー

ミドルノート…ビーズワックス、シクラメン、ラベンダー、レザー

ラストノート…パチョリ、オークモス、トンカビーン、シダー、メタリックエフェクト、ハニー

発表年…2010年

調香師…ベルトラン・ベシュフール

対象性別…男性

香りを一吹きした瞬間に感じるのは、「低空飛行」な樹脂系の香りです。

女性らしい華やかさや若者向けのフレッシュ感はありません。

ビターで、背筋を正したくなるような、そして一切の妥協を許さないというような、重厚で厳格な雰囲気です。

それは、格式高いテーラーのイメージそのものです。

老舗の伝統を守りつつ、職人一人ひとりにも「流儀」と「こだわり」がある。

「サルトリアル(SARTORIAL) 」のトップノートを香っていると、そんな「老舗の在り方」を側で眺めているような気持ちになります。

トップノートの後は、金属アイロンのような裁ちバサミのような、キンとした硬質な香りが立ち込めます。

そして数分もすると、香りはラベンダーのアロマティックな表情に変わっていきます。

アロマティックとはいっても、レザーの香りが加わっていますので、雰囲気は「癒し系」ではなくどこまでも「シャープ」です。

技術の高さもしかり、老舗の雰囲気や道具の一つ一つまでもが“完璧”だと、そう思わせてくれる香り立ちです。

ラストノートのシダーとオークモスの香りも見逃せません。

「サルトリアル(SARTORIAL) 」はトップノートの印象が強い香りですし、オードトワレなので持続時間がやや短めです。

しかし、最後に香る「残り香」がなによりも素敵なのです。

そのイメージは、「完璧なスーツ」に身を包む男性の姿です。

彼はテーラーにある古い木製のデスクを挟んで、店主と会話をしているのかもしれません。

自信に満ちていながらも口数が少ないその姿は、お互いが“信頼”で結びついていることを証明しているかのようです。

このように「サルトリアル(SARTORIAL) 」は、スーツに抜群に似合う香りであり、さらに周囲の信望が上がるという、英国王室御用達の『ペンハリガン(PENHALIGON’S)』らしい魅惑的なフレグランスなのです。

「サルトリアル(SARTORIAL) 」を調香したベルトラン・ベシュフールは、実際に「ノートン&サンズ」の店舗に出向いてイメージを膨らませたと言いますから、老舗の情景が浮かぶような香りにも、深く納得がいきます。

スーツはもちろん、フォーマルな場に、『ペンハリガン(PENHALIGON’S)』らしさを味わいたい時に

「サルトリアル(SARTORIAL) 」はやはり、男性のスーツ姿に一番よく似合います。

ただ現代風とはいえ、ヨーロッパに多いフゼア調の香りですので、敷居は少し高いかもしれません。

そのため、まとうとしたらスーツで完璧に隠れる場所、脇腹や腰などが良いと思います。

ラストノートが穏やかでとても素晴らしいので、着け直しの必要も特にありません。

年齢層は40代以降の男性にぜひ。

格式高く、エレガントで、経験豊富なその香りのイメージは、現代のジェームズ・ボンドのようでもあります。

また「サルトリアル(SARTORIAL) 」は、女性からも評判の高い香りです。

女性がまとうこともできますし、そうした場合は芯から格好いい女性として、周囲の目に映るはずです。

まとめ

「サルトリアル(SARTORIAL) 」は『ペンハリガン(PENHALIGON’S)』らしい、非常にジェントルマンな香りです。

ボトルに貼られたブラックのラベルにも気品がありますので、お部屋に飾っておいても素敵ですね。

英国らしい香り、硬派な香り、クラシックなメンズの香りをお探しの方は、ぜひお試しになってみてください。