イギリス王室御用達のフレグランスメゾン、『CREED(クリード)』。
非常に歴史の深いメゾンで、創業は1760年に遡ります。
ロンドンの地で、テーラーとして働いていたジェームズ・クリードが“香り付きの革手袋”を当時の国王、ジョージ3世に献上したのが『CREED(クリード)』の始まりと言われています。
クリード家はテーラー技術とともに、オーダーメイドのフレグランスで名声を高めていきました。
その後はフランス皇帝ナポレオン3世をはじめ、その妃であるウジェニー皇后、オーストリア=ハンガリー帝国のエリザベート皇后やスペインのクリスティーナ女王からも認められていきます。
1854年にはフランスのパリにも拠点を設け、顧客には近隣国王室、貴族の人々が名を連ねました。
創業260年を越えるという歴史深い『CREED(クリード)』ですが、歴代のパフューマーは創業者ジェームズ・クリードの子孫たちです。
現在は7世代目のオリヴィエ・クリードがパフューマーを務めており、長いあいだ受け継がれてきたブランドの伝統を継承しています。
さて、今回ご紹介するのはそんな『CREED(クリード)』から1、2を争う人気香水「Silver Mountain Water(シルバー マウンテン ウォーター)」です。
『CREED(クリード)』のシグネチャー香水「アバントゥス」と並んで、長く愛され続けている「Silver Mountain Water(シルバー マウンテン ウォーター)」は、着けやすくも高級感のある香りとして大変に有名です。
メンズ寄りのユニセックス香水ではあるものの、その清潔感とフレッシュさで女性からも大人気だという「Silver Mountain Water(シルバー マウンテン ウォーター)」。
どんなストーリーが込められているのか、どんな香りがするのか、詳しくご紹介したいと思います。
目次
太陽の光を浴びたアルプス山脈、銀嶺と雪解けをイメージ。
「Silver Mountain Water(シルバー マウンテン ウォーター)」を調香したオリヴィエ・クリードは、スキー愛好家でした。
彼はアルプス山脈を訪れた時に、早朝の太陽が銀色の山々を照らす光景を目にします。
キリッと冷えた空気の中で、肉眼でキャッチしたのは「雪解け」の瞬間。
そこで捉えた「透明感」を香りに落とし込んだのが「Silver Mountain Water(シルバー マウンテン ウォーター)」となります。
雪解けの美しい水、空気中に立ち込める水蒸気、青空に浮かんだできたての雲。
自然を敬いつつ、どこまでも冷たく突き抜けるような香りが普段の装いにもフィットする、魅力的なオードパルファムです。
雪の結晶が見えるような、透明感のある香り。でもそれだけでは終わらない
Silver Mountain Water(シルバー マウンテン ウォーター)オードパルファム
トップノート:ベルガモット、マンダリンオレンジ
ミドルノート:グリーンティー、ブラックカラント
ラストノート:ガルバナム、ムスク、サンダルウッド、プチグレン
発表年:1995年
調香師:オリヴィエ・クリード
対象性別:ユニセックス(やや男性寄り)
1995年に発表された「Silver Mountain Water(シルバー マウンテン ウォーター)」ですが、今まとっても「新しい」と感じるのが素晴らしいところです。
トップノートから香るのは、いきなり銀世界に招待されたかのような、冷たい風を感じるシトラス&アロマ。
標高の高い山に吹く風のように、キリっと冷たい印象です。
しかしただ冷たいだけではなく、ベルガモットの優しいアロマが「柔らかな太陽の光」を思わせてくれます。
わずかな甘みも感じられますが、トップノートが「強い」ということはありません。
夢の中で銀世界に足を踏み入れたような、現実世界と空想世界を行き来するような、ふわっと軽い香り立ちです。
トップノートのわずかな甘みは、ミドル以降でグリーンティーと混じり、より高尚な印象に。
ハーバルさが控えめなので、メンズ香水によくある「剣のような鋭さ」はなく、穏やかに盛り上がっていきます。
ここが女性にも着けやすいと思われるポイントでしょう。
それからフローラルの香りも感じられます。表情は少しクリーミーで、山の朝もやがイメージできるしっとりとした印象です。
ラストのムスクも素晴らしく、さすが『CREED(クリード)』といったところです。
というのも『CREED(クリード)』は天然香料にこだわっているため、ムスクにどのフレグランスメゾンにもないような、「エアリーさ」が際立っているのです。
視界は山頂から見る景色のように広く、高い。
目の前に美しい青空とできたての雲が広がっているような、エアリー感を表現しているのがこのラストノートです。
ムスクが印象的ですが、甘すぎたりメンズっぽくなりすぎたりはしていません。
少しの塩気と、ミルキーさが肌との相性も抜群で、山の持つ荘厳なイメージ、『CREED(クリード)』の高級感を同時にまとうことができます。
男性にも女性にも、季節を問わずにまとえる汎用性の高さ
「Silver Mountain Water(シルバー マウンテン ウォーター)」は、やや男性寄りのユニセックス香水です。
しかし清潔感と上品さ、少しのフェミニン性があるので、女性からも高い支持を集めています。
清潔感はリネン系(石けんや洗いたての寝具の香り)というより、オゾン系に分けられるでしょうか。
澄み切った美しい空気の香り、雪の積もった山の香り、そういった自然の香りが1本にぎゅっと詰まっているのです。
年齢は問いません。
人生を通してこれ一本で、という使い方もできます。
そしてもう一つ、「Silver Mountain Water(シルバー マウンテン ウォーター)」の特徴としてはオンオフ、季節を問わないという汎用性の高さがあります。
オードパルファムですが全体を通して控えめで上品な香りなので、夏でも使える貴重なフレグランスとなります。
ただその際はムスクが少し強めに出ると思いますので、下半身(太ももや腰など)にミストのようにまとうのがおすすめです。
オンオフ行ける香りですが、服装は写真のようにカジュアルでも、かっちりとしたスタイルがお似合いになると思います。
職場で香水をまとうのがOKであれば、「できる人」「上品な人」という印象を持たれることでしょう。
まとめ
発売から30年近くが経った今でも高い人気を誇る、伝説の香りが「Silver Mountain Water(シルバー マウンテン ウォーター)」です。
1760年から7世代続くパフューマー、天然香料へのこだわり、他の追随を許さない『CREED(クリード)』の香りは、香水好きさんでなくとも一見の価値があります。
時の試練に耐えたフレグランスメゾンが作る「本気の香り」を、ぜひ一度体験してみて下さい。