フランス・パリ発のフレグランスメゾン『グタール(Goutal)』。

人生の幸せなひとときにインスパイアされた、エモーショナルで美しい香りが特徴です。

そんな『グタール(Goutal)』が誕生したのは、1981年のことでした。

創業者の名はアニック・グタール。

かつてピアニストを目指しファッション・モデルを経験した一人の女性が、パリのベルシャス通りに小さな香水店を構えたのです。

彼女が造り出した香りは、他のブランドとはニュアンスの異なるものでした。

当時の香水ブランドの多くは、パワフルな社会情勢に後押しされ、ダイナミックで贅沢な香りをたくさん生み出していました。

ディオールの「プワゾン」や、カルバン・クラインの「エタニティ」などです。

しかし『グタール(Goutal)』(旧アニック・グタール)の香水には、アーティストだったアニック・グタールの生き様を表すかのように、揺れ動く“感情”が含まれていました。

それもそのはず、彼女は自らを動かす“感情”に忠実に、そして“愛”に基づいた香り造りを徹底していたのです。

その後は「オーダドリアン」や「プチ・シェリー」といった名香を生み出し、当時では珍しかったユニセックスフレグランスを成功させるに至りました。

現在は「プチ・シェリー」のモデルとなった最愛の娘、カミーユ・グタールが経営を引き継ぎ、ブランド名を『グタール(Goutal)』として新たな香りを世に送り出しています。

そんな『グタール(Goutal)』が、2023年10月に新作香水「アンブル ソヴァージュ アブソリュ(AMBRE SAUVAGE ABSOLU)」を発表しました。

ふくよかなアンバーを「東洋への敬意」と表した「アンブル ソヴァージュ アブソリュ(AMBRE SAUVAGE ABSOLU)」は、どんな香りがするのでしょうか。

香りのコンセプトと詳しい構成をご紹介したいと思います。

インスピレーションの源は「東洋」、夕闇のモロッコ・タンジール

「アンブル ソヴァージュ アブソリュ(AMBRE SAUVAGE ABSOLU)」は直訳すると、「究極の野生のアンバー」となります。

この香りを調香したのはカミーユ・グタール本人と、専属調香師のイザベル・ドワイヤンの二人です。(二人とも女性)

香りの舞台はモロッコのタンジール。

ジブラルタル海峡に面した、スペインにも近い港町です。

「アンブル ソヴァージュ アブソリュ(AMBRE SAUVAGE ABSOLU)」は、そんな港町の「夕闇」にインスパイアされました。

「夕闇」の中にはどこからともなく聴こえる舞踏曲、賑やかな笑い声といった、港町独特のあたたかな雰囲気も含まれています。

「アンブル ソヴァージュ アブソリュ(AMBRE SAUVAGE ABSOLU)」は、そんなタンジールでの美しい思い出を元にした、感動的な1本です。

アンバー×ラベンダーの情緒的なユニセックスフレグランス

アンブル ソヴァージュ アブソリュ(AMBRE SAUVAGE ABSOLU)オードパルファム

トップノート:ラベンダー、ピンクペッパー

ミドルノート:アイリス、バニラ、アンバーアコード

ラストノート:シスタス、スティラックス、インドネシア産パチョリ、ラオス産ベンゾイン、スペイン産ラブダナム、ソマリア産フランキンセンス、ミルラ

発表年:2023年

調香師:カミーユ・グタール、イザベル・ドワイヤン

対象性別:ユニセックス

「アンブル ソヴァージュ アブソリュ(AMBRE SAUVAGE ABSOLU)」を一吹きすれば、豊かな想像の世界へと瞬時に引き込まれてしまうことでしょう。

タンジール=モロッコ=エキゾチックな香りとイメージしてしまうのですが、トップノートから漂うのは期待を良い意味で裏切る、清潔なラベンダーの香りです。

それはまるで、「夕陽に照らされる黄金のラベンダー畑」のようです。

でもなぜ、夕陽なのでしょう?

午前中ではなく夕方である理由は、ラベンダーの奥に潜むバニラとアンバーの存在があるためです。

ラベンダーのクリーンさを、バニラとアンバーが抱え込むように覆っている姿は、夕空のグラデーションのようにとてもエモーショナルです。

香りを可視化するのなら、淡紫とやさしいゴールドが目の奥で「たゆたう」感じでしょうか。

そんな香りのコントラストが、私たちを情緒あふれる世界へと誘ってくれるのです。

東洋産のパチョリやベンゾイン、そして西洋産のラブダナムも、心地良い「ミックス感」を醸し出しています。

しかし香りには不思議にも、都会的なイメージがつきまといます。

それは『グタール(Goutal)』が拠点を置く、芸術の都パリ。

パリはヨーロッパの中でも、随一のミックスカルチャーを誇る街です。

街を歩けば、すれ違う人からふわっと異国の香りが漂ってくることもあります。

最後はそんなパリの“多面性”を映し出すような、芳醇なウッディの香りで幕を閉じます。

「アンブル ソヴァージュ アブソリュ(AMBRE SAUVAGE ABSOLU)」はこのように、ふとした瞬間に思い出される、懐かしい記憶に焦点を当てた情緒的なオードパルファムです。

美しい夕陽に「あの思い出」を乗せながら。

「アンブル ソヴァージュ アブソリュ(AMBRE SAUVAGE ABSOLU)」の意味する「野生のアンバー」は、この香りによって引き出される思い出が今も躍動していることを示しています。

秋の夜長にぴったり、エモーショナルであたたかい香り

「アンブル ソヴァージュ アブソリュ(AMBRE SAUVAGE ABSOLU)」は、空気の乾いた秋冬にぴったりのフレグランスです。

コートやニットといった、重めの服装とも相性が合います。

性別はまったく問いません。

男女の垣根なく使っていただけます。

ただアンバーとウッディの香りが特徴的ですので、フローラルやフルーティといったソフトさを求める人には、やや「重ため」の印象となるかもしれません。

しかし『グタール(Goutal)』らしく、非常にエモーショナルで官能的なところが「アンブル ソヴァージュ アブソリュ(AMBRE SAUVAGE ABSOLU)」にはあります。

ユニセックス香水によく見られる“シャープさ”も控えめです。

この香りをまとえば心は解放され、まるでセーヌ河のほとりで夕暮れを眺めている時のように、豊かでノスタルジックな気持ちになれることでしょう。

まとめ

1981年以来、自由なクリエイションを続ける『グタール(Goutal)』。

香りの良さはもちろん、2022年に刷新されたプリーツ・ボトルにも注目が集まります。

そして今回の新作「アンブル ソヴァージュ アブソリュ(AMBRE SAUVAGE ABSOLU)」は、アンバーを極めた香りとして、感情を持つオードパルファムとして、これからも長く語り継がれる1本となるでしょう。