スウェーデン発祥の『バイレード(BYREDO)』は、エモーショナルな香りで人気を博す、新進気鋭のフレグランス・ブランドです。

『バイレード(BYREDO)』は2006年、香水界に彗星のごとく現れました。

ブランドを立ち上げたのは、香りとはまったく無縁だったというベン・ゴーラム氏。

彼はアートの世界で活躍する傍ら、目に見えない香りに感情をかき立てられていたといいます。

そんな中、一人のフランス人調香師と出会ったことがゴーラム氏の運命を一新します。

ゴーラム氏は調香の基礎や、香りができ上がっていくまでのストーリーに感銘を受けました。

そして、自らの記憶や感情にインスパイアされた香り作りを決意します。

『バイレード(BYREDO)』の骨格はこうしてでき上がりました。

内なる感情を香りというアートに昇華させた『バイレード(BYREDO)』は、これまでにもさまざまな名香を世に送り出しています。

「ブランシュ」「ジプシーウォーター」「モハーヴェゴースト」は特に人気が高く、ファッショニスタやセレブの間でも話題になりました。

今回ご紹介するのは、そんな『バイレード(BYREDO)』から新発売となったオードパルファム、「アニマリーク(ANIMALIQUE)」です。

アニマリークとはフランス語で「動物的な」を意味します。

どんな香りがするのか、どんな記憶と感情がベースになっているのか、ここで詳しく述べていきましょう。

「アニマリーク(ANIMALIQUE)」、あるがままの本質と原始的な本能

フランス語で「動物的な」を意味する「アニマリーク(ANIMALIQUE)」。

意味深なタイトルですがそれもそのはず、「アニマリーク(ANIMALIQUE)」のコンセプトは「抑制を打ち砕く香り」となります。

“抑圧された本能を解き放ち、あるがままの自分を見せていく”

今回の香りには、そんなダイナミズムが表れています。

もっと具体的には、「アニマリーク(ANIMALIQUE)」は創立者ベン・ゴーラム氏が体験した90年代のニューヨーク、クラブシーンを表しています。

そこから連想されるのは、音楽との一体感、解放される自分、そしてそこから漂う「恍惚感」です。

「アニマリーク(ANIMALIQUE)」は、こういった感情を香りに落とし込んだ作品となります。

ミモザとパウダーのめくるめく香り

アニマリーク(ANIMALIQUE)オードパルファム

トップノート:ベルガモット、レモン

ミドルノート:バイオレット、ミモザ、ホワイトスエード

ラストノート:アンバー、タバコリーフ

発表年:2023年

調香師:ジェローム・エピネット

対象性別:ユニセックス

「アニマリーク(ANIMALIQUE)」は、シトラスの軽快なトップノートで始まります。

とはいっても、香りは柑橘系そのものではありません。

イメージは、ベルガモット・レモンをそれぞれ「絵画」にした感じ。

写実的な広がりを見せる香りは、植物としてのあるべき姿をそのまま表しているようです。

ですのでどちらかというと、“ハーブ寄りのトップノート”と言えるかもしれません。

少し薬草っぽくもあり、個性的な一面が目立ちます。

ミドルノートにあるミモザ、バイオレット(スミレ)は、ここですでに待機しています。

トップの優等生的な香りが、パウダリーなバイオレットと混ざると、表情は一気に悩ましげに。

スモークのような、もわっとした膨らみが香りに加わります。

ミモザのズン、とくる甘さも見逃せません。

黄色くて可愛らしいあのミモザを、すべて抽出して液体にしたようなとろみある香りです。

これにうっとりする人は少なくないと思います。

ミモザのイメージは、一般的にフェミニンです。

しかしここでジェンダーを感じさせないのが、『バイレード(BYREDO)』の素晴らしいところです。

ホワイトレザーのマスキュリンな香りが加わることにより、丸みある香りにピリリとした緊張が生まれます。

ここでの香りは立体的です。

複雑なレイヤー構造になっていて、一筋縄ではいかない「アニマリーク(ANIMALIQUE)」のイメージにもピッタリです。

セクシーですが、同時に知性とアーティスト性も感じられます。

こうしたミドルノートは、とても『バイレード(BYREDO)』らしい香りだと言えるでしょう。

最後に待っているのは、圧巻のパウダリー・ノート。

めくるめくパウダーの香りには、「ここまで心酔する香水が過去にあっただろうか」と思うほどです。

沈殿するようなアンバーの広がりに、うっすらとしたタバコの匂い。

90年代の「クラブシーン」を彷彿とさせる、夢うつつのラストノートです。

ですが、パウダー=古臭い、マダムの匂い、という訳ではありません。

90年代に流行った海外の香水をイメージしていただけると良いかと思います。

イブサンローランの「リブ・ゴーシュ」や、エスティローダーの「プレジャーズ」などです。

「アニマリーク(ANIMALIQUE)」は、そんな香水を身にまとった若者たちが一世を風靡した、1990年代の風景を呼び覚ますものなのです。

香りが「レトロ」な雰囲気を漂わせているのは、このためです。

つまり、「アニマリーク(ANIMALIQUE)」は動物的で濃厚な香りなのではなく、ミモザとパウダーの「余韻を含んだ香り」となります。

これも「記憶」をベースにした、『バイレード(BYREDO)』らしい香りと言えるでしょう。

40代の男女におすすめしたい、甘く切ない1本

「アニマリーク(ANIMALIQUE)」はパウダリー香水にしては珍しい、ジェンダーレスな1本です。

アンバーの甘み、ミモザの甘みと相反するレザーの香りに、ヨーロッパらしい芸術的な一面も見られます。

香りは全体的に複雑ですが、重くはありません。

ですので、どなたでも気負わずにまとうことができると思います。

ただ季節は夏を避けた方が良いでしょう。

ラストノートのパウダーが強いインパクトを持っているため、湿度の高い日にはしんどくなってしまうかもしれません。

オリエンタル香水が好きな方には、「アニマリーク(ANIMALIQUE)」が大変おすすめです。

またこのしっとりとした風情は、40代の大人の男女に似合います。

甘く切なく、そしてメロウな「アニマリーク(ANIMALIQUE)」は、忘れられない思い出を持つみな様に抜群にお似合いになるでしょう。

大きな癖もなく、つけにくい香りでもないので、普段使いとしてもOKです。

もう一つの特徴は、香りが「お洒落」だということ。

ファッションとの相性もよく、その人の個性を効果的に引き立たせてくれます。

まとめ

「アニマリーク(ANIMALIQUE)」は、2023年10月に発売された新作の香水です。

「内なる感情」「忘れられない記憶」

これらを香水という見えないアートに昇華させた『バイレード(BYREDO)』から、ますます目が離せません。