イギリス発のラグジュアリーフレグランスメゾン、『クリード(CREED)』。

1760年にスタートした『クリード(CREED)』は、創業者ジェームズ・ヘンリー・クリードがテーラリング(仕立て業)をしていたことから物語が始まりました。

仕立屋「ハウス・オブ・クリード」のオーナー、ジェームズ・ヘンリー・クリードは、18世紀にイギリス国王ジョージ3世に香りのついた革手袋を届けます。

これが『クリード(CREED)』の原点です。

その後ブランドは、ジョージ3世の孫であるヴィクトリア女王をはじめとした王室のメンバーに愛され、由緒ある「王室御用達ブランド」として成長しました。

こうして香りの追求を深めた『クリード(CREED)』は、1854年にロンドンからパリへと拠点を移します。

移転後はパリにラボラトリーを構え、香料調達から製造までのすべてを自社で行いました。

この姿勢は260年経った現在でも変わっておらず、香料の計量でさえなお手作業で行っているといいます。

そんな『クリード(CREED)』を代表するフレグランスには、名香「アバントゥス」「シルバー マウンテン」「ラブ イン ホワイト」などがあります。

2023年には待望の新作「カーミーナ(Carmina)」が登場し、フレグランスのラインナップがさらに増えることになりました。

歴史も深く、伝統的な香りづくりにこだわる『クリード(CREED)』が発表した「カーミーナ(Carmina)」とはどんな香りなのでしょうか。

香りのコンセプトと共に、詳しくご紹介していきたいと思います。

クリード家で発見された一冊の“スケッチブック”が香りの発想源

今回の新作「カーミーナ(Carmina)」は、パリ16区にあるクリード家の一室で発見された、創業者ジェームズ・ヘンリー・クリードのスケッチブックがインスピレーション源となっています。

もともと仕立て業をしていたジェームズ・ヘンリー・クリードのスケッチブックは、世代を越えて大切に受け継がれてきました。

そこに描かれていたのは、贅沢な生地を使ったボリューミーでカラフルなドレス。

もちろん一点だけではなく、たくさんの豪華なドレスが描かれていたといいます。

新作「カーミーナ(Carmina)」はそんなデッサンにインスパイアされ、大胆で情熱的

・冒険に臆することなく出かけようとする「ヒロイン」をイメージして調香されました。

香りはフローラル・アンバー調で、『クリード(CREED)』らしい入念で丁寧な作品となっています。

またこのフレグランスは、“妖艶なカリスマ性”を持つ女性の本質を体現したということです。

そのため香りに力強い足跡を残すのも、「カーミーナ(Carmina)」の大きな特徴の一つです。

それでは香りの構成を詳しく見ていきましょう。

ドレスをまとうような香り。ローズとブラックチェリーの華やかなアンサンブル

カーミーナ(Carmina)オードパルファム

トップノート:ピンクペッパー、ブラックチェリー、サフラン

ミドルノート:ローズ ド メイ、バイオレット、ピオニー

ラストノート:カシミアウッド、アンバー、ムスク

発表年:2023年

調香師:アーウィン・クリード

対象性別:女性/ユニセックス

「カーミーナ(Carmina)」は、ブラックチェリーとピンクペッパーの弾けるような香りからスタートします。

最初のピリッとした印象は、ピンクペッパーとサフランの組み合わせによるものです。

それがブラックチェリーと合わさることで、世にも珍しいフルーティ・スパイシーノートが生まれるのです。

ここにスイートさはありません。

嗅いだことのないような、しかしそれでいて華やかなフルーティ・スパイシーノートには、「ヨーロッパの美しい街並み」が頭に思い浮かぶようです。

慣れるのに少し時間がかかるかもしれませんが、一旦慣れてしまえば癖になってしまいそうな香りです。

そしてこのトップノートは肌の上で約1〜2時間ほど続いていきます。

香りが深まると、ローズドメイ(5月の薔薇)が主役に変わります。

ここでのローズはとても力強く、あでやかです。

イメージはオートクチュールのドレス。

たくさんの花弁を身にまとっている、ローズドメイの実際の姿にも似ています。

しかしローズが力強く香るにもかかわらず、不思議とナチュラルな印象が後に残ります。

薔薇香水に感じがちな引っかかりやえぐみもなく、バイオレット(スミレ)とピオニーが香りに繊細さをプラスしています。

ラストノートではカシミアウッドとアンバーが勢力を増し、香りがふっくらと、まろやかな印象に変わります。

残されたローズもわずかに鼻をくすぐります。

そのイメージは、バスタブに薔薇を浮かべたときの香りでしょうか。

身体の芯から温まる感じに、ローズの美しい香りが加わって頭も心もほぐれていくようです。

全体的に甘さが控えめですっきりしているせいか、「カーミーナ(Carmina)」には派手さや嫌な主張がありません。

ローズドメイの主張はあるにしても、他の香料との調和が素晴らしく取れているため好感度は抜群です。

これは現代社会が好む「新しいカリスマ」を表しているようです。

また「カーミーナ(Carmina)」は女性のためのフレグランスではありますが、中性的な魅力もあるのでジェンダーレス香水として使っていただけると思います。

持続力も高く、およそ8〜10時間は香りが続いていきます。

ローズが好きなすべての方に。中性的な魅力を持つ男性にも

オートクチュールドレスを彷彿とさせる、ラズベリー色のボトルが鮮やかな「カーミーナ(Carmina)」。

ピリリと弾けるスパイスに、カリスマ性のあるローズドメイ、温かなカシミアウッドが印象的な1本です。

「カーミーナ(Carmina)」は創業者のスケッチブックにあった、色とりどりのドレスのデザインがインスピレーション源でした。

そのためフェミニンな香りを想像してしまうのですが、実はジェンダーレス香水としてもまったく問題なくお使いいただけます。

ローズドメイのモダンな香りがお好みという方でしたら、年齢に関係なくどなたにでもまとっていただけると思います。

季節は春先がいちばん美しく香ることでしょう。

ローズドメイの旬である4〜5月、暑くなる前の過ごしやすい季節にはぴったりです。

また上品で高級感があるので、夜のおでかけにも最適です。

夫婦でペア香水として使っても素敵だと思います。

いずれにしろ「カーミーナ(Carmina)」はラフ過ぎない、きっちりとしたルックに似合います。

王室御用達ブランドの『クリード(CREED)』らしいラグジュアリーな雰囲気が、まとう人の品格を一段も二段も上げてくれることでしょう。

まとめ

今回の新作「カーミーナ(Carmina)」は、テーラリングから始まった『クリード(CREED)』らしい逸話が秘められたフレグランスです。

7世代も続く信念と、世界最高峰の技術が光る『クリード(CREED)』。

「カーミーナ(Carmina)」はそんな『クリード(CREED)』が誇る、正真正銘のモダン・ローズフレグランスです。