アートな雰囲気漂うファッションブランド、『メゾン マルジェラ(Maison Margiela)』。

80年代後半に設立された『メゾン マルジェラ(Maison Margiela)』に、「レプリカ」のラインが加わったのは、古着ファッションが黄金期を迎えた1994年のことでした。

「レプリカ」ラインとは、過去のヴィンテージ・ウェアやアクセサリーを現代風に再解釈した、『メゾン マルジェラ(Maison Margiela)』独自のコレクションです。

そのラベルには、元の生産国、機能、年代を記載。

ウェアの辿った歴史に敬意を払うかたちで残されています。

2012年には、「レプリカ」のコンセプトを採用したフレグランスコレクションが登場します。

「レプリカ」シリーズはその後、世界中で人気を集めるフレグランスラインとなり、「レイジー サンデー モーニング」「ジャズ クラブ」「フラワーマーケット」などは各地で大ヒットを記録しました。

2024年2月には、そんな「レプリカ」ラインから新作、「フロム ザ ガーデン(From the Garden)」が発売になります。

香りのテーマはイタリア、日曜の午後、そして緑豊かな菜園のトマト。

春夏にふさわしい、フレッシュなオードトワレです。

今回はこの「フロム ザ ガーデン(From the Garden)」についてご紹介したいと思います。

香りの背景にあるもの

「レプリカ」シリーズでは、洋服のタグに記載があるように、香水ボトルにも着想源となった国(場所)、年代、ディスクリプションが書かれています。

では「フロム ザ ガーデン(From the Garden)」はどうなのでしょうか。

着想源となった場所は、イタリア南部の州・プーリアです。

イタリアをブーツの形に例えたとして、ヒールの部分に当たる場所です。

そこで調香師のセバスチャン・クレスプは、散歩中に漂った“トマト”の香りにフレグランスのインスピレーションを得ました。

彼は「新鮮なトマトを手摘みしたような香り」を、父と息子が分かち合う思い出としてフレグランスに落とし込んだのです。

そのため「フロム ザ ガーデン(From the Garden)」は、フレッシュなトマトの香りから親子の触れ合い・やさしさまでを表現した、珍しい香りとなります。

緑豊かな庭でトマトを収穫した、父子の記憶。

「フロム ザ ガーデン(From the Garden)」はその記憶をもとに奏でる、爽やかなシトラス・ウッディーのフレグランスです。

手摘みトマトと大地のアーシー&ハーバルな香り

レプリカ オードトワレ フロム ザ ガーデン(From the Garden)

トップノート:グリーンマンダリン、グレープフルーツ、シトラス アコード

ミドルノート:トマトリーフアコード、ゼラニウム、ローズアコード

ベースノート:パチョリ、クリスタルモス、ホワイトムスク

発表年:2024年

調香師:セバスチャン・クレスプ

対象性別:ユニセックス

「フロム ザ ガーデン(From the Garden)」のトップノートは、まさに「もぎたてトマト」と言えるでしょう。

強めグリーンの香りから、野菜を手摘みしたあの感覚を思い出す人も多いかもしれません。

菜園の中心に、本当に佇んでいる気持ちになります。

イメージできる時間帯は「日曜の午後」です。

仕事からは解放され、ストレスもなく、初夏の太陽を味方につけたような印象。

鼻腔にも脳にも、気持ちよく香りが通り抜けていきます。

そんなグリーン&ハーブの香りは、ミドルノートでローズにバトンタッチを果たします。

このローズはゼラニウムをまとっているため、ハーブ感が少し強めだと言えます。

しかし裏を返せば、フェミニンに寄り過ぎておらず、性別を感じさせない香りと結ぶことができます。

グリーンノートはすでに消えていますが、シトラス&ゼラニウムの、アロマオイルのような香りはその後もしばらく続きます。

2〜3時間経つと、パチョリとモス(苔)の香りがメインになります。

それはほんのりと湿り気のある、土の匂い。

ガーデニングを楽しんだ後の、充実した気持ちを思い出させます。

また「フロム ザ ガーデン(From the Garden)」の終盤では、ホワイトムスクも登場します。

ホワイトムスクが現れると、無機質から有機質にガラッと代わるイメージが。

菜園や土といった「モノそのもの」の香りに、登場人物が加わるのです。

ホワイトムスクのぬくもりは、家族や大切な人との、あたたかい関係性を示しています。

公式では“父と息子”とありますが、たとえ血が繋がっていなくても、その関係は壊れることなく続いていくのでしょう。

菜園で育んだ「誰か」との思い出をもとに。

「フロム ザ ガーデン(From the Garden)」には、果実とともに香る美しい記憶が詰まっています。

このように「映像」として見える香りは、そう多くないと思います。

一連の様子はまるで、実写映画か、ドキュメンタリードラマを見ているかのよう。

タグやパッケージのイメージだけでなく、香りからさまざまなシーンが蘇ってくる。

それこそが、「フロム ザ ガーデン(From the Garden)」のいちばんの特徴です。

湿気もジェンダーも気にならない、初夏にまといたい香り。

リラックス系の香りが多く、まといやすいと評判の「レプリカ」シリーズ。

中でも「フロム ザ ガーデン(From the Garden)」は、シリーズで一、二を争うほどのつけやすさだと言えます。

サボン系、フローラル系とは違いますが、グリーン・シトラスのフレッシュな香りがお好みの方にはとてもおすすめです。

ハーブの香りも漂いますので、ジェンダーフリー香水としても問題なくまとえます。

季節は春先〜初夏に。

真夏であったとしても、腰から下の位置にちょんとつければ軽やかに香ってくれるはずです。

年齢、性別、シーンは問いません。

「レプリカ」シリーズ、特に「フロム ザ ガーデン(From the Garden)」は“記憶”や“ムード”を呼び覚ましてくれる香りですので、時や場所を超えて素敵な雰囲気を届けてくれるでしょう。

まとめ

大人気の『メゾン マルジェラ(Maison Margiela)』、「レプリカ」シリーズから新作「フロム ザ ガーデン(From the Garden)」をご紹介しました。

トマトのノートは、珍しいながらもフレグランス業界で注目されている香りです。

話題性抜群なこの香り、初夏のための「シーズンフレグランス」としてまとってみるのも良さそうですね。