2008年の発売以来、空前の大ヒットを記録した『Chloe(クロエ)』オードパルファム。
この香りは日本をはじめ、世界中の若い女性が最も憧れる香水となりました。
大変魅力的なフレグランスではありますが、『Chloe(クロエ)』オードパルファムにはどうしても「若い女性」「キュート」といった先行イメージがついてしまい、『Chloe(クロエ)』はその固定化された概念を払拭すべく新しい香りを創造したのです。
その名前は、「NOMADE(ノマド)」。
“遊牧民”の意味を持つこの香りは、「もっと自由に、翼を広げて。まだ見たことのない風景と、新しい自分を探す旅へ」というコンセプトを元にして創られた、少し年を重ねて落ち着きとクールさが増したレディのための香水です。
従来のオードパルファムとの決定的な違いは、「NOMADE(ノマド)」のラストノートにオークモス(苔)とパチュリが加わったことでよりキリっとした「フォーマルさ」や「頼もしさ」がプラスされたところです。
深い上品さが乗るこのフローラル・シプレーノートは、一筋縄ではいかないと感じる30歳前後の女性にこそしっくりくるでしょう。
ウーマン・パワーによって展開されている『Chloe(クロエ)』ブランド。
今回は、このブランド自らが「一番『Chloe(クロエ)』らしい!」と語る「NOMADE(ノマド)」の魅力を徹底レビューしていきたいと思います。
大地を思わせるマスキュリンなトップノート
出典:『Chloe(クロエ)』オフィシャルインスタグラムより
トップノート:ミラベル(西洋スモモ)、ベルガモット、レモン、オレンジ
『Chloe(クロエ)』のフレグランスと言えば、で守ってあげたくなるような可憐な香りを連想される方も多いかと思います。
ですが、これまでの『Chloe(クロエ)』のイメージを一掃するかのように「NOMADE(ノマド)」はスタートダッシュから良い意味で裏切られることとなります。
ミラベルとは主にフランスが原産の、黄金色をした上品な甘さのプラムです。
杏に近い香りのする新鮮なフルーツなのですが、これがベルガモットなどの硬いシトラス系の香りと調和して、ユニセックス香水のような苦みを含むトップノートとなっています。
始まりから『Chloe(クロエ)』っぽさがありません。
シプレノートが早くも登場しているせいか、キュートさは感じられず、カッコいい佇まいを思わせるキリっとした印象です。
シプレノートとは、主にベルガモットを中心とした柑橘系のトップノートに加え、オークモスと言う苔の香りを組み合わせた幻想的な印象が特徴です。
中性的なニュアンスを持っているシプレノートは、他の女性向け香水にはない独特な性格を持ち合わせています。
・女性用香水なのにサバサバした印象がある
・男性用香水に入っていれば柔らかい印象になる
・つかみどころのないミステリアスな雰囲気がある
出典:『Chloe(クロエ)』オフィシャルインスタグラムより
このようにジェンダーレスな意味合いを持ちつつ、「NOMADE(ノマド)」はその名前に相応しい“クリアーで自由な”トップノートから始まるのです。
これは「傑作トップノート」として香水業界でも大変評判が良いもので、既に始まりから只者ではない風格が漂っています。
「NOMADE(ノマド)」=“遊牧民”と名付けられたこの香り。
それは、まだ自分が知らない土地へ足を踏み入れ、そして地に足をつけたようにこれから強く生きていくー。
そんな大地のような強い意志が感じられる、雄大で素晴らしいトップノートです。
凛とした雰囲気を持つフリージアが香るミドルノート
出典:『Chloe(クロエ)』オフィシャルインスタグラムより
ミドルノート:フリージア、ジャスミン、ピーチ、ローズ
続くミドルノートでは、フリージアの香りがよく立っています。
フリージア(浅黄水仙)はすっきりとしたグリーンフローラルの香調で、「エレガントで落ち着いた雰囲気」を醸し出す香りとして最適です。
ここではジャスミンやローズといったスター級の香料を抑えて、フリージアが主役となっているところが「NOMADE(ノマド)」の最大の魅力と言えましょう。
フリージア特有のグリーン感が辺り一面に広がり、そしてアロマティックでビターな、まるで森の地面のような苦味が深みを出しています。
ただ骨太になりすぎないのはピーチのスウィートさが効いているからだと思います。
それぞれが絶妙なバランスで溶け合い、お互いを譲り合うかのように整えられた香りとなっています。
『Chloe(クロエ)』歴代のクリエイティブ・ディレクターには、初期のカール・ラガーフェルドから始まり、ステラ・マッカートニー、フィービー・ファイロなどが名を連ねています。
このように『Chloe(クロエ)』は女性が憧れる、「恋も、仕事も、家庭でも成功したスーパーウーマン」がクリエイトする“ウーマン・パワー”にあふれたブランド。
「NOMADE(ノマド)」の香りは彼女たちのように、力強くも女性であることを心から楽しむような潔いオードパルファムなのです。
シプレノート・フリージア・ピーチといった香りのキーワードが『Chloe(クロエ)』を愛する現代の女性像に抜群にマッチしていて、気高さと大人の女性のセンシュアルさを兼ね備えていています。
一筋縄ではいかないフリージアというニッチなフローラルの香りが、上昇志向のある女性にとてもよくハマるパーフェクトな1本。
美しいミドルノートの傍らにふっと香る“中性的”ならぬ、“野性的”な一面が、「NOMADE(ノマド)」のキャラクターをより面白く個性的なものにしています。
周りの意見に耳を傾ける謙虚さはあるけれど、最後は絶対に自分の意志で行動する。そんな凛とした女性像を思わせるミドルノートです。
知的にドライダウンするラストノート
出典:『Chloe(クロエ)』オフィシャルインスタグラムより
ラストノート:オークモス、アンバーウッド、パチョリ、サンダルウッド、ホワイトムスク
大地に沈む夕日のようにゆっくりとドライダウンするラストノートでは、パチュリの知的さと、微熱をはらんだようなホワイトムスクのセンシュアルさが際立っています。
あふれ出る「いい女」感がここでクライマックスを迎えます。
「美女」と「いい女」は似て非なるものだと思います。
「美女」はアピールが強いのに対し、「いい女」は心が強い。
「美女」はルックスが美しいのに対し、「いい女」は余韻が美しい。
「NOMADE(ノマド)」のラストノートを形容するとしたら、圧倒的に「いい女」が優っているのです。
本当に最初から最後まで徹頭徹尾、知的で思慮深い女性像を彷彿とさせるオードパルファムで、パリっとした服装にも良く似合う、キレのある香りです。
そして特徴としては最後にウッディな香りとパチュリの苦味が肌に残ります。
甘さはほとんどありません。高級ソープのような香りに加え、ここでもシプレノートがフィナーレを飾っています。
とにかく潔くてカッコいい香りなので、20代後半から50代までの幅広い年齢層の女性にお似合いになるでしょう。
人生のアクセルを踏み出す30歳前後の女性には特にお勧めしたい香りです。
出典:『Chloe(クロエ)』オフィシャルインスタグラムより
「NOMADE(ノマド)」はどちらかというとオンの日に身にまといたいフレグランス。
上品で知的、落ち着いた大人の女性の印象が強いので、スイッチが入っている時の心強い味方となってくれることでしょう。
たまに見え隠れする“遊牧民”的な大胆なエッセンスが、日常のシーンに素晴らしいギャップを与えてくれるに違いありません。
まとめ
『Chloe(クロエ)』史上、一番マスキュリンな印象のある「NOMADE(ノマド)」。
たくさんの女性が「カッコいい香り」と評するように、自分の人生を自由に切り拓いていく確かな女性をイメージしています。
馬の蹄をかたどったボトルデザインが、まさに飛躍の第一歩を踏み出せそうですね。
それでいて女性のたおやかさもしっかり表現しているところに『Chloe(クロエ)』の秀逸さを感じます。
オリジナルの『Chloe(クロエ)』オードパルファムを経験された方はもちろん、シプレノートに初めて挑戦したい方にもお勧めな素晴らしい香りです。
『Chloe(クロエ)』の華麗なるデザイナーたちも絶賛する「NOMADE(ノマド)」のハンサムな香りをぜひ手に取ってみてくださいね。