167年の歴史を持つスーパーブランド『LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)』。実はフレグランスが存在することを知らない方も多いのではないでしょうか。
『LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)』は、もともとは旅行用トランクの専門店としてスタートしました。職人魂が光る手作業のトランクは1867年のパリ万国博覧会で銅メダルを獲得し、その後ロシアやスペイン、アラブの王侯貴族たちに重用されるようになります。
世界的にもトップクラスのブランド『LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)』ですが、意外なことに香水は長い間発売されていませんでした。
最後の香水が発表されたのは1946年。
それから70年もの時を経て、ついに2016年に新フレグランスライン「Les Parfums Louis Vuitton(レ・パルファン・ルイ・ヴィトン)」が登場したのです。
専属調香師を務めるのは「ブルガリ・プールオム」などを生み出した、世界三大調香師として名高いジャック・キャバリエです。
“香水界のモーツァルト”と呼ばれるジャック・キャバリエと『LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)』の創るフレグランスは、一貫して「旅」を連想させるものです。
一つ一つの香りに物語が存在する「Les Parfums Louis Vuitton(レ・パルファン・ルイ・ヴィトン)」。
そのなかでも2020年5月に発表となった「CARIFORNIA DREAM(カリフォルニア・ドリーム)」は、カリフォルニアの美しいサンセットにインスパイアされた、夏向けのオードパルファムです。
ユニセックスでも使用できる、アロマティックなこの香りをレビューしたいと思います。
香りのグラデーションはカリフォルニアの空のよう
出典:『LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)』オフィシャルインスタグラムより
CARIFORNIA DREAM(カリフォルニア・ドリーム)オードパルファム
トップノート…マンダリンオレンジ、洋ナシ
ミドルノート…ムスク、アンブレットシード(植物性ムスク)
ラストノート…バニラ、ベンゾイン(安息香)
調香師:ジャック・キャバリエ
発表年:2020年
対象性別:ユニセックス
「CARIFORNIA DREAM(カリフォルニア・ドリーム)」は、日本の『LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)』において過去最も売れた香水です。
調香師ジャック・キャバリエがカリフォルニアに滞在していた時に見た、夕空のグラデーションの美しさにインスパイアされた香り。
彼は感動のあまり、その場で「この景色をフレグランスにしよう!」と思い立ちすぐさま助手に電話で香料のレシピを伝えたのだそう。
ブルーからピンクに変わるボトルのグラデーションのように、香りもゆっくりと変化していきます。
「CARIFORNIA DREAM(カリフォルニア・ドリーム)」のトップノートは、フルーティ・シトラス。みずみずしく爽やかなマンダリンと、グリーン味のあるペアの香りで始まります。
とても心地が良く、程よく水分を含んだマンダリンは「CARIFORNIA DREAM(カリフォルニア・ドリーム)」の主役となる香りです。
まるでアメリカ西海岸に吹くそよ風を表しているよう。
出典:『LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)』オフィシャルインスタグラムより
マンダリンの透き通るような華やかさに、冴え冴えとした、若い洋ナシを思わせる淡いグリーン感。
続くミドルノートでは夕日のような温かさをもったムスクと、アンブレッドシード独特のなまめかしさが花開きます。
先のフルーティー感が気持ちよく包まれて、肉感的なまろみを持った香りに変化してゆきます。夕暮れ時の海で泳いでいるような、素敵な浮遊感が感じられることでしょう。
最後はバニラとベンゾインの、どこか温かさを感じるゆったりとしたラストノート。その静かで落ち着いた、少し曖昧な表情は「リゾート地の余韻」を連想させるものがあります。
ミドルからラストノートにかけてはマンダリンのフレッシュさが随分と落ち着き、だんだんと温かみを帯びながら、優しいウッディー調に着地していきます。
ボトルの美しさもさることながら、同じように「香りのグラデーション」をとことん楽しめるのが、「CARIFORNIA DREAM(カリフォルニア・ドリーム)」の最大の特徴と言えるでしょう。
ボトルの秘密、似合う層
さて、「Les Parfums Louis Vuitton(レ・パルファン・ルイ・ヴィトン)」シリーズのボトルにはちょっとした仕掛けが施されています。
実はボトルが香水で満たされている時、中の管が見えないようになっているのです。これは世界で初めての技術だそうです。
些細なことかもしれませんが、一流ブランドならではの「ルックスへのこだわり」がここに感じられます。
これにより一段と「CARIFORNIA DREAM(カリフォルニア・ドリーム)」のグラデーションの美しさが発揮されていますので、インテリアのアクセントとしても、SNS映えも期待できますね。
「CARIFORNIA DREAM(カリフォルニア・ドリーム)」はユニセックスタイプのフレグランスなので、性別は問いません。
幅広い年齢層の方にお使いいただけますが、甘味のある柑橘系の香りは、比較的若い世代より40代以降の男女によりお似合いになると思います。
季節は初夏から夏の終わり。
ジューシーで美味しいシトラス・フルーティの香りは、やはり太陽が似合います。
オフィス向きの服装をクローゼットにしまい、軽装に着替えた時に、一緒にシュッと一吹きしたくなる1本です。
スニーカーよりはサンダル、リュックサックよりエレガントなカゴバックに似合うイメージ。複雑なところはなく、それでいてしっかりと香るので、「軽すぎず、重すぎず」を求めている方にぴったり。
持続時間は意外と長く6~8時間ほどとなっているので、香水フリークの方にも十分満足していただける、非常に社交性の高いフレグランスです。
まとめ
「CARIFORNIA DREAM(カリフォルニア・ドリーム)」は、2020年のエル・ビューティーアワードでフレグランス部門を受賞しました。一時は欠品が出ることもあるほど、『LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)』で一番売れた香水。
特にこの優しいピンク&ブルーのボトルデザインには格別な美しさがあります。
現代アーティストのアレックス・イスラエルの作品「カリフォルニアの空」とコラボレーションしたというその色使いは、いつ見ても飽きることがありません。
美しいグラデーションカラーを見つめ、そのアロマティックな香りをまとっていると、何故だか人生に感謝したくなります。そして無性に旅に出かけたくなります。
とても感覚的な気持ちの良さを味わうことができ、ふと自然と良い人間であろうと努力したくなる、そんな、心に良い影響を与えてくれる香りです。