品質にこだわった天然香料を用い、優れた調香師たちによる高度な調香技術と豊かなインスピレーションによって生まれる『PENHALIGON’S(ペンハリガン)』のフレグランス。

男性、女性ともに愛される香りを多数作り出してきた、イギリス発のブランドです。

ブランドのルーツは、1860年代後半に創業者であるウィリアム・ペンハリガンがロンドンで理髪店を開業したことに始まります。

次第にフレグランスメゾンとしての地位を確立し、遂にはエディンバラ公、ウェールズ公によるロイヤルワラント(英国王室御用達の認定)を賜り、世界的な賞賛を集めるブランドとなりました。

以来、創造的なモノづくりへの挑戦がブランドの要となり、特に「由緒正しさ」「エレガンス」を追求した香りは世界中から高い支持を集めています。

そんな『PENHALIGON’S(ペンハリガン)』は2020年、ブランド誕生150周年を迎えました。

この記念すべき年に新登場したオードパルファムが、今回ご紹介する「THE FAVOURITE(ザ・フェイバリット)」です。

イギリス女王の“フェイバリット(お気に入り)”として絶大な影響力を与えた女性からインスパイアされたその香りとは?

モダン・フローラルノートが冴える「THE FAVOURITE(ザ・フェイバリット)」の魅力を徹底レビューしていきたいと思います。

映画化もされた「THE FAVOURITE(ザ フェイバリット)」のモデル女性

2020年5月1日に発売された「THE FAVOURITE(ザ・フェイバリット)」。

フェイバリットとは(お気に入り)という意味ですが、これは何を指すのかというと、18世紀初頭イギリス、アン女王の親友として宮廷でゆるぎない地位に昇りつめたマルボロ侯爵夫人サラ・チャーチルのことです。

彼女はウィンストン・チャーチルとダイアナ元妃の祖先でもあり、レイチェル・ワイズ、エマ・ストーンが出演した、2019年アカデミー賞最多ノミネート作「女王陛下のお気に入り(2018年、原題The Favourite)」のモデルとなった女性です。

サラ・チャーチルは「女王陛下のお気に入りになれば、人生が変わる」と信じ、そのサクセスストーリーは英国史に名を刻むほどでした。

アン女王の時代は、史上まれにみる女性が活躍した時代。

しかし同時に350年続くスチュワート朝は終わりを迎えることになります。

実は大英帝国の女王を陰で操っていた影の総裁が、サラ・チャーチルだったのです。

幼馴染み兼親友の立場を利用して、政治すらもわが物にした「ラスボス」サラ・チャーチルは圧倒的なカリスマ性を持った、現代キャリアウーマンの原型とも言えます。

18世紀初頭のイギリスに、映画化されるほどのパワーウーマンが存在したのです。

「THE FAVOURITE(ザ・フェイバリット)」は、キュートなボトルデザインとは裏腹に、力強さとしなやかさと一つまみの官能性をも兼ね備えた、実に興味深いフレグランスでもあります。

それでは早速香りの構成を見ていきましょう。

モダン・フローラルフレグランス「THE FAVOURITE(ザ・フェイバリット)」

THE FAVOURITE(ザ・フェイバリット)オードパルファム

トップノート:フリージア、バイオレット、マンダリンオレンジ

ミドルノート:ミモザ、アイリス、ジャスミン

ラストノート:サンダルウッド、ムスク、アンブロキシド

2020年発表

調香師:アリエノール・マスネ

対象性別:女性

結論から言ってしまうと、サラ・チャーチルは「悪女」という悪評の方が高い人物です。

彼女は天才的な政治能力をもつキャリアウーマンでしたが、それだけではなく、女王の同性愛の愛人でもあったのです。

まず、トップノートから香るフリージアが「エレガントで落ち着いた雰囲気」を存分に発揮しています。そこにバイオレットのグリーン感があふれだし、マンダリンオレンジがふくよかな甘さを絡めます。

ここでハッキリと感じ取れるのが「育ちの良さ」。

壮大な宮殿において、明るく自信に満ちたサラの青年時代を彷彿とさせます。

女王に忠実で立ち振る舞いは優雅、そしてキュートで快活。

実際、女性も男性も惹きつけた彼女の大変魅力的な部分をこのトップノートが物語っています。

続くミドルノートはパウダリーなミモザがメイン。

春の代名詞であり、黄金色に輝くミモザの香りは気品に満ちています。そこにアイリス(アヤメ)やジャスミンが混ざることでよりクラシカルな雰囲気に。

少し蜂蜜のような甘さも秘めつつ、不思議と知的な印象がするのはさすが『PENHALIGON’S(ペンハリガン)』といったところでしょうか。

出典:『PENHALIGON’S(ペンハリガン)』公式インスタグラムより

やはりこのブランドらしい独特なエレガントさは終始「THE FAVOURITE(ザ・フェイバリット)」からも漂っています。

エレガントかつ躍動的で、気高さに富み、上昇志向に満ちた香り。

キュートなだけのフローラルノートとは一線を画すミドルノートです。

こんなにも気品のあるフローラルノートが存在したのか、と唸ってしまうほど。

恐らくここではサラ・チャーチルの「悪女」という側面は入っていないように思います。

どちらかというと彼女の賢さ、野心、そして揺るがない気品がフローラルに化けて香っています。

ラストノートはさらに奥深くなっていきます。

クリーミーなサンダルウッドとムスクが交差し、サラとアン女王の秘密めいた官能性を漂わせているのです。

実はここが「THE FAVOURITE(ザ・フェイバリット)」の長所と言って過言ではありません。

前半のモダン・フローラルノートが強く香れば「THE FAVOURITE(ザ・フェイバリット)」の魅力が半減していたでしょうし、逆にラストノートのムスクが濃ければ官能性が一番に出てエレガントさが薄れていました。

ただこれが「THE FAVOURITE(ザ・フェイバリット)」というオードパルファムに人間らしい側面を与えていて、品格とセンシュアリティの両方を持った、実に完成度の高い1本となっているのです。

気品漂う花々の香りの中に一抹の人間味を含んだ、大人の女性のための素晴らしきフローラル香水です。

上昇志向の高い全ての女性に

出典:『PENHALIGON’S(ペンハリガン)』公式インスタグラムより

サラ・チャーチルは後に失墜してアン女王とも決別するのですが、その生涯を仕事にささげたワーキングウーマンでもありました。

彼女の家系からは、王室の歴史を大きく変えた首相ウィンストン・チャーチルや王妃ダイアナを輩出しています。

結婚すれば家庭に入るのが普通だった時代、サラは仕事にまい進するまさにキャリアウーマン然とした女性でした。

そんな英国史に残る女性にインスパイアされた「THE FAVOURITE(ザ・フェイバリット)」は、いかなる年齢の女性にもお似合いになる香水です。

貴婦人らしく、センシュアルで最高にエレガントなムードを漂わせ、上昇志向の高い大人の女性に似合うパーフェクトな作品。

品の良い香りなので、オンタイムを初め、どんなシーンにも活躍するでしょう。

可愛いだけのフローラル香水とはひと味もふた味も違う、芯のある香り。

季節は問いませんが、フォーマル目な装いに「THE FAVOURITE(ザ・フェイバリット)」よく似合うと思います。

ウエストや足もとなど体温が高く汗をかきにくい場所に着けることで、ラストノートがさらに綺麗に香ります。

まとめ

美貌と知性と快活さを兼ね備えたサラ・チャーチル。

彼女をモデルとした香水「THE FAVOURITE(ザ・フェイバリット)」は『PENHALIGON’S(ペンハリガン)』でも一、二を争うほどエレガントな香りです。

ボトルデザインも素晴らしく、18世紀に流行したというベルベット調のリボンには圧倒的な存在感があります。

この優美なボトルのルックスと、香りの醸すストイックさの対比が実に魅力的。

浮ついた心をビシッと引き締めてくれる香りでありつつも、まとっていると不思議とポジティブな感情が湧き上がってきます。

女性らしい甘い香りは着けたくないけれど、ユニセックスとも違う。。。

そういった方のために存在する、自身が「個」でありたいという欲求を叶えてくれるオードパルファムが「THE FAVOURITE(ザ・フェイバリット)」なのです。

背筋がシャキッと伸びそうなこの格式高い香り、ぜひ“フェイバリット(お気に入り)”の1本に加えてみてくださいね。