2009年にパリで誕生した『Maison Francis Kurkdjian(メゾン・フランシス・クルジャン)』。
調香師でもあるフランシス・クルジャン氏がクリエーションを務める、アーティスティックなフレグランスを扱うブランドです。
彼は天才調香師と賞賛され、2008年にはフランスの最高勲章とされているレジオン・ドヌール勲章を授与されました。
パリ出身のクルジャン氏は少年時代に母親がつけている香水の魅力に開眼、また妹が集めていた香水瓶のコレクションの美しさに触発されて13歳の頃には調香師を志すようになったと言われています。
コンセプト作りから調香、パッケージに至るまで『Maison Francis Kurkdjian(メゾン・フランシス・クルジャン)』で扱われる香水はすべてクルジャン氏が関わり、彼のこだわりを反映しています。
希少なエッセンシャルオイルを贅沢に用い、自由な発想から生まれるモダンな香り。
クルジャン氏はまず最初に香水の名前を考案し、イメージに合う香りを創作していくという手法を取っているのだとか。
それは職人としての調香師ではなく芸術家として香水というアート作品を生み出していると言えます。
今回は、名作を連ねる『Maison Francis Kurkdjian(メゾン・フランシス・クルジャン)』のなかでも“天空の水”と名付けられた、ひときわインテリジェンス漂うオードトワレ「Aqua Celstia(アクア・セレスティア)」をご紹介したいと思います。
日本の季節、日本人の趣向に最適なこの香りは見逃せません。
頭一つ抜けているユニセックス・オードトワレ
Aqua Celstia(アクア・セレスティア)オードトワレ
トップノート:メキシコ産ライム、ブルゴーニュ産ブラックカラント、ネロリ、クールミント
ミドルノート:プロヴァンス産ミモザ、グリーンノート、ローズ
ラストノート:ホワイトムスク
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2017年
対象性別:ユニセックス
フランシス・クルジャン氏が香水を創作するうえでのキーワードと言えるものは、“時間の流れ”。
トップ、ミドル、ラストへの香りの移ろいはもちろん、一つの香りが生まれるまでの時間・ストーリーを大切に考え、個性として育てていくことに重きを置いています。
今回の「Aqua Celstia(アクア・セレスティア)」は“天空の水”という意味になります。
実は、『Maison Francis Kurkdjian(メゾン・フランシス・クルジャン)』には“水”をテーマにしたフレグランスが全6種も存在します。
これほどコレクションが豊富ということは、『Maison Francis Kurkdjian(メゾン・フランシス・クルジャン)』の“水”をイメージした香りが世界で高い評価を受けているという証でしょう。
そのなかでも抜群の人気を誇るのが、今回ご紹介する「Aqua Celstia(アクア・セレスティア)」のオードトワレタイプです。
まず、このトップノートは素晴らしく秀逸です。
淡麗で瑞々しいライムとミントは、どちらもかなり稀少な高級素材をを使用しているのがお分かりになるかと思います。
そしてブラックカラントの甘酸っぱさとほんのりとした甘み。不思議なことに雨の匂いにとても良く合います。
憂鬱な雨の日が、この香水に出会うと少し楽しみになりそうです。
続くミドルノート。
こちらも丹念に詰まれたであろう、新鮮なシトラスを感じることができます。
香料だけで見るとシトラス系の香りが連なっているのに、ここまで“水”の性質を表現しているのが『Maison Francis Kurkdjian(メゾン・フランシス・クルジャン)』の技。
一口に“水”とは言っても、「Aqua Celstia(アクア・セレスティア)」は“エーゲ海の水平線”のイメージを彷彿とさせます。
とても神秘的で、クリアで、そして静けさがあります。
朝方とも、夜更けとも言えない、静かで幽玄な水平線。その神秘的な水平線にたつ靄(もや)に香りをつけるとしたら、これでしょう。
ラストノートはホワイトムスクが品良く香るのですが、デリケートで大変心地よく、「このまま消えないでほしい」とさえ思わせる、美しくもちょっと切ないエンディングはまるで映画『君に読む物語』のよう。
“水”という日常的なテーマをここまで神聖に表現できるのか、と改めて感心する1本です。
つけやすく、品が良く、IQ度を上げてくれる香り
「Aqua Celstia(アクア・セレスティア)」は言わば聖水のような香水なのですが、まとう人物像としては物静かでアートにも精通する知的なタイプ、といったところでしょうか。
年齢層は若干上の、30代半ば以上の男女にお似合いになると思います。
都会で暮らす、頭脳プレイヤーの方に似合う香りでもあります。
もう一つ「Aqua Celstia(アクア・セレスティア)」の利点として挙げるべきところは、オードトワレなので拡散性が穏やかなところです。
そのため非常に品良く香らせることができ、“水”の神秘性が一か所に留まるのです。
季節は4月から11月。高温多湿の日本でも不快に思われることはないでしょう。
女性がまとって骨太になることはありませんし、逆に男性がまとって軟弱なイメージがつく心配もありません。ただただ香りをつけることの心地よさを追求した1本だと思います。
フローラルのレディス香水、ウッディなメンズ香水、とお決まりのスタイルに疑問を持っている方であれば、この「Aqua Celstia(アクア・セレスティア)」は是非ともワードローブのセレクトに加えるべき香りです。
例えばシャネルやクロエ、トムフォードといったブランドが打ち出す華やかな香水がプラスの印象を与えるのに対し、『Maison Francis Kurkdjian(メゾン・フランシス・クルジャン)』の香りは引き算型のフレグランスとして活躍します。
香りをまとっているようでまとっていない雰囲気を出すことが可能で、周りに不快感を与えたくない、でも自分らしい香りを身にまとっていたい、そんな時のために選ぶべき香水なのです。
TPOの適応力は抜群なのに、しっかりとフレグランスラバーを満足させてくれる香り。
まさに理想的なフレグランスです。
まとめ
“水”をテーマにした香水のなかには、地中海や大西洋などをイメージした力強いものもありますが、今回の「Aqua Celstia(アクア・セレスティア)」はちょっと趣が異なり、静かで神聖で、とても知的な印象です。
ファッションをまず際立たせたいという時にも「Aqua Celstia(アクア・セレスティア)」の香りが絶妙なバランスを取ってくれるに違いありません。
さりげなく、誰にも嫌がられずに個性を演出できる“水”の香りは、香水のなかでは意外とマルチな活躍を見せてくれます。
日常使いもできるうえに、特別感も演出できる『Maison Francis Kurkdjian(メゾン・フランシス・クルジャン)』の名作「Aqua Celstia(アクア・セレスティア)」をぜひ香ってみてくださいね。