他に類を見ないクリエイティビティで香水業界を座巻する『BYREDO(バイレード)』。
『BYREDO(バイレード)』のフレグランスには一つ一つ、創始者ベン・ゴーラム氏が世界各地で体験した記憶や情景、思い出などのストーリーが香りに込められています。
ストーリー性を持たせた香水というのはどのフレグランスメゾンでも発表しているのですが、『BYREDO(バイレード)』ほどエモーショナルな香りはなかなかありません。
実際に香りをまとうと、そのテーマ以上の情景や物語が思い浮かびイメージすることができるのです。時にはハッピーで、時にはセンチメンタルな気分になるものも。
そして、厳選された香料も魅力の一つです。
『BYREDO(バイレード)』 の全ての製品はスウェーデンの伝統的なクラフトマンシップと原料によって作られています。
このこだわりがあるからこそ、『BYREDO(バイレード)』 の香りは常に高品質でアート性の高いものとなっているのです。
今や世界中で虜になる人が続出している『BYREDO(バイレード)』のフレグランスですが、国によっては人気の香水が少し異なるようです。
香水のメッカでもあるフランスで一番人気なのが、今回ご紹介する「BAL D’AFRIQUE(バル・ダフリック)」。
ベン・ゴーラム氏の父が残した日記にインスピレーションを受けたというその興味深い香りは、パリの狂乱時代(1919年~1929年)の名残を残した大変ロマンティックなオードパルファムです。
落ち着いた雰囲気を演出したい男性にもおすすめの、この芸術的な香りをぜひご堪能下さい。
パリのアバンギャルドとアフリカのダイナミックさが融合した夢のような香り

出典:『BYREDO(バイレード)』オフィシャルインスタグラムより
BAL D’AFRIQUE(バル・ダフリック)オードパルファム
トップノート:ベルガモット、アマルフィレモン、アフリカ産ネロリ、アフリカンマリーゴールド、ブラックカラント、ブチュリーフ
ミドルノート:バイオレット、ジャスミン、シクラメン
ラストノート:ブラックアンバー、ムスク、ベチバー、モロッコ産シダーウッド
発表年:2009年
調香師:ジェローム・エピネット
対象性別:ユニセックス
「BAL D’AFRIQUE(バル・ダフリック)」は、創始者ベン・ゴーラム氏が幼い頃に他界した父の記憶に基づいた香りです。
彼はインド人の母とカナダ人の父の間に生まれましたが、父親を早くに亡くしています。
母親はゴーラム氏が成長した時に、父親が所持していていた日記を私こう言います。
「あなたのお父さんはこの日記の中にいる」と。
その日記には、カナダ人である父親が若い頃に暮らしたパリ、そしてアフリカでの記憶が鮮明に描かれていたのです。
父の日記に記されていた二つの文化、そして二つの熱狂。
個性と個性が融合した先にはどんな香りが存在するのか?
それを実現したのが、「BAL D’AFRIQUE(バル・ダフリック)」(=アフリカの舞踏会)です。
まず、このトップノートは非常に複雑です。
ただ、フランスの香水によく見られるような「文学的」な複雑さではありません。香料の多さからも分かるように、言わばバラバラの原料が「カオス」のような雰囲気を醸し出しながらも、ぶつかり合うことなく上手くまとまっているのです。
まるで上質なシャンパンのようなトップノート。着けた瞬間に少し甘い香りが漂うので、シャンパンにフランボワーズを一つ含ませたような感覚でもあります。
ミドルノートでは、パリのアバンギャルドな雰囲気がたっぷりのトップノートにほんの少し、アフリカの力強い花々がミックスされました。
それは1920年代、アフリカの文化に大きく影響されたパリの狂乱時代を思わせるものです。

出典:『BYREDO(バイレード)』オフィシャルインスタグラムより
バイオレット、ジャスミン、シクラメンといった、本来ならば郷愁を誘うエモーショナルな香りがここでは非常に鮮やかに、パッションを感じさせる大胆な構成となっています。
基本的には「BAL D’AFRIQUE(バル・ダフリック)」はフローラル系の香りなのですが、この躍動感こそが「普通のフローラル香水では収まらない」という『BYREDO(バイレード)』の芸術性を物語っています。
実際に自分が体験したものではない、記憶というフィルターを通して感じた「想像上の二つの文化」。
そこに悲しい歴史は存在せず、ただただ楽しさと喜びを分かち合うかのような良い意味での「衝突」「多様性」が感じ取れます。
自分が存在しなかった頃の父の記憶に寄り添う、ポエティックでロマンティックで、本当に夢のような香り。
バランスが取れているというよりは、順番にそれぞれ顔を出す花々の「個性」が光る香りです。
そしてラストのシダーウッド、ベチバーが「BAL D’AFRIQUE(バル・ダフリック)」を骨太に仕上げていて、どっしりとした印象に。
次第に記憶がまどろみの中に消えていくー。そんな、陶酔感すら覚える情緒的なラストノートです。
一筋縄ではいかない、フローラルの芸術。

例えば、男性が花束を持ったら?
女性が持つそれよりも、もっと力強く生命力にあふれた印象として目に映るかもしれません。または逆に、栄枯盛衰や一抹の儚さといった哀愁めいたものを感じるかもしれません。
「BAL D’AFRIQUE(バル・ダフリック)」には、穏やかながらも内側に何か熱情のようなものを感じる、決して一筋縄でいかないフローラル香水なのです。
男性がまとうフローラル香水として、これ以上にカッコいい香りはないかもしれません。
年齢層としては、30代以降の大人の男女にハマる香りです。
オフィス向き、不向きと明確に断言できないミステリアスな香りでもあります。
どちらかというと、毎日のルーティンに従って生きていない、自由なマインドを持つ方におすすめな香りと言えるでしょう。
スーツ姿や制服よりも、やはり私服姿でその方の個性を表現している時にこそ「BAL D’AFRIQUE(バル・ダフリック)」は本領を発揮すると思います。

パンチのある香りではないものの、品がありユニークなフローラル香水なので、落ち着いた雰囲気の中にちょっとスパイスを加えたい、そんな見えないこだわりを求めている方にはぴったりの1本です。
まとめ
香りだけでグッとお洒落になれるのは、やはり『BYREDO(バイレード)』にしかできない技でもあります。
「BAL D’AFRIQUE(バル・ダフリック)」は今まで嗅いだことがないのに何だか懐かしくて、どうしても惹きつけられる、本当にロマンにあふれた香り。
創始者ベン・ゴーラム氏が「BAL D’AFRIQUE(バル・ダフリック)」に添えた1920年代の華々しい文化。この時代のパリには、モディリアーニやピカソといった多種多様な表現者が存在していました。
彼らは、アナーキーで退廃的な思想と並行して、人生とは楽しむためのもの、そして生きるためにあるということを説いていました。
そこにダイナミックなアフリカのエッセンスが加わり、ともすれば退廃的な香りが一転、ライトで達観した香りになるのが「BAL D’AFRIQUE(バル・ダフリック)」なのです。多様性を目指す今のフランスで一番人気、というのも頷けます。
過度な主張もしない、まさに「多様性」を表現した「BAL D’AFRIQUE(バル・ダフリック)」の芸術性をぜひ感じてみてくださいね。
