フランス発の『Caron(キャロン)』は、正統派の香水ブランドです。
フランスでは女性が生涯に一度は愛用するブランドとして、かなり名の知れたフレグランスメゾン。
『Caron(キャロン)』は1904年に創業者であるエルネスト・ダルトロフが、パリの高級ブティック街、サントノーレに開いた香水店から始まっています。
創業以来、名香を次々に発表し、現在の香りの種類は実に60以上。
21世紀となった今も、『Caron(キャロン)』の専属調香師リチャード・フレイスによる女性の永遠の美しさを讃えた香水造りが、脈々と受け継がれています。

古き良き伝統がありながら、移り行く未来をも見据えた『Caron(キャロン)』。
最高品質のエッセンスを用いた門外不出の技法で、絶対に真似のできないオリジナルなフレグラスを生み出しているのです。
現在ではパリに3店舗のブティックを構え、パリジェンヌはもちろんのこと、世界各国から愛好家が訪れています。
さて今回ご紹介するのは、『Caron(キャロン)』でも歴史的なオードパルファム、「AIMEZ-MOI(エメ・モワ)」。
ユニセックス香水が主流の今、クラシックな女性用香水を身に着けることの意味、そしていかにこの香りが素晴らしいかをご紹介していきたいと思います。
『Caron(キャロン)』の世界観、 美の境地

「AIMEZ-MOI(エメ・モワ)」の香りの特徴を述べる前に、『Caron(キャロン)』の世界観をぜひご紹介させて下さい。
ブティックの雰囲気、ブランドならではのアイテムなど、その世界観に触れることで、より深く「AIMEZ-MOI(エメ・モワ)」をご理解していただけると思います。
まず『Caron(キャロン)』本店の美しさは、並々ならぬものがあります。
パリ中心地に本店を置くの名門ファッションブランドは数多くありますが、『Caron(キャロン)』とは比べ物になりません。

煌びやかなシャンデリアとらせん階段、大理石、優雅なパウダールーム。
ブティックに足を踏み入れると、そこはもう異空間です。まるでヴェルサイユ宮殿の一室に迷い込んだかのような、非日常的なひと時が味わえます。
そして、『Caron(キャロン)』のブティックでしか見ることができない、壁一面に広がる「Fountain(フォンテーヌ)」には誰もが圧倒されてしまうでしょう。

「Fountain(フォンテーヌ)」フランス語で泉(いずみ)を意味します。こちらのクリスタルディスペンサーはその名の通り、香水が湧き出る泉。
この「Fountain(フォンテーヌ)」を作製したのは世界的に有名なクリスタルブランドのバカラ。1981年作です。
世界中の顧客たちはパリに来るたびにこの「Fountain(フォンテーヌ)」から自分の必要な分を計り、美しい香水瓶に入れて持ち帰るのだそう。

選ばれ抜いた純白の水鳥の羽を贅沢に使ったパフ。細部に至るまで徹底した美へのこだわりが感じられます。
ラグジュアリーパルファムのブティックはこうあるべき!と、再認識できる『Caron(キャロン)』本店。
少し敷居が高い印象はあるものの、香りへの愛情を身にしみて感じることができ、自身の「美の追求」をワンステージ上げてくれる場所でもあります。
『Caron(キャロン)』のアイテムを手に取っていると、心から女性に生まれて良かったと思えます。もちろんこれはフェミニストを度外視した意見ではなく、私たちが子供の頃に抱いた「大人の女性への憧れ」を体現した世界観を、忘れていた何かを与えてくれる空間なのです。
子供の頃に描いた憧れの大人の女性。
女神のような美しさと母性的な優しさにあふれた女性。
誰にとっても「永遠の恋人」と思われるような、そんな香りが『Caron(キャロン)』には存在します。
「AIMEZ-MOI(エメ・モワ)」ー“私を愛して”と名付けられた、20世紀の名香の魅力をご紹介しましょう。
待っているだけの女ではない、ファムファタルな香り

出典:『Caron(キャロン)』公式インスタグラムより
AIMEZ-MOI(エメ・モワ)オードパルファム
トップノート…ローズ、マグノリア
ミドルノート…スミレ、アニス、ジャスミン
ラストノート…オークモス、バニラ
発表年:1996年
調香師:不明
対象性別:女性
「AIMEZ‐MOI(エメ・モワ)」は日本語に訳すと“私を愛して”となります。
特別な日に身にまといたい、女性のための香り。もっと言ってしまえば、女性にしかまとえないファムファタル的な香りでもあります。
香調はスウィート・フローラル。
豊かなフローラルにグルマンな甘い香りが混ざった、世にも甘美な香りです。
まずはトップノート。華やかなローズに、蜜のようなマグノリアの香りが叙情詩のように感動的に広がります。確かに甘いスタートダッシュではあるのですが、重くはありません。
これが粘度のある甘さだったのなら、たいていの人がテスターで試した段階で手放していたことでしょう。
「AIMEZ-MOI(エメ・モワ)」のように拡散性のあるフワっとした甘さ、その絶妙な匙加減が『Caron(キャロン)』の実力です。
ミドルノートからラストノートにかけては、上品なグルマンが香ります。パリの五つ星レストランでサーブされる、ラグジュアリーなデザートのようなイメージです。
気品のある甘さが印象的ですが、やはりそれだけではありません。
女性らしいバイオレットとスパイスの効いたアニスのバランスが「AIMEZ-MOI(エメ・モワ)」をより一層ファムファタルな香りに仕上げているのです。
この少しのスパイスが、自信があって自己ブランディングのできている「イイ女」像を彷彿とさせます。
ただただ待っているだけの従順な女性像はどこかに置いてきてしまった、という感じです。

意外にも個性的な香りで、一周まわって「自分を分かっている」女性にピタリとはまるオードパルファムです。
「AIMEZ-MOI(エメ・モワ)」を擬人化するとしたら、峰不二子。
美しさ、品、賢さ、強さ、処世術を持ち合わせている。
品格があるのでただの小悪魔女子では終わらない。
色香は道具として使うけれど、本気で誰かに媚びたりしない。
そんな「女性の特権」をとことんボトルに詰め込んだのが、「AIMEZ-MOI(エメ・モワ)」です。
前向きに、潔く生きたい全ての女性に

「AIMEZ-MOI(エメ・モワ)」は、愛らしさの中にも『Caron(キャロン)』の品格があるので、年齢問わず使用できる香水です。
“私を愛して”という名前からは想像できない、しっかり自立した女性を思わせる香りなので、ストイックに潔く生きたい現代の女性にもおすすめ。
フェミニン過ぎる甘い香りは着けたくないけれど、シトラス系は好みではない、ユニセック香水もちょっと違う、というような気分の日に身にまとうと、「これだ!」と体中に電気が走るような、神々しい香りでもあります。
ある種、女性ならではの“心の内側からくる闘志”を知っているような、強く、気高い、美意識の高いオードパルファムです。
まとめ
フランス女性はもちろん、世界中の女性の心をわしづかみにしている『Caron(キャロン)』。
バーレスクダンサーのディタ・フォン・ティースや、今は亡きフランス俳優のセルジュ・ゲンズブールも愛用するブランドです。
一度でも『Caron(キャロン)』の香りを身にまとえば、きっと「女性に生まれて良かった!」と再確認できることでしょう。
まだまだ日本では知名度が低いので、香水好きの皆さんにはぜひとも知っていただきたい香りです。見かけた際はぜひ一度手に取ってみてくださいね。
