2020年夏、日本で一番売れている香水といえばこちら。

ヒット曲でおなじみのドルチェ&ガッバーナ「ライトブルー」です。

発売から20年近く経った今、リバイバル・フレグランスとして再び有名になりました。

若かりし頃を思い出させる香りとして、懐かしく思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「ライトブルー」は、女性向けに発売されたオードトワレですが、不思議と男性が身にまとっても違和感のない香りです。

昨今、マストハブとなっているはユニセックスタイプのフレグランス。

「ライトブルー」が発売されたのは2001年ですから、当初は斬新な香りとして、ダビドフのクールウォーターと共に世界を座巻したフレグランスの一つでもあります。

今もなお、たくさんの人に愛され続けている「ライトブルー」。

今回はそんな話題の香りについて詳しくご紹介したいと思います!

シチリア島をモチーフにした夏の香り

https://www.instagram.com/p/Bl0nJw-jKS7/

出典:ドルチェ&ガッバーナ公式インスタグラムより

ドルチェ&ガッバーナ/ライトブルー

2001年発表

香調:フルーティフローラル

調香師:オリヴィエ・クレスプ

対象性別:女性

トップノート:アップル、シチリア産シダー、ベルフラワー、シチリア産レモン

ミドルノート:ホワイトローズ、竹、ジャスミン

ラストノート:アンバー、ムスク、シダー

ドルチェ&ガッバーナは、デザイナーのドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナ二人が手掛けるイタリア発のファッションブランドです。

二人の出身地はイタリアのシチリア島。

故郷である地中海の美しさをモチーフにした香りを創りたいと、フランス人のエリート調香師、オリヴィエ・クレスプに依頼したのが全ての始まりです。

実はこのオリヴィエ・クレスプは、グルマン調(お菓子のような甘い香り)の香水を生み出した張本人で、マスター・パフューマーとして君臨するカリスマでもあります。

彼の創り出した香水には、イブサンローランの「ブラック・オピウム」、テュエリー・ミュグレーの「エンジェル」など著名なものばかり。

数々のヒット作品の生みの親であるオリヴィエ・クレスプが、自分が調香したなかで最もお気に入りというのが「ライトブルー」なのです。

イタリアのビッグメゾンでありながら、とてもフレンドリーな香りがする「ライトブルー」。

気になる香りの変化を詳しくご説明していきましょう。

レモン弾けるトップノート

シチリア島の風物詩といえば、レモンです。

青い海に燦々と降り注ぐ太陽、そして眩しいイエローレモンのコントラストは地中海のなかでもシチリア島が抜群に美しいと言えます。

出典:ドルチェ&ガッバーナ公式HPより

ライトブルーは、真夏のまばゆい一日が情緒あふれる夕べに移り変わるさまを表現し、ふたりの男女の出会いのストーリーを綴ります。

引用:ドルチェ&ガッバーナ公式HP

とあるように、男女が恋に落ちる甘美な瞬間をギュッと詰め込んだ「ライトブルー」。

何といってもこのトップノートが秀逸で、アップルとレモンの瑞々しさが長く持続するところに特徴があります。

その場で絞ったかのようなジューシーさと同時に、アロマティックなシトラスが心地よく、それでいて心を弾ませてくれます。

まさに、真夏のリゾート地で衝撃的な出会いを果たしたかのようなイメージ。

衝撃の出会いという心躍るような瞬間は、いつまでも記憶に残しておきたいものですよね。

一瞬で終わるトップノートのフレグランスはたくさん存在しますが、「ライトブルー」はその“始まりのストーリー”を長時間持続させることで、人々の嗅覚に響いたのだと思います。

フローラル輝くミドルノート

酸味のあるトップノートと、フレッシュグリーンな竹、ホワイトローズ、ジャスミンといったフローラルの甘味が絡み合う、色っぽい瞬間に変わります。

https://www.instagram.com/p/CD6S3SIDRWv/

出典:ドルチェ&ガッバーナ公式インスタグラムより

色気といっても健康的な色気といった感じで、艶めかしさは感じられません。

フェミニン過ぎず、非常にライトで明るいミドルノートは、当時の「次世代型ジェンダーレスな魅力」をたっぷり表現しています。

どんなシーンにも溶け込むような洗練された香りで、ミドルノート全体に満ちるビビットで澄み切ったトーンは不思議と安らぎをも与えてくれます。

ミドルノートの主役であるホワイトローズの花言葉は、「恋の吐息」「私はあなたにふさわしい」。

この花言葉をそのまま表現したかのような香りは、まとう人を100%ポジティブな気分にさせてくれることでしょう。

肌感のあるラストノート

そして、香りのエピローグはロマンチックそのものです。

快活なオープニングから徐々に香りが落ち着いていき、ラストノートでヌーディー化するのです。

オードトワレなので香り方がうっすらではありますが、ラストにかけてどんどん優しく甘く変化します。ここでグルマン香水のカリスマ、オリヴィエ・クレスプの本領発揮といったところでしょうか。

最後の方は鼻を近づけないと感じ取れないくらいの柔らかさで、ぬくもりのある人肌のような香りがドラマ性を醸し出しています。

衝撃的に出会った二人はその後、永遠の愛を誓うのでしょうか?

それとも、ひと夏の思い出として過去のものとなってしまうのでしょうか。

「ライトブルー」には、後者のような刹那的な雰囲気があると私は思います。

そんな過去ですら「これも人生」として、笑って振り返ることができる。この香りを秘かに胸にしまいながら、また都会の現実に戻る。

ひと夏の思い出を表現した香りとしては、その完成度はあまりにも高いと思うのです。

特に「ライトブルー」は、プルースト効果が強く発揮される香りかもしれません。

(※プルースト効果…特定の香りを嗅ぐと、脳のある部分が刺激されてその香りを嗅いだときの体験や記憶が蘇ってくる現象)

事実、たくさんの人が「若かりし頃を思い出させる香り」と感じていることでしょう。

それだけ多くの人の記憶に残った香りもなかなか無いものです。

「あの子の着けている香水、いい香り」というより、「あの子、なんだかいい匂いがする」というような肌との一体感は、まさに完璧なエンディングです。

まとめ

「ライトブルー」は女性向けのオードトワレですが、男性も違和感なくまとうことができます。

「清潔感を出したいけれど、色気は抑えたくない」というちょっとしたワガママを叶えてくれる、男女問わず受けの良いフレンドリーな香り。

10代後半から20代後半にかけての若い世代に合う香りですが、個人的にはそれ以降の年代の方にも「ライトブルー」はおすすめです。

香りの持つ効果は素晴らしいもので、非日常のときめきを私たちにもたらしてくれます。

「ライトブルー」のフレンドリーさは、実際の対人関係も良好なものにさせてくれるかもしれません。

話題性と思い出に満ちたその香りは、きっと会話に花を咲かせてくれることでしょう。

皆様の毎日が、香りによってさらに鮮やかなものとなりますように。